6話 気になる事、おかしい事 1
前回に続き、『』内はウィンドウに表示されている設定でお願いします。
Side:イセ(犬井晴朗) 犬獣人
魔導士 一応ダンジョンマスター
ったく、ふざけやがって!
やっちゃ駄目なやらかしばっかやってんじゃねーか!
同類扱いするなって、無理があるだろ!
この世界の自称神のアレに他の神が、どれほどのやらかしをしたのかは分からない。
だけど、僕からしたら転生してくれたこの神も同レベルのアホだ。
『久々だからはっちゃけました』じゃない!
・・・落ち着け、僕。
許さないのは当然。けど他の事に進まないと。
そこを確認してからまとめて文句を言おう。
まず明るくする為、外と同じ天気に出来るようにDPを消費した。
このダンジョン、地下第三層まであるみたいだから、とりあえず全層同じにしとこう。僕は今三層目に居るらしい。
この設定で150DP使う羽目になった。
残り161DP。少ない。
このアホは許さん。
設定したら天気は晴れ。じんわり暑い、暖かい?そんな気温だった。
今の季節は夏?初夏?くらいの気温に感じる。
明るくなったことで、フロアの奥に細い円柱と、その上に丸い小さな宝石があるのが分かった。
アレがダンジョンのコアなのがなんとなく分かる。
拳大の大きさの紫色の塊だな。
全てのフロアは1キロ平方メートル・高さ10メートルらしい。広すぎるだろ。
床、地面は草原。
これらの設定で半分以上使ったらしい。
結構消費するのか?それともこいつが隠してる事があるのか?
とにかく今は話を進めていこう。
「とりあえず、後でまとめて文句を言う。他に行くぞ!アホ神!」
『アホ神て酷くない!?もっと他にあるでしょ!?』
「じゃあ、『やらか神』で」
『纏めた!?せめてちゃんと『やらかした神』て言って!?合わせ技はやだ!』
「文句言える立場かテメー」
と言うか気になんのそこ?
いや、いいか。
聞かなきゃいけないのは、この姿。
VRRPG【ドリームライフ】のアバター、犬獣人のイセの姿に転生。
まずこれがおかしい。
ゲームとか小説での物語ならまだ理解できるが、そもそもゲームのキャラに転生してるのは何故?
「最初に聞くべきだったが、そもそも何故イセの姿に転生してるんだ?都合が良いにも程がある。」
『そりゃ、【ドリームライフ】が僕たちが作った対策の一つだから、その対策を利用して君の魂にしっかり合う体を作っておいたのさ。』
「・・・はい?」
何を、言ってんだ?
作った?【ドリームライフ】を?このやらか神含めた神たちが?
いや、ちゃんと確認しよう。
「作ったって、何言ってんだ?【ドリームライフ】があんたらやらか神たちが作った対策?」
『その通り。ストアラルのアホたち以外にもたくさん色々やらかしてる奴らが、未調整の人を殺したり、異世界から大量の人を誘拐したりして、とんでもない次元の歪みや亀裂を生み出した場合の、人や動物などの生命の魂を守るための対策の一つ。【ドリームライフ】はいわゆるファンタジーな世界に適応させるための体をある程度形にする為の、分かりやすく言えば聖域なの。』
「聖域?」
『もっと複雑な物だけど、分かりやすくね。魂を納めて保つ為の瓶を作成・管理する場所なの。【ドリームライフ】はゲーム機を介して魂の情報を集める。アバターが瓶であると思って。そのアバターの姿の瓶を綺麗に保つ空間が聖域ってわけ。』
・・・・・・・・・。
言ってる事は分かった。と思う。
けど、【ドリームライフ】が神たちに作られた。
そこをすんなり認められない自分がいる。
そんな都合の良い話なのかと。
『納得出来ない顔だね。じゃあ質問。【ドリームライフ】を使ったゲーム会社は?』
「・・・・・・え?」
【ドリームライフ】を作った会社?
それは当然・・・。
・・・・・・。
あれ?
会社は・・・、うん!?
分かんない!?
「え!?あれ!?知ってるはずなのに、思い出せない!?何で!?」
『そりゃ僕たちが作った物だから、上手い具合に認識を変えてたの。あ、でも、実在する会社で、僕たちの仲間達が人の姿でちゃんと一から宣伝とか作成時の話とか作ってはいたから、違和感なく認識してたの。今君がいた世界からずれたから、その辺の認識もずれて違和感が酷くなってるの。』
・・・。
【ドリームライフ】の制作会社だけでなく、どんな媒体でやってたかもあやふや。
神たちが作ったって言うのが一番納得出来る。
・・・とりあえずそう言う事にして、話を進めてこう。
僕に今必要なのは、このやらか神から話を聞く事だ。
「この話は納得しておく事にする。次は、何で僕を、中途半端な実力のイセを転生させたのかだ。【ドリームライフ】をプレイしていただけで、誘拐されて、殺された。それだけの僕を転生させた理由が分からない。魂がやばいことになった理由が、体ごと消滅されただけじゃ、体を用意・作成出来るはずの神たちがしなかった理由は?」
何もイセに転生させる理由がない。
元の世界に戻す。それでも良かったはず。
出来ない理由はある程度思いつくが、しっかり確かめなくては。
『その理由、聞く覚悟はある?ふざけた理由だよ?』
「答え合わせの為だ。ある程度の予想でしか無いから、納得したい」
『・・・分かった。今君の元の世界は、止まっているんだ。』
「・・・・・・・・・え?」
止まっている?
どゆこと?
元の世界が無くなったとか、沢山の人が一度に誘拐されて、辻褄合わせが出来ないとかかと思ったのに。
『あの時、君たちを誘拐したのはキュルイだけじゃない。あの世界の複数の神が一度に沢山誘拐したんだ。その結果、誘拐時に使用する大量の魔力が流れ込んだ。君たちの世界は魔力を扱う事を前提にしていない。未知の物質をどっぱーんと突っ込んだら、やばいことになる。ここまでOK?』
「う、うん・・・」
『無理矢理例えると、膨大な情報を無茶苦茶パソコンなりスマホなりにぶち込んだ。どうなる?』
「中のデータがばーんてなる?」
『まあそんな感じ。奇跡的に君たちの世界は停止で済んだ。何も出来ない。動かないし動かせない。僕たちには触る権利も干渉する権利も無い。君たちの領域の観測とかしてる神たちは、どぱーんて魔力という情報にやられ、意識不明。復活の手段というか、それに関わる事も出来ない。』
・・・・・・・・・。
いやふざけんな!?
この世界だけでなく、僕らの世界をも滅ぼしやがったのか!?
ふざけんな!?
「おい!どういうこった!?僕らの世界滅んだのか!?」
『滅んで無いし、無事でも無い。僕らにもどうしようもない状態なんだ。』
「・・・本当に?」
『流石にふざけてない。そこまでふざける程馬鹿じゃない。本当にどうしようもないんだ。』
・・・どうしようもない、どうにも出来ない状態なんだ。
僕らの世界が事実上滅んだ様な状態なんて、簡単に受け入れられない。
・・・・・・少しずつ。
受け入れる。
それしか、僕にはできないだろう。
「・・・次の質問をする」
前に進む。
それだけが、今僕に出来る事。




