22話 正直に言えば減刑されるとは限らない
Side:ゴウ・レオナルド 獅子獣人
制裁でスッキリした後のご飯タイム中
カリッザグッ!じゅわっ。
「あっづ!?」
あっつい!?に、肉汁が飛び出して!?美味いが熱い!?・・・!ハウロウさんが冷えた水をぉ!?
「ゴッグッ!?ングッ!?・・・はぁ〜。ふぅ〜熱かったぁ〜」
う〜む。舌が、口の中がまだひりひりと・・・。
おっと、ハウロウさんにお礼をしなくてはのう。
「ハウロウさん、ありがとうございます」
「ああ。次から気をつけるんだぞ。一気に頬張るとこうなるから」
「はい、気をつけます」
イセが作った揚げたての唐揚げ。
美味そうな香りに堪らず一口。そして熱い思いをした。
イセが「熱いからふーふーしてね」と言っておったのにのう。わしらがふーふーと冷ます顔が見たいだけじゃろうと思って、せずに食べた結果じゃ。
注意をしてくれたのに、今までのイセのふざけっぷりで、無駄に警戒してしもうた。
「ゴウちゃん。イセちゃんの悪ふざけを警戒するのはいいけど、注意とか配慮とかは考えなきゃだめよん?」
「今までのふざけっぷりを見てて、警戒しないのは無理ですって。わしらの変顔見たいだけだろうと思って、こうなったわしが馬鹿じゃっただけじゃけども」
ビシャルさんについ半分程いつもの口調で返してしもうた。
・・・注意を受けたのに熱い思いをして恥ずかしさが。動揺しておるのじゃのう、わし。
・・・ん?恥ずかしがっとるとイセが何やら四角い箱?を片手に持ちやって来た。
話しが聞こえとった様じゃな。
真ん中辺りにキラリと水晶玉?板?のついておる、何やら色々突起が付いておる物じゃの。
「ゴウ。僕は確かに何処だろうと誰だろうと我が道突き進み、躊躇いなく本気で馬鹿やると決めてるけども。危険な事は危険と言うし、ちゃんと注意はするとも決めてるぞ。ふざけまくってる相手の注意や配慮を軽視して熱い思いしたのはゴウ。これに関しては僕は悪くねえ」
「確かに言う通りじゃがな?ふざけまくってる自覚があるのじゃったら、改めんか。友達無くすぞ?」
「誰かに好かれる為に自分を変えたら僕じゃ無くなるんでね。僕は僕のまま突っ走るって決めてんの」
むう〜・・・。なんかかっこいい返しをされたのう。
・・・突っ走るのは結構じゃが、改めるべき事は改めた方がよいと思うがのう。
「イセちゃん。それ何持ってるのん?」
「これ?ん〜・・・。その場の風景を紙に写す魔道具。こんな風に」
真ん中の結晶をわしらに向けて、上の出っ張りを押すイセ。
カシャッという音がして、箱の下に開いてる細長い穴から紙?が出て来たのう。
それを取り見るイセ。そしてわしらにも見せてくれた。
それにはわしらが写っておった。
わしとハウロウさんとビシャルさん。手元の料理や後ろの人達まで鮮明に写っておる。
「こんな感じにすぐに絵に出来るの。しかもいまカシャッて音鳴ったけど、この音を無くして撮ることもできて、こっそりと写真を撮る事も出来るの。・・・あ。写真ってこの絵のことね」
すごいのうこれ。綺麗な風景をそのまま絵に出来るのじゃろ?絵が下手な奴でもこのままの風景の絵に出来るのはすごい。
まあ狡い感じもするがのう。魔道具頼りなのも問題だという奴らもおるし。
・・・?こっそりと?・・・なんか嫌な予感が・・・。
ハウロウさんも疑問に思う様で、イセに、
「・・・イセ。こっそりと撮れるって、すでに俺達のことを勝手に撮ったりしてるのか?」
「うん。撮ってるよ?皆の唐揚げ食べて熱がってる顔も、あっちの3人の満足してる顔も」
「はあ!?」
何ぃ!?撮った!?すでに!?
わしらの熱がってる顔を!?
何しとるんじゃ此奴は!?
・・・あっちの3人?親父とマハガルさんとゴドさんのことか?
いや今それはよい!?
「あとモノタケ君だっけ?彼らも撮った・・・。というか撮るべきだと思った。まさか米食べれるってわかった瞬間泣いたり叫んだり、『嘘ついてんじゃねー!』て暴れだすとは思わなかった・・・」
「あぁ・・・。彼らにとって米は無いと困るというか、あって当然というものだからな。この大陸ではあの様に炊いて食べるのに適した米は育たなくて。こっちでは具と共に炒める料理に適した米が基本でな」
「?炊く方の米はどこから?別大陸?」
「ああそうだ。東方列島国エドフルなどが主に生産して交易品としているのだ。まあエドフルだけでなくあちら側の大陸で主に生産してるが。・・・あ、エドフルが列島国と言われている理由は大小の島があるからだ。大きな島が5つと小さな島が沢山のな。大きな島はかなりでかくて、5つ合わせてこっちの大陸の半分くらいらしい。まあその内一つの島は大陸の一部分だからあくまで面積での話らしいが」
「・・・この世界の技術でどうやって測ったんだ?」
「さあ・・・?分からんな」
あ〜。モノタケ達などあっちの大陸出身の人達は、米食べられなくて荒れとったのう。半年程前から米が輸入されなくのうて、高値になっていって今はどこも品切れ状態じゃったからのう。
・・・今それはよいわ!?いやモノタケ達の気持ちを軽視する気はないが!?今は・・・!?
「イセ!?お主何を勝手な事しとるんじゃ!?えっちょ恥ずかしいんじゃが!?」
「ふっ。勝手に?撮りたいって言っても断るだろ?だからこっそりと撮ったのさ!」
「いや、イセ?それをさらっと白状したら意味無いのでは?写真破かれるぞ?」
「だって黙ったまま後でバレたらやばい事になるだろうし、今のうちに白状しといたら怒られる程度で済むかなって・・・」
「お主はあぁ!?」
Side:ハウロウ 狼獣人
イセのさらっとした白状に呆れている
怒ったゴウがイセに向けて殴りかかる。
ブンッ!
「おわ!?」
と言いながらもひょいっと躱わすイセ。
すこし距離をとって、ダンッ!と音を立てて誰もいない所に跳んでいった。
ゴウはイセにすぐさま追いつき、怒りに任せて拳と蹴りを繰り出す。ゴウの乱撃をひらりひらりと躱わしているイセ。
ふむ・・・。近接戦闘もしっかりと出来るのだな。魔法を使った闘いしか見てなかったが、それだけに頼った闘い方しか出来ない訳では無いのだな。
「わっ!?だっ!?とおっ!?」
「えーい躱わすな!殴る蹴る程度で済ましてやるわい!10〜20発程殴らせろ!」
「一発二発でなく!?てかやだよ!痛いじゃん!」
反論しながらもゴウの攻撃を躱わすイセ。躱わす度に何か言っているが、しっかりと見切っているので癖の様なものだろうか?
2人の闘い?喧嘩?を見てる皆は、喧嘩の理由に呆れてたり、2人の闘いに関心していたりしている。
「おーいゴウ!一旦呼吸整えろ!乱れた動き全部読まれてんぞ!」
「イセぇ!躱してばっかじゃつまんねーぞぉ!おめぇも攻めろぉ!」
リフォとマハガルが2人にアドバイスを送る。
・・・いや、リフォはともかくマハガルはアドバイスでは無いな。
「ぬぅ・・・!?」
ゴウはリフォのアドバイス通り一旦後ろに跳び距離をとると、呼吸を整え始める。
「え〜・・・?いや、マハガル。これ僕が悪いし、反撃するのはちょっと・・・」
マハガルの反撃しろという言葉に返すイセ。自分が悪い自覚はあるのか、イセ。
「何言ってんだぁ。このままゴウが勝ってもスッキリしねえだろぉ?攻撃してこねえ相手を倒して何が得られるんだぁ?」
「ん〜・・・。殴ったらスッキリするんじゃね?殴るのが目的であって勝ち負けは結果ってだけで」
マハガルは一方的に勝ってもゴウが満足しないだろうと。
イセは殴ってスッキリするのが目的なら勝ち負けはあまり関係無いだろうと。
確かにゴウはどうせ闘うのなら満足する闘いが良いだろう。だがイセ自身が悪いと自覚していて、反撃等する気無いと言っている。
・・・俺もイセが闘うのを見たいのだがな。
「てかよぉ、さっき『あっちの3人』って言ってたけどよぉ。それって俺らかぁ?」
「え?うん。リフォとゴドさんとマハガルの熱がってる顔と、お腹いっぱいで満足した顔撮ったけども?まーほんとは初めて食べた時のリアクション撮りたかったんだけど、マハガルはすでに食べちゃってたしね〜。そこは仕方ない」
「いや何が仕方ねーんだよ」
マハガルの疑問に答えたイセにツッコむリフォ。
「あ。そういやイセ。他の奴ら撮ってねーのか?」
「撮ってるよ?コーダルさんとスレイさ・・・」
リフォに聞かれたイセ。
証拠を出す様にアイテムボックスから写真を扇を開いたように手に持って、そこまで言ってイセは固まった。
イセの背後にスレイが立っていて、イセの頭に右手での手刀を軽く当てているから。
スレイがシュンッ!と高速で動いて背後を取った。俺はスレイのあの動きは見えたが、イセは全く分からなかった様で、だらだらと冷や汗を流している。
「イセ君?それをどうするかで君が助かるか否かが決まりますが、どうしますか?」
「・・・そっそうで、ですね。そっそれじゃあ・・・」
ガクガク震えるイセが、スレイに向き直り、
「こうする!」
と言ってアイテムボックスに写真を突っ込んだ。
ズゴンッ!
「ごっ!?」
スレイの手刀がイセの頭頂部を叩き、悲鳴と共にイセが地面に勢いよく倒れた!?
まずい!?イセのレベルではスレイがいくら手加減していても重症になるかも!?
俺だけでなく、ビシャルやコーダル。リフォ達もイセに駆け寄る。
ゴウもさすがにイセが心配らしく駆け寄って来た。
「・・・っ〜〜〜〜!?おぉ〜・・・!?」
呻き声を上げるイセ。意識はある様だな。良かった・・・良いのか?これ。
頭を抑えて蹲っているイセ。うんまあ痛いよな。それで済んで良かったとは思うが。
スレイは右手を押さえているな。どうしたんだ?
「スレイ?どうしたんだ?」
「・・・イセ君が石頭・・・、だった様で・・・」
・・・イセの頭はスレイも痛くなる程の石頭だったと。
それを聞いたマハガルがイセの頭をつんつんする。
「イセって石頭なんだなぁ。スレイが痛がる程のぉ」
「ぢょっ!?いだっ!?おまっ!?」
「やめんか!痛めてる所を触るな!」
マハガルの腕を掴み止める。まったくこいつは。
イセは大丈夫・・・な訳は無いな。泣いているし。
「え〜っとイセちゃん?なんでああする道選んだの?こうなると分かってたでしょ?」
「うぅうぐぅ〜・・・!?だって僕の精神安定剤だし・・・」
「もっと他にあるでしょうが」
ビシャルの疑問に答えるイセにツッコむスレイ。
まだ怒ってるな。写真アイテムボックスに入れたままだしな。
スレイが手を差し出して言う。
「さあ早く私とコーダル様の写真を出しなさい。さもなくば頭を掴みますよ」
「・・・す、スレイさん・・・!?その事ですけど一つ聞いていいですか・・・!?」
「?何ですか?」
痛みを堪えながらイセが聞く。
「スレイさんとコーダルさんのだけでいいんですか!?他の人のは精神安定剤として持ってて良いと!?」
「別に構いませんが?」
「うおい!?」
スレイの回答にリフォが噛み付く。
「俺達の変顔はいいって酷くね!?イセの事だぞ!?この場にいる全員の写真撮っててもおかしくねーだろ!?」
「撮ってます!」
「マジで撮ってんのかよ!?」
「はい証拠!」
アイテムボックスから大量の紙。写真を取り出すイセ。
俺の食べてる写真以外にも、顔だけ撮った写真にマハガルを止めてる写真もあるな。
いつの間に。
「・・・おーいイセ?お前これどうやってしたんだ?あの箱持って無かっただろ?」
「このボロ布の服に付いてる装飾品が、カメラの・・・あぁ。この箱型の魔道具のことね。写真なり映像なり撮れる奴の総称がカメラなの。んで、このカメラのこの部分。真ん中のキラキラしてるレンズって言って、服の装飾のキラキラしてる水晶の様な飾り部分がカメラのレンズと同じなの。まあ色々違う部分あるけど大体そういうものって事で。着てる人の好きな時にどの飾り部分から撮影するか頭に浮かんで選べて、撮った写真は関連付けした魔道具が作ってくれるの。アイテムボックスに入ってても出来る様にしたから、この量になったって事」
・・・・・・・・・。
えーっと・・・。
物凄い技術だと思う。だが、物凄くくだらない目的で使っているな。
もっと輝く使い道があるだろうこれ。
貴族や大臣などの不正などの場面を写真に収めるとか、窃盗などの証拠。
俺には後はあまり思いつかないが、こういう使い方をするべきだと思うのだが・・・。
というかカハトになんか言われた時、魔道具付いてないとか言ってた様な?・・・戦闘力を上げる類いでは無いという意味か?
「凄い技術をなんてくだらない使い方してるんですか!?」
「僕が鍛えた技術を僕の望む形で使って何が悪いってんですか!」
「少なくとも私達が不愉快な思いをしてますが!?」
「そうですね」
ガシィッ!グググッ・・・!
「ダダイダダダダアァ〜!?」
「そうですねじゃないでしょう?」
「ご、ゴメんナさイ〜!?どっどうかこれで!?」
イセの頭を鷲掴みにして力を入れるスレイ。
イセがアイテムボックスから一枚の写真を取り出す。
「?何ですかこれは?」
「リフォが唐揚げ食べて熱がってる顔のアップです」
「いやまてこらイセぇ!?」
リフォが慌ててイセの胸ぐらに掴みかかる。
そのせいでスレイの手が頭から外れて、外れた刺激で更に激痛が走った様で、
「イダあぁ〜!?何すんだリフォ!?」
「オメーが何してんだよ!?何故にスレイに俺の写真渡してんだ!?それで何が出来るよ!?」
「え?リフォの変顔でスレイさんスッキリしてくれれば、許してくれるかなって」
「んな訳ねーだろ!?」
リフォの言う通り、それでスレイが許す事はないだろう。
確かにスレイはリフォを嫌ってはいるが、尊敬出来る事や長所もしっかりと見るからな。
リフォの変顔写真を渡しても許してくれないぞイセ。
「はぁ・・・。何かと思えば。まあ面白い物ではありますが、これだけで許す訳はありませんよ?」
「まあ無理ですよね。だったら更に他のを出すまで!」
リフォに宙吊りされたままアイテムボックスに手を入れるイセ。
まだ何かあるのか。
イセが取り出したのは、何やら小さな緑色の粒が沢山入っている瓶だった。
「それは?」
「ご飯の後の息が臭わなくなる奴です」
・・・思ったより良いのが出て来た!?
俺も欲しいぞイセ!?
「・・・本当ですか?」
「はいどうぞ。一粒水で溶かして飲めば良いだけですので」
瓶と水が入ったコップを渡すイセ。スレイが粒を水で溶かし飲むと、すぐにスレイは効果を実感した様で。
「・・・!?確かに効果がある様ですね。香りで誤魔化すのではなく、無臭化ですか」
ほう。誤魔化すのでなく、臭いを無くすと。
いままては香りで誤魔化すのばかりだったからな。
そっちの匂いが辛かった。
「イセ君。ありがたいですが、私だけ良くても周りの方々に申し訳ないので、希望者全員にこれを配るなら、私とコーダル様の写真を削除するので許します」
「いやスレイさん?他の人の写真は?ありがたいですが」
「当人同士の話し合いで決めてください」
ん〜。結局スレイとコーダルの写真削除は譲らなかったな。
まあ俺のは削除しなくていいが。とりあえず俺の分貰えるか聞こうか。
「イセ。俺も欲しいのだが、くれないか?代金は払う。もしくは写真の削除を強要しない事を条件にしてもいいから」
「え!?いいの!?写真削除しなくても!?」
「構わないが?」
「それじゃあどうぞ!・・・て言いたいんだけど・・・。これだけしか無くて。作るまで待って欲しいんだけど」
むう・・・。在庫切れか。
それは仕方ないな。作るまで待つか。
「分かった。出来たら渡して欲しい」
「うん」
「イセちゃん!オレっちのも!」
「私にもくれないか?」
ビシャルとコーダルも欲しいと。
・・・他の人達も一斉にやって来たな。
私も!俺も!お金払うから俺から!俺は倍払う!いや値段言って無いですし、そもそもいくらか考えて無いですし。後僕こっちの通貨知らないし。
次々に俺も私もと言う皆。イセは金払うと言われても値段考えて無いと。そして通貨も知らないと。
・・・そういえばまだそういうのも教えて無いな。きっちりと教えないといけない事がまだまだあるな。
「・・・わし、どうすりゃいいんじゃ・・・?この怒りどこに・・・?」
・・・あ。戦闘を中断されたままだったなゴウ。
・・・どうしよう。
考えてたらコーダルがゴウに、
「ゴウ君。闘技場でイセ君と闘う感じにするから、今はそれで納得してくれないか?」
「コーダルさん。イセがそれに応じますかね?のらりくらり拒否されるのでは?」
「それは任せてん。イセちゃんにその気にさせてみせるから」
ゴウの疑問にビシャルが答える。
俺も協力するか。
「俺もビシャルに協力しよう。ちゃんと力を分かりやすく見せなくては、皆の納得を得られないと言えばイセも闘ってくれるだろう」
「そうだな。イセ君もさっき皆が闘いを楽しんでいたのを見ただろうし。それに案外闘技場に来たら自分から闘ってみたいと言うかも知れない」
コーダルも俺の意見に同意。
闘技場に来て闘いたいと言うかは分からないがな。
ゴウも俺達の提案に納得してくれた様だ。
ひとまずご飯の続きに戻ろうという話に。
途中だったものな。
・・・というかモノタケ達はこっちの騒動にも気づいて無い様だな。ご飯をゆっくり味わっている。どれだけ飢えてたんだ。




