第二話 首都パールプルースト
日差しがちょうど真上から照り付けてくる時刻。
俺とエクラはようやく目的地である『パールプルースト』へと到着した。
町には立派な城壁と、それに似合った大きな城が見て取ることができ、その燻みもまた程よく、味を出している。
エリュウテリアとははっきり違った雰囲気だ。
「なんというか、こないだの町とぜんぜん違いますね」
「そうだな。
まぁ、町によっていろいろと特色はあるだろうからな。
どちらがいいとは一概に言えないが、この町も、なかなか風情があっていいと思うぞ」
「そうですね。
私としては、この街の雰囲気はなかなか好きです」
「そっか、そりゃよかった。
にしても、立派な城壁だなぁ」
「そうですねぇ、どうやって造ったんでしょうか」
そんな話をエクラと共にしながら、門のほうへと向かう。
時間的な問題であろうか、余りこんでいない門と、少し暇そうな門番を見て、俺は自分の知識欲を満たさせてもらうことにする。
「こんにちは。
日陰はやっぱり涼しいですね」
「そうだな、身分証は持っているか?」
「ええ、これで大丈夫ですよね?」
「ん?
あぁ、問題ない。
そちらのお嬢さんの方のも一度渡してもらえるか?」
「エクラ」
呼びかけて、エクラの分も渡すと、部屋の中に居たもう一人のほうがよってきて身分証を持っていく。
「それにしても、立派な城壁ですね。
ここにきたのは初めてなのですが、ここまで立派なものは見たことがありませんよ」
「まぁ、ここ、パールプルーストは世界一といってもいいほど歴史のある都市だからな。
この国のほかの都市は当然、他の国でも、これほどのものをお目にかかることはできんだろうよ」
「そうなんですか。
何時頃のものなんですか?」
「さぁなぁ、詳しくはしらねぇが、爺さん婆さんの代どころの話じゃねぇことは確かなだな。
童話の『消えた消えた』に出てくる城壁があるだろ?
あれに出てくる壁がこの壁だって言われてるぐらいなんだ」
「『消えた消えた』ですか?」
「おうよ。
もしかして、正式なタイトルは違うのか?
この歌だよ。
『き~えた きえた あのこが きえた
ひ~とも ま~ちも そのもりも~
き~えた きえた おしろも きえた
あとに のこるは しろ~いかべ』」
無駄にいい声で門番がその一節と思わしき詞を歌ってくれた。
いや、まぁ、歌ってくれたところで俺が知る由もないんだけどさ。
どう返答しようか困っていたところでエクラが門番に話しかけてくれる。
「すごいお上手ですね。
低音の感じがとても聞き心地がいいです」
「おっ、そっか?
そりゃぁ、うれしいなぁ。
でだ。
これに出てくる『白い壁』っていうのが、この城壁なんじゃねぇかって言う説があるわけよ。
で、白い壁だけが残るって言うんで、白い壁となってしまったら、この辺一帯が滅びてしまうんじゃないかということで、この壁はずっと磨かれることはないんだと。
それでもまぁ、磨かなくとも十分尊厳があるけどな」
「確かにそうですよね。
その燻んだ色が逆にいい味を出しているような気がします」
「そうだろう、そうだろう。
ちなみに、この壁は他にも逸話があって、この壁ができてから今まで、一度も修理や補修をしたことがないんだそうだ」
「そうなんですか?」
「少なくとも俺は見たことがないし、見たって話も聞いたことがねえな。
『この城壁が崩れるまで君を愛し続けよう』見たいな告白のせりふなんかもあるぐらいだからな」
「そんなに由緒ある城壁なんですね」
「そういうわけよ」
「確認が終わりました。
では、えっと、エクラさんとケイさんですな。
ようこそ、『パールプルースト』へ。
中央広場の噴水はとても綺麗だから、ぜひ見ていくといい。
城壁と同じように感動が味わえるぞ」
「ありがとうございます」
もう一人の中に居たほうの人が身分証を返してくれると同時に観光名所を教えてくれる。
すると、さっきまで話していた人のほうが、少し付け加えてきた。
「俺的には、その周囲にある小さい噴水のほうがお勧めではあるんだけどな。
人がそんなに多くないって言うのもあってそっちのほうが落ち着くしな」
「なるほど、どちらも行ってみようと思います。
それでは、また。
よし、行くぞエクラ」
そういって俺とエクラは町へと繰り出していくのであった。




