第二話 崖下へ
「というか、そもそもこの鱗はいったい何なんだ?」
自分の手なんかについている鱗を触る。
触り心地は割といい。
かなり固いんだが、それでも不思議とさわり心地は悪くない。
その後、しばらく遊んでいると、ふと疑問に思う点が出てきた。
そう、先ほどまでは触った瞬間消えていた鱗が今回は出たままなのである。
「消えないのかな~」
そんな事を言いながらもう一度触ると、今度は鱗が消えていく。
「もしかして、自由に出したり消したりできるのか?」
そんなことを思い、今度は触らない状態でいろいろと試してみる。
最初のうちは特に何も起こらなかったのだが、二時間ぐらい練習すると、自由に出したり消したりができるようになった。
「おお~、なんかかっこいいなぁ」
日の光に反射した鱗はエメラルドのように光り輝いていて、すごくかっこいい。
たとえるならば、龍の鱗のように見えるといえばわかるであろうか、そんなものだ。
さて、とりあえず鱗については置いておくとしよう。
その前に、如何にしてここから脱出するかということを考えなくてはいけない。
なにせ、ざっと見た限り、この場所には食料が全くないからだ。
水に関しては、雨水と思われるものが一応あるので、なんとかなりそうだが、食糧がないとなれば、そう何日もここにいるわけにはいかない。
「とはいえ、だな」
この村の周りは崖。
しかも結構な高さがあり、落ちた時点で無事では済まないだろう。
となれば、崖につかまって降りていくしかないのだが、ロッククライミングなどの経験は一切ない。
がしかし、後になればあとになるほど、腹が減って失敗する可能性は高くなってしまうだろう。
それならば、今行ったほうがいいに決まっている。
下を見るなよ~、俺。
見たら怖気づくに決まっているんだから。どの方向から降りても一緒だろうと、とりあえず東側、太陽とは反対側から降りることにする。
まぶしさのあまり視界が遮られるという事態は避けたいからだ。
とはいえ、こちら側も暗くて手元が見にくかったりするのかな~。
そんなことを考えつつ、崖の端までやってくる。
ふぅ。
さて、行くとしましょうかね。
……。
いや、やっぱり怖いなぁ。
そんなことを考えつつ、崖の端で戸惑っている俺。
そんな俺の耳にいや~な音が聞こえてくる。
具体的にはピシッという音だ。
「オーマイ……」
最後まで言い切る前に足元が崩れ、俺は崖の下へと落下していくのであった。




