20話 髪の手入れってファンタジーだと色々方法ありそう
Side:ダルヤ・ラルス 黄狐獣人
現場指揮終わってダンジョンに入った
イセに仕事増やされた事に怒りと共に感謝している
王城で会議。
会議では反王派がダンジョンマスターであるイセ君との取引を否定、ダンジョンを即刻攻め落とすべしと喚いた。
普通派(注:反王派閥に組みしてない方々)が反王派の意見に反論。
王はイセ君に貰ったアイスをゆっくりと堪能。
ゴドも同じく。
私も味わいました。
大臣達だけでなく、城の兵士に使用人達にも配りました。
・・・よく考えたら短時間でアイスなどの氷菓って作れるのか?
・・・出来たから食べているのですけど、不思議ですね。
普通派の大臣達は、ダンジョンマスターからの贈り物を、すでに食べてしまった反王派に、反対意見など言う権利無しと言っていました。
アイスだけで無く、イセ君は王とゴドとマハガル殿に出し、私達にも出してくれたサンドイッチも渡してくれました。
反王派も普通派の大臣達もそれをすでに食べていました。すごい勢いで。
それに関しては、反王派も反論出来ずに歯軋りをしていましたね。
王がダンジョンマスターと取引することで締めようとし、普通派大臣達も意義無しと同意。
しかし反王派は王がダンジョンマスター・・・、長くて面倒ですしイセ君でいいですかね。イセ君の策略にかかっていると。
悪しきダンジョンマスターであるという事を強調して、反対だと叫んでいますね。
イセ君が悪か善かは、まだ短い付き合い(精々2時間ほど)ですし、私の主観でしかないですが、悪では無いかな、といった所ですね。
王やマハガル様と似て異なる、自分の思い描く道、望む道を突き進む。
自分の意思を貫く。
ある意味で厄介で羨ましいとも思える人ですね。
自分が嫌だと思える事にきっぱりと言い切る胆力。
ダンジョンで魔物を生み出して、この辺りでは出てこない・希少な魔物の素材を手に入れられるかも、と思い提案しようとした途中で、はっきりと『嫌です』と。
例え王やマハガル様が力で脅迫しようともしないと。
自分の意思をしっかりと言った。
というか自分の欲望に正直過ぎますね。
王とマハガル様の阿保な脅し(教えないなら2人の体でイセ君を挟み続ける)に、『絶対教えねー!挟まれ続ける道を選ぶ!』と言い切りました。
3人に呆れて止めるのを忘れていましたね。
ハウロウ様がイセ君と王とマハガル様を説得するという、訳の分からない展開に。
スレイ様が無理矢理止めて、さらにスレイ様とイセ君が喧嘩になりかけて、コーダル様が止めるという話に。
ぐだぐだというか、何と言うか。
イセ君が王とマハガル様の脅しに、しっかりと断ると言えばこうはならなかったかと。
まあ、イセ君の善悪は置いておいて、反王派が王は罠に掛かった。策略に嵌ったなど言っています。
しかし、王は反王派がいつまでも反対するのに苛つき、強めに怒気を放ちながら、反王派に大声で怒鳴ります。
自分だけならともかく、コーダル様やスレイ様達も間抜けで罠に掛かったも言われているのですから。
反王派は気づいてないでしょうが。
王がイセ君にカツサンドなどを出されて食べたのは自分だけで無いと言った時、突然謎の音が響きました。
ピロリロリンッ
という音が何度か、王の近くにある板から聞こえました。
イセ君が王とコーダル様とスレイ様に渡していましたね。
王が板に表示された文字を指で押すと、
『おいこらリフォ!俺が罠仕掛けたみてえに言うな!飲み物や茶菓子を出したら、お前とマハガルとゴドさんが「甘いものだけでなく肉系も」て言ったから出したんだろが!』
板にイセ君の姿が!?と驚きました。
『連絡出来る物』とは言われていましたが、まさか声だけで無く姿や周りの風景まで見えるなんて。
何故か王の言っていた内容を知っていたのかはすぐに本人が教えてくれました。
どうも【使い魔】と言う魔法?技術?で遠くを見れる様で、すでに勝手に冒険者ギルドと魔導士ギルドを調査していたみたいです。
こっちが計画を立てて、イセ君にも調査協力を頼もうかと思っていたのにと叱ろうかと思いましたが、イセ君が勝手に調査した理由を聞いて納得しました。
国や衛兵なりが調査するとなると、どうしても大人数になりますし、動きが分かりやすいです。
調査する前に不利な証拠を隠される・消されるでしょう。
イセ君は私達に説明せず、目立つ囮にさせて奴らが自ら証拠を取り出し、探す労力を使わずに証拠を確保回収したと。
・・・囮にされるのはまだ良いですが、一言あっても・・・。
いや、事前に知らされてるとどうしても勘付かれる可能性が出てきます。
知らなければ警戒のされようが無いと。
私達という大きな勢力を囮に仕立てたのですね、イセ君は。
だからといって王城に無断で侵入した事は、一言二言言わなくては。
王城侵入の件も置いといて、イセ君が使い魔に持たせたアイテムバックの中の証拠に目を通す。
・・・反王派のまとめ役アギース・ヘイガル・ザギラが、冒険者ギルドマスターダーデと魔導士ギルドマスターカハトと奴隷として獣人を売り渡していたという証拠。
契約書に3人のサインが入っている物でした。
一枚だけでなく何枚も、最近の物から古めの物まで。
かなり昔からの様ですね。
・・・これが奴らの資金の元ですね。
もっと早くやるべき問題でしたね。
この3人と部下には全て吐き出させるとして、関わりあるであろう者達を全員捕縛。
3人は王城の地下牢に。
・・・イセ君が簡単に侵入出来たとか言っていたので不安ですが。本人が色々やっといたとも言っていましたが。
・・・後でしっかりと説明してもらいましょう。
冒険者ギルドと魔導士ギルド。反王派の大臣達とその支持者の住居。関係各所に強制調査。奴隷にされた人達の救助。他国に売られてしまったであろう人達の捜索。
一気にやらなくてはならない事が出来てしまいました。
・・・イセ君。奴らを裁くのに必要な証拠を渡してくれたのはありがたいですが、一気に仕事を増やされたのは許しません。
とりあえずこれらの事のおおまかな方針を決める会議をして、私はこのまま現場指揮に。他の大臣も一緒に。
王とゴド、捜索調査に行く大臣達とは別の大臣達はダンジョンへと行きました。
どうもイセ君が王に渡した魔道具の板。【魔動端末板】と言う物らしいですが、どうもイセ君の持っている【魔動端末板】からの連絡を受ける事しか出来ないようなのですよね。
王からというかこっちから連絡する事が出来ないのは困ります。・・・イセ君のイタズラの可能性もありますが、これについては確認の必要がありますね。
連絡を取れないので王とゴドは連絡ついでに大臣達にイセ君に合わせる為、ダンジョンの確認の為に行く事に。
私達は馬鹿達を捕まえに行きました。
そこで色々あり、王やイセ君にも伝えて話しをする為に、私達もダンジョンへと。
「・・・という感じでここに来たのですが。何ですか?イセ君は騒ぎを起こさないと死ぬんですかね?」
「いやそういうのではなく、どちらかと言うと問題解決の方向性というか、タイミングというか。イセの感覚とこっちの常識とのずれというか」
ダンジョン一層目に降りている最中から、下から騒ぎ声が聞こえてました。
魔法の訓練かなと思っていましたが、ちょっと・・・。いやだいぶ違いました。
ハウロウ様達が私達の方に来て、説明してくださった時。
王とイセ君のいざこざ?を知りました。
ハウロウ様が説明してくれています。
「王がイセ君が手直し?したガーディアンの魔法の教本の魔法全部を、いきなり勝手に刻もうとした事に関しては、王が悪いです。私もその場にいたら王の行動を荒っぽく止めたかもしれませんし」
王がイセ君がまとめてた魔法の束を、勝手に刻もうとしたのを止めた。
ここまでは良いですが、問題は・・・。
「止めるために、王の真下から突風を生み出して、魔法陣の束を巻き上げて掴んだ。そこまではいいです。その突風で王の立髪が酷い事になったのは本当ですか?」
「「「本当です」」」
話しを聞いていた皆さんが、本当であると言いました。
・・・王が悪いのですが、イセ君。やり過ぎです。
獅子獣人だけでなく獣人は毛を大切に手入れします。
長旅など、特定の状況下ではある程度仕方ないものもありますが、基本的に綺麗に整えています。
王もしっかり綺麗に整えてますし、私達も例外ではありません。
・・・イセ君のやらかしは不可抗力・事故の様なもので片付けても良いのですが、彼はどうやらこうなるかなーと期待していたと自白していた様で。
「・・・王は?何処に?あとイセ君も」
「あそこに」
ハウロウ様が指差す方に、布の壁?が四方を囲む場所があり、その中から王とイセ君。ビシャル様もいるのが匂いで分かりますね。
何をしているのでしょうか。
「一体何を?」
「リフォの立髪を綺麗にする為に、イセが作った場所だ。ビシャルは綺麗にする方法に興味が湧いてついて行った」
ひとまず近くに寄り、王達の様子を確認しますか。
ハウロウ様とコーダル様達も一緒にあれの近くに。
『あ〜・・・。イセ、もうちょいそこ』
『ここ?』
『あ。ちょい右』
『この辺?』
『あ〜そこそこ』
・・・何をしているのでしょうか。
ハウロウ様が声をかけます。
「イセ達。何をしているんだ?」
『あ、ハウロウ。何ってリフォの髪・・・。立髪って髪でいいの?』
『髪っつーか、立髪だな』
『いやだから髪判定なの?』
『立髪だ』
『・・・立髪洗ってる』
・・・イセ君。髪と立髪は同じと考える人と別々に考える人がいますが、イセ君のいた世界ではそういう話は無いのでしょうか?
「イセ君、入って良いでしょうか?」
『え?ん〜。リフォ、どうする?』
『別にいいぞ〜』
『だそうですよ〜』
2人の許可を得て布の扉?を開けて中に。
王が椅子?台?の上で横になっていて。いや、横というか頭・・・というか上半身側が少し下に傾いていますね。
王の髪と立髪は泡で包まれていて、目の所にタオルが置かれて泡から目を守っている様ですね。
王の頭は台所の流し台の様な物の場所にあり、イセ君が王の髪と立髪を泡で揉む様に洗っていて、ビシャル様はその様子を興味深そうに見ています。
「どうした?ダルヤ」
「どうしたって、こっちの言葉ですが。イセ君に立髪やられたって聞いてこっちはびっくりしたんですからね」
「おう。まー俺にも非があるって反省はしてるんだ。イセにもなんだかんだ禊いでもらってる最中だし、これに関してはこれで終わりにしてくれ」
「・・・当人同士で解決してるなら、私も構いません」
すでに反省も禊ぎもしているのでしたら、私がこれ以上言うのはちがうでしょう。
ですが、言わなくてはいけない事。聞かなくてはいけない事もあります。
「それでイセ君。こうなった経緯は聞きました。王が魔法陣全てを勝手に刻もうとしかけ、イセ君が止める為に真下から突風を打ち上げる様に起こし、王の立髪がと。咄嗟の事とはいえ、もう少し穏便な方法は無かったのですか?」
「僕程度が出来る穏便な方法で、リフォという格上の脳筋を止められる訳ないですよ。多少荒っぽく止めてもリフォなら笑って終わると思いまして。酷い事になるかなーって期待もありましたが」
「反省してないんですか!?」
イセ君!?何を言ってるんですか!?
いやあの、失礼でしょうが確かにイセ君のレベルでは、王相手にどんな穏便な方法かは分かりませんが効果は薄い。もしくは意味の無い、そよ風程度のものかもしれません。
むしろちょっと効果があれば、王ならば「おー!すげえな!」とか言いそうですけど。
あぁいや、そこは良いです。
酷い事に、面白い事になるかな〜と期待して行うのはどうなんですか!?
「イセ君!?確かに君の言うように、王に対して穏便な方法は効果が薄いでしょうけど!?酷い事になるかな〜て期待して行うのは駄目でしょう!?というか態々言う意味は!?」
「ダルヤさん。僕は魔が刺したんでなく、本心からリフォの立髪をあんな事に出来るという、チャンスを見逃すなんて出来なかったんです。これだけは偽れない、嘘をつけない」
「本当に何故言い切れるんですかね君は!?」
イセ君。君という子?は何故こんな馬鹿げた事を、堂々と言い切れるんですか?
大臣達も君の発言に、怒りとか呆れとか色々な感情の、なんとも言えない顔になってますし。
「だ、ダルヤ様?本当にこの失礼な少年が、ダンジョンマスターなのですか!?」
「・・・気持ちは痛いほど分かります。が、本当にこのイセ君がダンジョンマスターです」
「「「・・・・・・・・・」」」
大臣達が私の返答に沈黙で返してきます。
気持ちは本当に分かります。けれど本当にイセ君がダンジョンマスターなんですよね。
イセ君と王がこっちの状況を考えてないかのように、先程の続きをし始めました。
「リフォ。泡流すからお湯かけるぞ〜」
「おう〜」
台に繋がっている、曲がる管の先を掴み、カチッと何かを押すイセ君。
管に開いている穴からお湯が出て、泡を洗い流す。
どういう仕組みですかね。
「・・・あのさリフォ。失礼かもしれないけど、気になる事聞いていい?」
「あ〜?なんだ?」
「リフォって立髪大事なんだよね?」
「当たり前だろが」
「の割には結構毛傷んでるけども?こっちって髪とか毛の手入れって、王様でも難しいの?」
「んだとお!?」
は!?傷んでる!?
王の立髪が!?
そんなまさか!?
毛の手入れ用の薬剤は、高レベルの錬金術師達が一から手作り。高額を払って購入しています。
王も王子達もそれを使用して手入れしております。
なのにイセ君から見たら傷んでる!?
どういう事ですか!?
王が立髪が濡れたまま起き上がり、イセ君の肩をガッチリ掴み揺さぶっています。
「おいイセ!?マジか!?マジで傷んでるって言ってんのか!?」
「ちょっ、おま!?濡れたままで立つな!?服濡れるてか、僕もっべぇ!?」
王の立髪から滴るお湯がイセ君の顔に思い切りかかりましたね・・・。
え〜と、どうすれば良いでしょうか?
迷っているとハウロウ様が王を羽交締めにして止めています。
「リフォ落ち着け!?お湯が飛び散っているぞ!?」
「あ!マジだ!?どうしてくれんだイセ!」
「いやおかしい!?何故に俺のせいになんだよ!?お前が濡れた立髪のまま立って暴れた結果だろうが!?」
羽交締めで止めたハウロウ様も含め、3人の服が下までびちゃびちゃになってしまいましたね。
あと・・・王・・・。イセ君の発言がきっかけだとしても、濡れたまま立った王が悪いです。
「すみません。濡れてない方達は一旦外に。着替えますんで」
「あ、ああ。分かりました」
イセ君に言われて濡れてない人、3人以外は外に。
イセ君がおそらくアイテムボックスからタオルや着替えを出した様な音や声が聞こえます。
『んもう、きっかけは僕だとしても、びちゃびちゃにしたのはリフォだろ?ハウロウまで濡らしやがって・・・。うえぇ・・・下着まで・・・』
『んだよお〜。いきなりあんな事言われて冷静になれるか。かなり気をつけて手入れしてたのに、お前から見たら酷いって分かったんだろ?マジで酷いなら他の奴らも同じだって話しだしな』
『イセ、リフォの立髪に触ってから気づいたのか?傷んでいると』
『うん。見ただけじゃもしかして程度だったけど、触ってやっと確信が持てたの。というかリフォ、他の奴らって?』
『ん?俺が使ってる薬剤は、他にも使ってる奴らがいるんだよ。そいつらも傷んでる可能性大だろ?』
『あ〜・・・。ハウロウ、もしかしてビシャルやスレイさんも?』
『ああ。俺も使っている。・・・見てくれないか?』
『分かった』
会話からするに、イセ君は最初からかは分かりませんが、私達の毛について気づいていたのでしょうか。
王やビシャル様達だけでなく、かなりの獣人が同じ薬剤で手入れをしています。
ビシャル様が話しを聞いて固まっていますね。
『あ〜・・・。ハウロウ、傷んでる』
『・・・そうか。これでイセの話しに信憑性が出来たな』
『いやまだ2人だけだし。そんだけで信憑性もなにも無いよ。僕の確信は傷んでるのが確認できたってだけの自己満足だし』
『おーいイセ。これ小さくてきついぞ〜。もっと大きい肌着ねーのか?』
『え?あ〜ごめん。それ以上のは持って無いの』
ハウロウ様の毛を確認して、傷んでいると言ったイセ君。
ハウロウ様の発言にツッコミを入れてイセ君から呆れの声が出ました。
王は用意された肌着が小さいと言っていますが、イセ君は待ち合わせが無い様です。
・・・ん?ビシャル様が突然走り出した!?
バッと布の扉?を開いて、
「イセちゃん!?オレっちのも見てぇ〜!?」
「わあぁ〜!?ちょっおまっまだ着替えて無い!?」
「ビシャル!?突然何だ!?」
「うおぉ!?ッとお!?」
イセ君は驚きタオルで全身可能な限り隠し、ハウロウ様はイセ君と私達の間で壁になる様にイセ君を隠し、王は突然入って大声を出したビシャル様に驚き、濡れた地面で足を滑らしたがギリギリ堪えましたね。
(注:3人共下は履いてます)
女性もいるので私とゴド、スレイ様と他の人達が入り口を隠すように壁に。
・・・イセ君、毛太りもありますがお肉もついてますね。
ふくよかでした。
「イセちゃん!?早く確認してぇ〜!?オレっち心配でおかしくなりそお〜!?」
「着替え途中の僕等のとこに突撃してる時点でおかしいだろうよ!?つーか落ち着けえ!?」
「ビシャル!?イセに抱きついてもイセが確認出来んぞ!?一旦離れろ!?」
「おいイセ!?早くでけえの出せよ!」
「無いっていったろ!?あとそれどころじゃねー!」
慌てふためきイセ君の足に抱き付くビシャル様。
そんなビシャル様にツッコミを入れるイセ君。
ビシャル様を落ち着かせようとするのと同時に、イセ君の安否を心配するハウロウ様。
そんな騒動を見ながらもイセ君に大きいサイズを求める王と、王にツッコむイセ君。
イセ君大変なのによくツッコミ出来ますね・・・。
いや感心する前に濡れた場所での騒動は危ないので早く止めなくては!?
私達はとりあえず落ち着くように4人に。というかビシャル様を止め、イセ君達に服を着てもらった。
「はぁ〜・・・。ショックだよ・・・。オレっちの毛まで・・・」
「てゆーか1人も気づかないのもおかしいけどね。どうして?」
「イセちゃんにとってはおかしくても、オレっち達にとっては当たり前。というか今使ってるのが一番効果的だと思ってたって事。よくも騙したなぁ〜・・・」
ビシャル様が落ち着いた後、イセ君が確認。
他の獣人にソフィ様など多種族の方々も気になり確認して欲しいと言って来ました。
結果。皆様の毛が(私も見てもらいました)傷んでいると発覚。
ビシャル様は勿論、確認してもらった獣人達と、同じ薬剤を使っている獣人や他種族の方々も激怒しています。
「あの〜ビシャル?騙したかは分からんよ?その錬金術師達とか薬剤がどんなのか知らんけど、本人も騙されたってパターンもあるわけで」
イセ君がビシャル様だけでなく、周りにも声をかけるように言います。
「どゆことイセちゃん?」
「ん〜、まず一つ。錬金術師本人達も騙したつもり無く、本当に効果が薄いのを知らなかったってパターン。二つ目はボケギルマス共と手を結び、獣人や多種族に嫌がらせを行ったってパターン。三つ目は皆の髪用薬剤の使用方に誤りがあったってパターン」
「・・・いや三つ目は無いと思うよ?1人2人、10人位ならあり得るけども、こんなに沢山の人がなってるのよん?」
「あくまでも可能性だよ。あり得ないってだけで除外するべきじゃない。色んな可能性を考えるのって大事だよ。本当に三つ目の場合もちょっとはあるわけだし」
イセ君が言った三つの可能性。
一つ目と二つ目はあり得ますが、三つ目は・・・。
いや、イセ君も言っているように、あり得ないだけで除外は駄目ですね。
イセ君が言ったようにあくまで可能性。
もしかしたら程度でも、頭の片隅に置いておくのは問題ありませんし、私達の過失の場合、錬金術師達が冤罪で処罰される訳です。
しっかりと調査するべき事です。
「・・・あっ、そうだ。現物無い?なんか分かるかも」
「・・・あ!そうじゃん!?イセちゃんが見たらなんか分かるかも!?え〜と、これこれ!」
ビシャル様が鞄から薬剤入りの瓶を取り出しました。
薄い緑色の透明感がある液体。私達も使っている髪用の薬剤です。
「・・・こんなのなんだ」
「そ。こんなの」
「とりあえず見ますかね〜っと」
イセ君が椅子に座り机に瓶を置き、魔結晶も置いて手を机に。
すると瓶を中心に魔法陣が出現しました。
イセ君のスキル【魔導錬成】ですね。
自分の魔力の代わりを魔結晶で補うのでしょうか?
魔力を貯められる結晶に込めて、好きな時に魔力を取り出せる魔結晶。かなり希少で高価なものをさらっと使ってしまうのか。
イセ君は物の価値観が私達とずれてるのですか?
【魔導錬成】はイセ君が言うにはどこでも錬成台が無くても錬成出来るだけとか言ってましたが、そもそも錬成自体高度な技術だと分かっているのでしょうか?
私の疑問など知る由もなく、イセ君が薬剤の解析結果を教えてくれます。
「あ〜・・・。悪意寄りかな?かなり薄めてるし、薄める液が髪とかにダメージ与えるやつだもん」
「「「・・・へぇ〜」」」
イセ君の台詞にビシャル様が。否、私達も全員怒りを表しました。
ビシャル様が走り出し、追いかける様に王だけでなく、スレイ様やゴウ様、その他の人達も走り出しました。
錬金術師達を制裁する為、錬金術師ギルドへと行ったのでしょうね。
イセ君はそれに気づかずに続けました。
「本来なら原液をスプーン大さじ一杯程を、水やお湯を入れた桶一杯に入れて薄めて、髪とかに手で掬って塗るタイプなのに。1分くらい馴染ませてお湯で洗って乾かして完了という物だね。けど、ここまで薄いと効果ろくに無いな〜。薄めてる液が毛に悪影響というか害だし、抜けたりしない程度にして高額で売って金搾り取って、頃合いを見て液の分量増やして、獣人を中心に被害を出そうって思惑が見えるな」
「・・・イセ君。これを悪意を持って私達に売っていた。そう断言出来るほどの証拠ですか?」
「ダルヤさん。あくまで僕が解析して分かっただけです。これ作った奴らと作った場所と、材料や道具を調べればもっと・・・」
言いながらこっちに振り返ったイセ君。
ここでやっと人が少ないのが分かった様で、
「・・・あれ?ビシャルは?スレイさんも、というか人少なくないですか?」
「イセ君が作業して解析結果を言った途端に、皆錬金術師ギルドに殴り込みに行ったぞ?」
「・・・作業してたとはいえ、それに気付かない僕って・・・」
コーダル様の説明にがっくりと項垂れるイセ君。
しかしすぐ顔を上げて【魔動端末板】を懐から出し操作し始める。
スレイ様の名前を押し、王に連絡した様にスレイ様に連絡を取ろうとしているのでしょう。
あ、これに関して聞いておかなければ。
「イセ君。そういえば王に渡したこれでは、君からの連絡を受け取る事しか出来ませんが、何故ですか?こちらから連絡出来ないのは不便なのですが」
「リフォだからですね。ダルヤさんやゴドさんなら、スレイさんやコーダルさんに渡してるのと同じ性能。僕のと同じのを渡してもいいと思ってるんですが、リフォに渡したら会議中とかに僕に意見聞きたいとか、政治に利用されそうだったんで」
「・・・なるほど?」
・・・さすがの王でもイセ君を会議の最中に連絡はしない・・・。あーいや?するかもしれませんが・・・。
イセ君はそんな心配があったから、王のは連絡受けるだけの性能にしてるという事ですか。
納得はしました。
おっと、スレイ様が連絡を受け、イセ君の【魔動端末板】にスレイ様の顔が。
『イセ君、何か?』
「いや、『何か?』でなく、何で既に突撃かましてるんですかあなたは?というか皆さん」
『イセ君が解析した結果を聞いて、私含めた皆様が錬金術師ギルドに、制裁しに行く事になっただけですが?』
「だけですがでなくて。せめて一言言ってくれません?」
スレイ様。よく走りながら答えられますね。
周りには王とゴウ様とビシャル様達もいますね。
もうすぐ錬金術師ギルドですね。
「あの〜。一応言っておきますが、殺るのは無しの方向でお願いしますね?」
『?何故ですか?』
「うん、スレイさんがそう言うとは思わなかった。どんだけ怒ってるのかは伝わりましたが、錬金術師ギルドの全員が関わってるか定かで無いのに、全員殺るのは駄目ですからね?というか錬金術師ギルドの建物の中で暴れられても困りますし」
『・・・とりあえず死なない程度にしますが、建物内で暴れるのが困るのは、証拠が欠損してしまう事ですよね?私が最初に踏み込み証拠を確保、リフォルグラン様達が暴れると言う感じで良いでしょう?』
「どれが証拠か分かるのならそれでいいですがね?見分けつきます?というか証拠は正直どうでもよくて、この薬剤の毒素の中和・解毒の為の材料そこにあるかもって思って。暴れて材料粉々は困るんですよ」
え?イセ君?中和とか解毒って、私達の毛が回復するって事ですか!?
それなら錬金術師ギルドの建物内で暴れるのはまずい!けど既に王達が行ってます!?スレイ様になんとかしてもらわなくては!?
「スレイ様!ボコボコにしたい気持ちは私達も同じですが、回復する機会を失う訳にもいきません!まずスレイ様が奴らを全員拘束して、材料の紛失を回避してください!」
『分かりました。そういたします』
スレイ様に説明と説得をし、スレイ様が了承。
どうにか材料粉々になる可能性は少なくなりましたね。
「スレイさん。通話したままでお願いします。こっちはこっちでやる事ありますんで」
『イセ君、やる事とは?』
「そろそろお昼だからご飯の用意しなくちゃいけないので。リフォとマハガルに文句言われる」
あ、確かにそろそろお昼時ですね。
・・・この一大事よりもご飯を優先。
欲を優先するイセ君が羨ましく思えます。
イセ「てか皆さんは行かないの?」
ハウロウ「リフォやスレイが行ってるからな。過剰な戦力だし怒りの発散を邪魔しかねん」
マハガル「俺使って無えしなぁ。毛も気にしてねーしぃ」
ゴド「俺は無いし」
ダルヤ「出遅れましたし、皆様に追いつけませんし」
イセ「そうですか、ハウロウとダルヤさん。ゴドさんはそうですね。マハガルは僕と同じか」




