第4話 俺、幽霊執事(?)になりました。さて、どうしましょう?
その日、私は一記くんと契約するために、その部屋に来ていた。
一記くんは、義父によると、従兄らしい。
その兄が死んでしまったため、私は一記くんと契約することにしたのだ。
無論、あのとき部屋に訪れた幽霊の兄がしていた『ニーベルングの指環』を見たときは、その目的も忘れて、欲しいと思ってしまったのは事実だが、今回は無事、目的を果たすことができた。
ちなみに、ニーベルングの指環とは、『何でも願いが叶う指環』とされているが、実際はそうではない。
神話に出てくるあれは、実は転送装置と今で言うポイントカードが複合して指環の形をとったものらしいが、兄のしているそれは、夢界アイテムの中でももっともレアなアイテムで、アクションに応じて武装変換を行う換装アイテムなのである。
何でも願いが叶う系のアイテムは、それなりのレベルを所有していなければ、装備すらできない。
私は彼が、かなりレベルの高い幽霊だと認識した。
「友華ちゃんは、ご飯ここで食べていく?」
一記くんの母親が、そう聞いてくるが、結構です。と断って一記くんの家を後にした。
翌日。彼女の家につれてこられた俺は、一日中、彼女のそばにいて観察していたのは昨日のこと。
友華の家は俺の屋敷よりかは貧相だったが、それでもかなりのお嬢様らしかった。
まあ、彼女の家もお屋敷だった訳だが。
後々わかったことだが、彼女は現在小学生だが、その精神年齢は高校生で、頭脳は小学生という形になっていた。
「なあ、友華ちゃん、宿題やるのはいいけど、俺に答え聞くのそろそろやめてくれないか?」
俺は机の上に並べられた算数の宿題の答えを聞きまくる友華にそう言う。
「えぇーっ!?どうして!?一記くんは私の護衛してくれるんじゃなかったの!?」
驚く彼女に、俺はあきれた表情をして、
「それとこれとは別!はい、50円の8%は?」
「ぐ、ぐぬぬぅ~」
この少女に出ている宿題は、
1.算数プリント×2
2.漢字ノート練習
3.小学生の魔法学プリント×1
である。
彼女の知識は、小学生の魔法学のマジックアイテムの知識と魔法行使の効率化の2種類だけは博士並みのものを持っているらしいが、それ以外の、基本的な勉強は全くできないと言って良いほど無理なのである。
「ほら、%っていうのは1/100っていう意味だから、50円の8%、わかる?」
「わからない!なにこれ、魔法数学とかワケワカメ!だから確率きらいなの!!」
もう、休ませてやるか。
ちなみに、魔法数学とは、魔法行使の効率化に利用する際に必要な知識で、友華はこれを感覚的にやっているので、いざ文字に書くとなるとわからなくなるらしい。
「じゃ、ちょっと休憩するか」
俺がそう声をかけると、待ってましたと言わんばかりに椅子から飛び降りた。
ここでちょっと魔法学について触れてみる。
この世界には元々、魔法なんて存在しないと思っている学者たちがいた。
故に、魔法は空想の産物として、世に広まっていた。
だが、あるとき、既存の科学では説明のつかないことが起きた。
───エネルギー保存の法則に違反する現象が起きたのだ。
それは、多くの科学者の目の前で起きた。
科学者たちは、それらの現象を徹底的に調べあげていくうちに、またもや、その科学者たちを嘲笑うかのように、突然、空中から水流が出現した。
彼らは調べに調べあげ、ある仮説をたてた。
「これ、魔法なんじゃね?」
そうやって皆この現象をさらによく調べるために、超能力者と名乗るものを集め、脳の作りから遺伝子、その記憶までをも観測した。
結果、あることが明らかになった。
魔法を使うとき、明らかに何らかのエネルギーが出現し、そのパターンによって、起こる事象が変化していることに。
これが、魔力の発見だった。
とまあ、その後色々と法則が発見され、「裏科学」という学名が現れた。
それが今は、魔法学、と民間では呼ばれるようになった。
その頃から、魔術師が表舞台に姿を現し、今では魔法学と科学が両立している時代が幕を開けた。
「一記くん、答え教えてー?」
「だーめ。ちゃんと自分で覚えないと意味ないだろ?」
「ケチ」
そうやって、俺の新しい生活が幕を開けた。
魔法学について意味不な人もいただろう。
だが、深く考えなくていい。
要するに、
ファ ン タ ジ ー の 魔 法 の よ う な も の と 考 え て し ま え ば 良 い の だ か ら ! !
なんとかしまったかな...




