第八話 サバイバル生活は難しい
エクラと出会ってから一週間が経った。
洞窟を拠点に、今に至るまでなし崩し的に一緒に生活をしていた。
これはどちらも一人では心細かったという理由が大きいだろうと思う。
さて、一週間暮らしてみて、俺はサバイバル生活が向いていないということがよく分かった。
なにせもともと日本で暮らしていた身、こんな森の中で生活できるはずがなかったんや。
テレビでやっていたようなゼロ円生活と違い、ガチのサバイバルなので、コメや小麦みたいなものは一切ないし、味付けに使える調味料もない。
ここがせめて海沿いであれば塩なんかが手に入ったかもしれないが、そんなものはなかったので、味付けはお察しだ。
料理の腕に関しては、できないというわけではないという言葉にピッタリ当てはまる俺に何か案を出せというのは無理な話である。
エクラは元が馬ということもあってか、食に対しての執着があまりないようで、俺の作ったあまりおいしくない料理でもパクパクと食べ勧めている。
ふと料理の腕なんかが気になったのだが、うん、まぁ、あまり期待できなさそうである。
塩分がないと人間は食欲がどんどんなくなっていくと聞いていてやばいかなぁなどと思っていたのだが、なんか全然問題なくすごすことができていた。
ちなみに、この森にはこないだの熊みたいなちょっとやばめな生き物がいる一方で、いたって普通の小型草食動物もいる。
はじめは少し戸惑っていたのだが、肉を食べないとやっていけないと思い積極的に狩を行った結果、ここ数日は一時間もかからずに、二、三匹ぐらいの獲物を狩ることに成功したりしている。
木の棒を簡単に削って、それを投げて捕らえるという方法が非常に安定しているのだ。
やはり味付けはないが、柑橘系の果物を見つけてからは、それをかけて食すことが多い。
焼肉でレモン汁をかけていただくのと似たような感じである。
ただし、あと、炭水化物を取りたいです。
飯だ、飯をくれ!
さて、そんなこんなで衣に関しては全く問題はなく、食事に関しても問題はなく、住居に関しても今のところは何とかなっている。
がしかし、前にも言ったように俺にサバイバル生活はあっていない。
気候もじめじめしているし、虫みたいなのも結構いるし、炭水化物もない。
とはいえ、ここから人里にいくにも距離がありすぎる。
どうしたものか……。
「ケイさん、ケイさん」
「ん?
どうかしたのか?」
「ベリーを見つけたんです。
一緒に食べませんか?」
「そうだな~、うん、少しいただこうかな」
エクラのこちらをいたわるような優しい表情に癒されつつ、俺はそう答える。
(まぁ、しばらくはこのままでもいいかな。
今のところ、生活に困るっていうこともないし、距離的にも思いつきでいけるような場所ではないだろうしね。
とりあえず、しばらくはここで過ごして、準備を整え次第、少しずつ歩いていくっていう風にすれば問題ないでしょ)
程よく熟したベリーの程よい酸味と甘みに頬を緩めるエクラを見ながら、俺も同じように頬を緩めるのであった。




