にゃんにゃんにゃん
2月22日。
特に祝日などではなく竹島の日などの記念日になっている日ですが、2の語呂合わせで猫の日やら忍者の日ともされています。
だからと言って猫が大フィーバーして町中に大量発生したり、忍者が隠れるのやめて大量発生したりはしませんが、一部地域ではそれぞれをテーマにした行事なども行われていたりします。
そもそも現代に忍者いねえよ。なんて言ったら外国人がショックを受けるので絶対に言わないであげてください。
忍者は常に隠れているので我々には発見できないだけなのです。
「つまり拙者の日でござるな!」
そう言いながらも炬燵に入って丸くなっているヤヨイさん。
ドヤ顔とは裏腹に、体が全力で「働きたくないでござる」と主張しています。
「マカミさんは犬扱いを嫌がるのに、ヤヨイさんは全力で猫ってますね」
「猫ってるってどんな状態でござるか。いや、そもそもマカミ殿は犬ではなくて狼でござるよ?」
エルテさんの言葉に、いつまでたっても犬扱いなマカミさんに同情するヤヨイさん。
とはいえ犬の先祖は狼であると言われていますし、犬と狼の間で交配も可能だったりと、遺伝子的には大きな違いはなかったりします。
他にも豚などは家畜化されて久しい種ですが、猪と交配可能であり野に放たれ野生化すると2メートル越えの巨体まで成長することもあります。
やせいのちからってすげー!
「そういえばヤヨイさんってマカミさんみたいに完全に猫になったりできるんですか?」
「できないでござるよ。できたら完全に炬燵の中に入って丸くなってるでござる」
「グライオスさんあたりに蹴られますよ」
人間と違い、猫が炬燵に入るときは完全に布団の中に身を隠しステルスモードになるので、足を突っ込むときに蹴り飛ばさないように注意しましょう。
あと臭いのきつい足を突っ込むのは猫にとってバイオテロに等しいので、ちゃんと足は洗いましょう。
「そもそもマカミ殿はどうやって変化してるのでござろうか。物理的に変化しているなら服が無くなり全裸になると思うのでござるが」
「フェリータさんみたいに魔術使えるともきいたことないですね」
ちなみにフェリータさんはくつろぐときは変化を解いて下半身を魚にするので、基本的にスカートでズボンは履きません。
そして今の話を聞いて何かを閃いちゃった悪い子は、何もしないので素直に名乗り出なさい。
おまわりさんこいつらです。
「本人に聞いてみるでござるか?」
「え? 実は聞いちゃいけないセンシティブな問題だったりしないでしょうか?」
「アッハッハ。そんなはずが……ないはずでござる」
笑って返そうとしたものの、もしかしたらと思い自信がなくなるヤヨイさん。
異種族間の常識の違いは意外なところで発生したりするので、それこそセンシティブに対応する必要があるのです。
ちなみに実際にマカミさんに聞いてみたところ、特に問題は発生せず「自分でも分からない」という別の問題が発生する解答が得られました。
今日も日本は平和です。
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一方高天原。
「うちって猫神っていたっけ?」
「はいはい猫神ですね猫神」
唐突なアマテラス様の問いに慣れてきたツクヨミ様。
同時に扱いが雑になっているのは多分気のせいです。
「少なくとも天津神や古い神に猫はいませんね。そもそも猫自体が外から来た動物ですし」
「えー、割と昔から居たような?」
猫は弥生時代ごろには日本に来ていたとされ遺骨も発見されていますが、古事記などに猫に関する記述は一切ありません。
それでも本などを鼠から守る益獣として重宝されていたのは確かなようです。
「まあ猫を祀る神社自体はそこらにありますよ。狛犬ならぬ狛猫がいる神社もありますし」
有名なところで、島津義弘という戦国武将の飼っていた猫を祀った猫神社があります。
他にも蚕を守るための猫を信仰している神社や、行方不明の猫を返してくれるとされる神社など、猫絡みの神社は全国各地にあります。
「つまり高天原で猫を飼って『この子は猫神だからセーフ』と言い切っても問題ないよね」
「どっから拾って来たんですか」
そう言って懐から猫を取り出すアマテラス様と「ぐにゃー」と個性的な声で鳴く猫。
ツクヨミ様に「元居た場所に返してきなさい」と言われ、半泣きで飼育許可を求めるのでした。
今日も高天原は平和です。