第三話 落下から始まる出会い
「あああああああああああぁぁぁぁぁぁあああああ」
絶叫。
絶叫するしかない状況である。
高さにして三百メートル以上はあろうかという崖からの落下。
フリーフォールのような物よりもはるかに高い。
東京タワーから紐なしバンジーと同じようなものだ。
クソッ、せめて鱗だけでも出しておくか。
無駄なあがきかもしれないが、一応やれる事はやっておく。
頭のほうには出さず、足元に近いほうだけ出すことによって、しっかりと足元から落ちようという作戦だ。
やはり、鱗は結構な重量があるのか、しっかりと足を下に向けることに成功する。
これで何か足場にできるものがあれば直前でジャンプして……だめだ、何もない。
そもそも、それはできないって何かの番組で見た覚えがある
クソッ、やむをえん、せめてパラシュートを開く直前のような格好になれば少しは落下速度が軽減されるはず。
そう思い、重さを調整してその体制になることに成功する。
その体制になると同時に鱗をすべて消し去って少しでも自分の体重を軽くする。
当然、そこまで速度が遅くなることはない。
がしかし、直前に完全防御姿勢をとれば生き残る可能性がゼロではなくなる、と思う。
見る見るうちに地面が近づいてくる。
よし、このタイミングだ!!
全身を一気に鱗で覆い、地面に特攻する。
第一段階、森の木が生い茂っている一番上の部分を突破。
若干スピードが落ちた上に、痛みはない。
第二段階、何本かの枝を折っていく。
これも若干スピードが落ちた上にダメージがない。
そして第三段階、地面……じゃないぞ、何だあれは?
激しい空気抵抗の中、うっすらと開けていた目に恐竜のような物が映りこむ。
見た目的にはティラノサウルスのように見えるが……って、俺はホント一体どこにいるんだ?
そんなことを考えた直後、俺はその恐竜の脳天を貫き、地面に激突する。
「アイタッ!」
若干の衝撃に痛みが走る。
が、それ以上の痛みはまるでない。
俺の体は一体どうなっているんだ?
土煙が立ち込める中、自分の体全体を確かめるが、傷一つない。
服は上半身は破れてしまったのだが、ズボンは無事だ。
ちょっと恥ずかしいので鱗状態のままにしておくか。
動くのに支障がないことを確認した俺はそのまま立ち上がる。
段々と立ち込めていた土煙が段々晴れていく。
すると……。
「あの、助けていただき、ありがとうございました」
ん?
今現在土煙のせいでよく見えないが、女性と思わしき声がする。
土煙が段々と晴れていき、その姿があらわになっていく……。




