25話 大事なものはしっかり管理
Side:ビシャル 紫犬獣人
イセ作の武器での魔物狩りが想像以上の戦果を得た
「・・・晩御飯何がいいですか?」
いや・・・、イセちゃん?さすがに無理だと思うよ?
2人が食いしん坊だって、ここに居る人達全員知ってるけども。この状況でご飯で命乞いは無茶だって。
ガシッ!
ああ!?2人がイセちゃんの頭また鷲掴みに!?
ハウロウが動いた!
オレっちもハウロウと一緒に・・・!?
「「肉」」
「あっ。リクエストはするんだ」
ズザァーッ!
・・・ちょっと!?ずっこけちゃったよ!?止めに入ろうとしたハウロウやオレっちと他の人達も!?顔から行ったよオレっち!?
「王!?なんでリクエストしてるんですか!?」
「リフォ!?マハガル!?お前らそれでいいのか!?」
「「おう!」」
「「「『おう!』じゃねー!」」」
ダルヤさんとハウロウの問いにはっきり答える2人に、ずっこけた全員ツッコんだ。
食いしん坊にも程があるでしょ。
「あのですね王。イセ君のおふざけに付き合わずに、しっかりと罰を与えてください!彼全然反省して無いですし、一度自分の立場をわからせなくては」
「いや別におふざけに付き合ってねーぞ?晩飯何がいい?って聞かれたから答えただけだが?」
「そうだぜぇ。なのにお前らなんで文句言ってんだぁ?」
あぁ〜・・・。うん、そうなのよね〜・・・。
イセちゃんが晩御飯何がいい?って聞いて、2人が肉って答えただけなんだよね〜・・・。
・・・あれ?イセちゃんもしかして命乞いのつもりなかった感じこれ?まだ何かするつもり?
「一応聞くけど、リフォとマハガル。許しては「「やらねぇ」」・・・やっぱ無理か〜」
「いや本気だったの!?」
本気でご飯で命乞いしてたの!?というか『やっぱ無理か〜』って自分でも分かってんじゃん。
「ちょっとイセちゃん?命乞いならもっとなんかあったでしょ」
「そうだぞイセ。ご飯で動く2人・・・だが、それは仕事とかだけで失礼な事を許す場合は無い・・・とは思う・・・?しないよな?」
「しねえよ俺は」
「ん〜。飯によっては許すかもなぁ〜」
リフォはともかくマハガルは可能性あったのね・・・。
「ただ謝っても許してくれないでしょ?物とかじゃ搾り取られると思ってご飯を選んだ。駄目だったけども。なのでさらに物を追加する!」
ごそごそとアイテムボックスを探るイセちゃん。そんなイセちゃんを挟みながらイセちゃんのアイテムボックスに手を・・・というか体を入れる2人。他人のアイテムボックスに手を入れるのはマナー違反だし場合によっては犯罪だけど、まあイセちゃんやり過ぎたしこれくらいはねー。
「ぶお!?ちょっ!?むぼっ!?挟まれっ!?」
「うるせえ全部出せや!」
「それで許してやるぜぇ?」
「やあぁ〜駄目ぇえェ〜!?」
あーらら。イセちゃんの持ち物全部って。とんでもないやつや自分達でも持て余すやばい物出て来たらどうすんのかな〜。ちょっと見てみたいなオレっち。
3人共上半身がアイテムボックスに入っていて、イセちゃんは2人に挟まれてジタバタともがいてる。2人は一応地面に足はついてはいるけども。
ハウロウは2人をどうにか引き剥がそうとするけど、間にイセちゃん居るからやり辛そうだねぇ。
「おい!お前ら!それはやり過ぎだぞ!」
「どこがだよ!俺一応は王様だぞ!俺に対してやり過ぎてんだから、これぐれえいいだろ!」
「俺王族じゃねえけどなぁ。2人分合わせてって事でいいだろぉ」
「ぶおぉ・・・!?ぢょっ・・・!?潰れで・・・!?あっでも幸せだからいいかなぁ〜・・・」
「「「この状況で何言ってる!?」」」
ちょっとイセちゃん!?なんで挟まれながら煩悩吐露してるの!?
ん?ちょっと待てよ?今更だけどイセちゃんって男好きなのか?オレっちの誘いに思い切り食い付いてたし、上でリフォとマハガルの脅しを『こいやあ!』って言ってたし・・・。てっきり精神回復の為のおふざけかと思ってだけど、もしかして今のあの状態ってイセちゃんにとってただのご褒美・・・?
「ねえイセちゃん?こんな状況でなんだけどイセちゃんって同性愛者?」
「え?うん。そうだけども?今更?」
う〜ん。さらっと言うのね。別にいいけども。
同性同士で結婚出来るしねえ、この国。
男同士でも女同士でも大丈夫なのよね。初代獣王も男だったけども、女性以外に男性ともそういう仲だったから、同性同士で結婚出来るって法を作ったって。
・・・まあそれはいいとして。これってオレっちがイセちゃん誘惑すればいい物貰えるのかな?
この状態のイセちゃん誘惑出来る自信無いけど・・・。今それどころじゃないね。
「とりあえずどうしよっか?」
「どうしよっかっというか、とんでもない事になってるような気がする」
「すでになってるよイセちゃん」
すでに手遅れな事になってると思うけど。
「リフォ。マハガル。どっちか抜け出せる?」
「あん?」
「んおぉ?」
2人がイセちゃんのアイテムボックスから出ようと、ぐいぐい体を引いてる様だけど、みっちりと3人の体がはまってるようだねえ。
・・・あれ?これって・・・。
「・・・え?おい!?ちょっマジか!?」
「ぬおおぉ〜!?んぎいぃ〜!抜けねぇ〜!?」
「いダダだだアだぁ〜!?ちょっ捻れる捻れてるぅ〜!?お腹がってか体がぁ〜!?」
「待て待て待て待て!?一体落ち着け3人共!?」
リフォが焦って力を入れて出ようとして、マハガルも無理矢理抜け出そうとジタバタもがき、イセちゃんが2人に力負けしてえらいことになってる!?
ハウロウは暴れる3人に落ち着くよう促してる。
「王!?何してるんですか!?」
「俺悪くねーだろ!?ねーよな!?なあ!?」
「・・・体入れたのリフォとマハガル。イセの失礼の積み重ねが理由でも、体入れる道を選んだのは2人」
「いやおいゴド!?それはそうだがよお!?」
「親父・・・。なにしとるんじゃ・・・」
ダルヤさんが慌ててるけど、どうすればいいか分かんないみたい。下手に手出し出来ないよね〜。
リフォは悪くねーって言ってるけど、ゴドさんが2人の行動の結果とキッパリと。
ゴウちゃんは呆れてるね〜。親のこんな姿見たら呆れるよね〜。
「抜けないのですかマハガル」
「ん〜・・・。イセがゴキッてなるなぁ」
「それは駄目だろう。石鹸か油を使おうか?」
スレイがマハガルに確認するけど、イセちゃんが犠牲になりそうとマハガル。コーダルが抜け出す為に石鹸か油を使うかどうか提案する。
「イセ!?大丈夫か!?」
「お腹辺り中心に痛いし挟まれてるけど元気ではあるよ」
イセちゃん心配してるハウロウ。今のところ大丈夫らしいイセちゃん。
どうしたらいいのかね〜。
「お〜い!ダンジョンマスター!こっちを見ろお!」
ん?いきなり大声でイセちゃんを呼んでる?
声の主の方を向くと、黄緑色の毛色の太っちょ狸獣人シドチがいた。目の周りは黒色で、その黒色付近からちょっとずつ黄緑色が入っていってる毛色。
【闘士の門】ギルドメンバーだけど、闘う為とかでなく金稼ぎの為に【闘士の門】に所属してる人。お金関連ではすごいがめついし面倒な所多いけど、計算早いし物の価値を見抜く知識などすごいからコーダルやスレイはそっち担当にさせてる。太っちょだけど一応は闘技場で闘える実力はある。太っちょだけど。
なんか沢山の人連れてるな・・・。あっ!?手に大きな紫の宝石・・・!?あれダンジョンコアじゃ!?
「ちょっとシドチ!?なんでダンジョンコア持ってるの!?」
「ビシャル。なんでってダンジョンマスター脅す為だろ?それ以外にあるかよ!」
ちょっとシドチ本当に何やってんの!?この状況で!?
「・・・ありゃ?なんか変なことになってる?何だこりゃ」
シドチがイセちゃん達の状態に気づいたみたい。
うん。いきなりこれ見たらそんな反応するよね。
「え〜っと・・・。簡単に言うとリフォとマハガルがイセちゃんのアイテムボックスから、何かしらいい物を奪おうとして体突っ込んだら抜けなくなった」
「・・・・・・ガチで?」
「ガチで」
ぽかーんとしてるシドチ達。ダンジョンマスター脅す為にダンジョンコア盗んで来たら、ダンジョンマスターと獣王とオレっち達【闘士の門】のチャンピオンのマハガルが下半身・・・というかお尻向けてるんだから。
「・・・?ビシャル?なんかあったの?」
イセちゃんが聞いてきた。
そっか。イセちゃんあんまり耳良くなかったっけ。シドチがダンジョンマスターであるイセちゃん脅してるのも分かんないか。というか見えないしダンジョンコア持ってるのも分かんないよね〜。
「なんかよぉ。シドチがイセを脅す為にダンジョンコア持って来たって言ってんぞぉ」
「へー・・・。シドチって誰?」
「【闘士の門】の経済とか金品に詳しい金の亡者の黄緑狸だ。あいつやっぱりやりやがったな。釘刺しとくべきだったぜ」
マハガルとリフォが説明してるね。顔見えないけど。
いやてかダンジョンコア盗まれてるのに反応薄くね?イセちゃん。
「あの、獣王様。シドチには私から言っておいたのですが・・・。『ダンジョンコアに手を出すな』と。もっときつく言っておくべきでした」
「コーダルさん悪くないですよ。駄目って言われたらやりたくなるタイプだったんでしょう」
コーダルはちゃんと注意してたのね。イセちゃんも言ってるけど、コーダル悪くないねこれ。
「とりあえずイセちゃん。どうにか出れない?」
「ん〜!ぬぅ〜!駄目!みっちりって感じになってる!服が食い込む!」
このままじゃ話し辛いしどうにかしないとだけど、イセちゃんがジタバタしてもみっちりとしたまま動けないね〜。
「おいイセぇ。お前がそんな体だからこうなってんだぞぉ」
「そーだそーだ。お前のだらしない体の所為だぞー」
「・・・!?うぅ・・・!?」
・・・2人が責任転嫁しだした。
イセちゃんの体型も原因のひとつだろうけども、体突っ込んだ2人も悪いからね?
イセちゃん泣いてる?尻尾がぷるぷるしてる。ハウロウが2人に対して青筋たてて怒ってるねえ。
「僕だって・・・!僕だって好きでこんな体型になった訳じゃ無いもん!一ヶ月前まで普通だったもん多分!」
「いや多分て。自信を持って?」
イセちゃん・・・。反論するなら自信を持とうよ・・・。
というか一ヶ月でこうなったの?それともイセちゃんの普通がそれなりに太めの可能性があるねん。
「おーい、無理があんだろ。一ヶ月でザウユが気持ち良くなって眠れる程の腹になったって。無駄な抵抗はやめてデブだと受け入れろ」
「そうだぞぉ。情け無いぜイセぇ。男らしくありのままの自分を見ろぉ」
「酷くね!?僕かなり気にしてるんだけど!?てかほんとだもん!僕一ヶ月前にこんな体型にされたんだって!」
うん?『された』?どゆこと?
誰かにやられたの?どうやられたら普通体型がふくよか体型に・・・?
「イセ。どういう事だ?誰かにやられたという事か?」
「そうなんだよハウロウ〜。僕・・・というか僕含めて10名ほどとんでもない事をされたんだよ〜!」
他にも被害者がいるのか〜。
一体何があったの?
「詳しく聞いてもいいか?」
「え〜っと・・・。僕が所属している訳では無いけど、親しいクランの人達とイベントに参加して優勝したんだよね。んでその優勝を祝う打ち上げでみんなで乾杯をしたの。僕はまだお酒飲めない年齢だったからジュース・・・、果実水を飲んだの。他にも飲めない人はそれを。んでぐいっていったら変な味がして、なんか体が熱くなったと感じた途端に、体がボンッて膨らんだ・・・てか太ったの・・・」
「「「・・・・・・・・・」」」
・・・。えぇ〜・・・。
ん?何?つまりは果実水の中にすぐ太る薬が混ざられてたって事!?怖!?オレっちいきなりそんな目に遭ったら立ち直れないかも!?
「いきなりそんな事になったから大騒ぎ。あわあわしてたらいきなり高台に人が現れて、『いや〜!大成功大成功!即効肥満薬の名に恥じぬ即効性!実験体ご苦労!』って犯行自白した、クランに所属する白衣の錬金術師が・・・」
「「「・・・・・・」」」
・・・自白したんだ・・・。
てかごめんとか無いのね。何も言わずにそんな危険物大勢・・・?10名くらいだけど飲ませるってやばいよね!?
何そいつ!?
「・・・イセ。そいつはその後どうしたんだ?」
「被害者一同とクランのリーダー。その他被害者の関係者全員でタコ殴りにしました」
「「「よくやった!」」」
うんうん。ちゃんと裁きは下したのね。
「ボコボコにした後すぐ元気になったけどね。んで白衣の錬金術師に今すぐ痩せる薬と、今後即効肥満薬を作らない・売らないって誓わせようとしたんだけど・・・。急激に太らせた体をまた急激に痩せさせたら、色々やばいって話になったの。販売する前の実験だったから、被害者僕ら以外には犯罪者数名だけみたいではあった」
「・・・いやまて?犯罪者?そいつらで実験したのならイセ達に飲ませた理由はなんだよ?」
イセちゃんの説明にリフォが問う。
だよねえ。すでに犯罪者で実験したのならイセちゃん達に飲ませる必要ないよねえ。
「僕らの反応が見たかったって」
「・・・他は?」
「ただそれだけだって言ってた」
・・・迷惑な・・・。
「とりあえずは僕の体がこんな体型なのはそういう事だ!僕は悪くねー!」
「確かにイセは被害者だな。しかし一ヶ月経ってもその体型なのは駄目だと思うぞ。ちゃんと痩せるべきだ」
イセちゃんの体型の理由はいいとして、未だその体型であっていい理由にはならないとハウロウが言う。確かにちゃんと痩せるべきだよね〜。
「違うのハウロウ・・・。即効肥満薬の副作用というか、作った本人も知らない事実があったの・・・。あの薬で太った人は一定期間体型が変わらないみたいなの・・・」
はあ!?何だとぉ!?嫌あぁ〜!?そんな事ある!?ヒィイ〜!?怖ッ!?えぇ!?何で知らねえんだよ実験しておいて!太った!成功!ってとこで満足して引き渡してお金得た後の事知らなかったらしいよ?
といろんな驚きの声に、自分と重ねて考えてた人の悲鳴が響く。
オレっちもゾクっと来たね・・・。
やだ〜・・・。痩せたくても痩せられないとか・・・。
筋肉とかも付かないのかなぁ・・・。
てか無責任過ぎるってその人・・・。
「他の被害者の1人は一週間ほどの一定期間が終わっても、体型はそのままだったんだよね。ちなみに僕は一ヶ月みたいなの。そしてその期間内でどれだけ痩せる為の運動をしても体型も体重も変わらなかったの・・・」
「・・・つまり、努力を怠った訳でなく・・・」
「努力が形にならない状態なのぉ〜・・・」
だんだん元気無くなっていくイセちゃん。
リフォとマハガルがすごく申し訳ない気持ちになってるようだねぇ・・・。事情を知らなかったとはいえ、あんな事言っちゃったし。
「イセ。悪かった」
「ごめんなぁ」
「いいんだよわかってくれれば・・・」
ちゃんと謝った2人。
・・・全然状況良くなってないけどね。
「・・・こんな状態じゃ話進まないし、やるか!リフォ!マハガル!僕のこと気にせ「「分かった!」」えちょ!?」
「「オラァ!」」
ぐいっ!グギッ!ズボン!
「イッ!?のゴぁ!?」
「うお!?」
「おわぁ!?」
イセちゃんが言い切る前に2人が強引に体を引く。
イセちゃんからすごい音がして、3人共出て来た。
リフォとマハガルがゴキゴキと体を鳴らす。イセちゃんは地面にぐったりと倒れたまま・・・。大丈夫・・・じゃないよねぇ!?
「イセ!?大丈夫か!?」
「うぐ・・・!?えぇ〜・・・」
「うん大丈夫じゃないな!?」
だよねえ。すごい音したもん。
えーと2人は?
「ふぅ〜・・・。一時はどうなるかと思ったぜ」
「始めてアイテムボックスに嵌ったぜぇ」
大丈夫そうだね。まああの2人だし。
ハウロウがイセちゃんの関節を確認して、重傷ではないと確信。またイセちゃんの体からゴキゴキ音が鳴って戻したみたい。
イセちゃん悲鳴あげてたけど。
「うう・・・酷い目に遭った・・・」
「こんな事になるとはなぁ」
「どうしてくれんだイセ」
「俺悪くねーだろ!テメーらが体捩じ込んだのが原因だろが!つーか言い切る前にやるな!堪える準備させろよ!」
リフォがイセちゃんの所為みたいに言い出し、イセちゃんがキレる。ん〜まあ、流れ的にはイセちゃんも原因かも知れないけどもね?体捩じ込んで嵌ったのは2人が原因だと思うなオレっち。
イセちゃんが言い切る前にやったのもどうかと思うけど、変に踏ん張るってか堪えると抜け出すの大変かも・・・。いや2人相手にイセちゃんじゃ力では踏ん張れないか。
「おっしもういいな!?こっちを見ろぉダンジョンマスター!」
シドチがさっきの行動を再開する。
律儀に待ってたな。まあ待つ以外に何しろって状況だったしね。
「あ〜もう!さっきからなんだよでぶっちょ狸!」
「おいこら名誉毀損で金払え!」
「金持ってねーよ!」
「ガチで!?」
イセちゃんがシドチの発言にキレたまま反応する。
シドチはでぶっちょ狸と言われた事に名誉毀損と言っていきなり金要求。
でもイセちゃん金持って無いと堂々と言い張る。すごいねほんと。ここまで何も言えない堂々な返し、シドチも初めてだよね。本気で驚いてる。
「えっちょ!?・・・いやいや!?ダンジョンマスターだろお前!?溜め込んでるお宝あんだろ!?」
「ダンジョンマスターになったの半日前。この世界に来たのも半日前。金持ってる訳ねーだろが馬鹿!阿保!間抜け!」
「ガキみたいな罵倒してくんな!あのボケギルマス共にはなんかズバズバ言ってたろ!?」
「コーダルさんに言われたはずなのに盗みを行いダンジョンコアという大事な物のはずが分かりやすいとこにあった事を疑問に思わず手に取ってきゃっきゃと喜んでいる姿を見てしまった僕に何か命令する気の太っちょ狸に文句言われる筋合いは無え」
「極端だなおい!?」
あ〜そうだった。イセちゃんダンジョンマスターになったのも、この世界にってか国に来たのも半日くらい前だもんね。
イセちゃんが色々出してたのはアイテムボックスからと、転換炉ってDPを変換・・・?お金代わりみたいに使って出してたんだよね。
イセちゃんはまだまだ伏せてるカードがあるだろうけど、お金は無いって言ってるしねえ。こんな嘘付かないでしょイセちゃんは。
「お前!?状況わかってんのか!?ダンジョンコアってダンジョンマスターにとって心臓の様な物なんだろうが!?これ壊されたくなかったら言う事聞きやがれ!」
「壊したら僕死ぬしダンジョン産のアイテム手に入らんし【闘士の門】の評判落ちるぞ?てか意味無いしそんな脅し」
やっぱシドチダンジョンコア人質・・・じゃなくて物質?にしてイセちゃんを脅すつもりなのね。
でもイセちゃんは全然びびってないねぇ。何で?あれ大事な物じゃ?
オレっちの疑問も知らず、イセちゃんはコーダルの方を向いて、
「とりあえずコーダルさん。あれって【闘士の門】の総意ですかね?」
「いや違う。彼らの暴走だから。総意なんかでは無いから」
「すみません。わかってましたが確認は必要ですから。心置きなく仕置きする為に」
ちゃんと確認するイセちゃん。さっきコーダルも釘刺してたって言ってたもんね。オレっちもコーダルが皆に言ってたの聞いてたし。
スレイがイセちゃんに質問するみたい。
「あの・・・イセ君?ダンジョンコアあれの手中にあるのに何で焦って無いのですか?あれ偽物なのですか?」
「本物の偽物ですね。ダンジョンコアだけどあれ壊れても困らん奴です」
へ?本物の偽物?どゆこと?
「本物の偽物?ダンジョンコアだけどもダンジョンコアで無いと?」
「えーと、まずあれは本物のダンジョンコアではあります。けれどあれは馬鹿を釣る為の罠・餌ですね。ダンジョンコアの役割は皆さんの漏れ出る不要な魔力や、魔法や武技に使用して体外に出て行った魔力をDPというダンジョンの、ダンジョンマスターと許可した人専用のお金に変える機能。そしてDPを消費してダンジョンの改装とか色々出来る装置。ここまでいいですか?」
「はい。ダンジョンコアの説明を受けた時と変わりありませんが」
オレっち達だけに先に簡単だけど説明受けてたのよねん。あの時の説明知らない人達にも教えてるのか。
ダンジョンで色々するなら知っておくべきだもんね。
「魔力をDPに変換する場合、基本的には専用の台座に置いていないと駄目なんです。ダンジョンを改装する為にも台座に置いてないと出来ませんし、ダンジョン内限定の特殊な設備や環境なども台座からダンジョンコアがある程度離れたら、設備は使用不能。環境・・・、滝とか噴水とかだと水が涸れるし、今晴れてる空が消えて真っ暗になったりするの」
へ〜。色々制約というか条件があるのね。
・・・ん?空が消える・・・?真っ暗?
・・・青空広がってるけど?
「ね〜イセちゃん。シドチがダンジョンコア持ってるのに、青空広がってるのは何故?」
「あれはこのダンジョンの機能に全く関係ないやつだから」
「なんだとおぉ!?」
シドチが目を見開いて叫ぶ。
持ってるダンジョンコアが全く関係ないってなったら脅しにならないもんね。
イセちゃんが落ち着いてる理由はそれか。
「まあ本物ではある。一応今ダンジョンで獲得してる総DPの1パーセントだけそのダンジョンコアに流れるようにしてるだけで。残念ながら僕に対する脅しにはならぬのだよ」
「なあぁ〜・・・!?じゃ、じゃあ本物ってかこのダンジョンの心臓ってか重要なやつは!?」
「言うわけねーだろ馬鹿」
言うわけないよね〜そりゃ。
オレっち達にも教えないだろうね。
「まー残念ながら僕に対する脅しに失敗したお前らには色々償ってもらわないとならない訳で」
「へ?色々?何の話だよ?」
「いやお前らダンジョンコア盗むって事は国の決定に反対したって事になるだろ?まだ正式に発表した訳では無いにしても、ここにいる人達にはちゃんとリフォは『ダンジョンマスターと取引する』って説明してたし、お前らも知ってるはずだろ?なのに僕というダンジョンマスターの命と言っても過言でないダンジョンコアを盗むって事は、僕を殺して利益を得る。もしくは脅して利益を得るつもりだったって訳だろ?まーどっちにしろリフォに・・・。いや国の決定に反対し自分達の利を優先したという事。えーとテロ・・・でなく国家反逆になるのかな?」
「「「・・・・・・」」」
シドチ達が青ざめてるね〜・・・。
リフォの、というか国の決定に反対ってそういう事なのよね。
イセちゃんが言ったテロってのはわかんないけど、まー反乱分子?として見られるのかな?
「てか僕は偽物とはいえダンジョンコアを盗まれ脅してきたというお前らのやらかした事。その茶番に付き合わないとならない訳で。そうなると魔法薬も魔法関係も進まないという事になるわけ。皆の邪魔を嬉々として行なっておいてじゃーそーゆー事でって感じで終わりにはならないよね?少なくともここにいるお前ら以外の全員の望みを邪魔した罪がお前らにあるだろ」
あ!?そうじゃん!オレっち達の毛の回復の為の魔法薬イセちゃんしか作れないのに!?素材持って来てさあ作ってって言おうとしたらイセちゃん達がわちゃわちゃしてたから待ってたけども、さらに遅れる事になっちゃったって事!?
「ちょっとシドチ達!オレっち達の毛の事どうだっていいって訳!?イセちゃんの代わりに裁くぞ!」
「そーだそーだ!ふざけんなよテメーら!」
「私たちの事忘れてたっての!?」
この〜!シドチもあの偽薬使った被害者なのに、目先の利益優先してオレっち達の事は〜!どうでもいいってんだね!
「しかしお前らスレイさんやリフォ敵に回す様なことよく出来たな。僕ならどうにかこうにかスレイさんだけでも味方にしてからやるのに。いやー勇気あるなー」
パチパチと拍手してるイセちゃん。
あーそーだよね。リフォもだけどスレイも敵に回すことになるよねこれ。
どーすんのかねシドチ達。
「待ってマッテまってぇ!?俺そんなつもりなかったからガチで!?ただダンジョンマスターからあれこれ搾り取ろうとしただけだからガチで!」
「僕を縛り上げるつもりだったの!?破廉恥!」
「縛るじゃなくて搾るだバカヤロー!?」
「破廉恥にもツッコめや!」
「どこに怒ってんだよ!?」
どうにか弁解?をし始めるシドチ。その発言を聞き間違えたのかただのボケか分かんないけど肩を抱き破廉恥と言うイセちゃん。シドチが違うと言うけど破廉恥にツッコミ入れろと怒るイセちゃん。
完全にイセちゃんのペースに飲まれてるねシドチ。
「イセ。馬鹿な事言ってないで話を進めようか」
ガシッとイセちゃんの頭に手を置くハウロウ。
ハウロウが怒ってるね〜。さすがにやりすぎたかな?
イセちゃんぷるぷる震えてる。
「はい・・・。と言っても僕が裁くのはな〜。色々遅れるし・・・。コーダルさんお願いします」
「わかった。しっかりと仕置きしよう」
イセちゃんやる気あったけど、これ以上怒られたり遅れたりは嫌な様で、コーダルにお願いしたねえ。
まあコーダルやスレイが仕置きするべきだよね上司だし。
「じゃあ僕魔法薬作りしてますから、魔法関係話し合いお願いねリフォ」
「おうわかった・・・じゃねえよ」
イセちゃんに返事したリフォだけど、離れようとしたイセちゃんを捕まえた。
「俺とマハガルに対する謝罪とかしろや」
「あぁ、忘れてたぁ」
「ちくしょ〜覚えてたか〜」
がっくりと項垂れるイセちゃん。
そだね。ちゃんとしなくちゃね。




