第10話 俺、第二の運命たどります。さて、どうしましょう?
「......待ってろ、アリス。今すぐこいつを」
飛んでくる影の手をにらみ潰しながら、こう続ける。
「殺してやるから」
俺のからだの奥底から、怒りが沸き上がり、力が沸き上がる。
だがしかし、俺の頭は冷静で。
「グルーニカル・サザーン」
俺は禁句を唱えた。
瞬間、魔王の顔に恐怖が走った。
俺は、魔王に向けて、指弾を打つ。
「naglfar」
(魔法言語訳:死者の船)
突如、空間が歪み、闇色の炎が現れ、それが巨人の群れと、骸骨の群れに姿を変え、魔王を連れ去ろうとする。
魔王が必死に抵抗しても、その攻撃はすべてむなしく空を切るだけ。
そしてついに、彼女は、死者の船に乗せられ、強制的に魂を拡散され、死んだ。
「...やっ...た...。アリスの敵がうて...た......」
バタリ。
そしてこの俺も、禁句詠唱の反動で、命が尽き、その場に突っ伏した。
そう、思われた時だ。
「一記、一記!ねぇ、一記ってば!起きなさい!」
少女の声が聞こえた。
(フツルギ...か?)
「くそっ、今ならまだ間に合う」
(間に合うって、なんの話だ?)
俺は、拡散しかける魂を強引に、力ずくに引き留められる感覚を感じながら、思考する。
──ex ul fullulu(──大いなる宇宙の魂よ)
imine loo hkun to imine uler(我の契約者を奪おうとする盗人よ)
imine loo fullulu and change(我の魂と引き換えに)
imine masterken to fullulu vagon(わが主を生き返らせよ)
gods fullulu and(根を張る神の魂と)
gould treed and mitsu(黄金の樹木と蜜の手よ)
ah,hell(おお、死神よ)
os masterken to vagon fullulu──(どうか彼を生き返らしたまえ──)
「kila fullulu!」
(魔法言語訳:奇跡の生命!)
フツルギが唱え終わると、俺の魂は拡散をやめ、代わりに、フツルギの気配が消えていった。
「ありがとな、一記...兄様...」
そうして俺は、第二の命をフツルギからもらい受け、気を失った。




