第一話 崖の上の俺~ただしポニョポニョはしていません~
「えっと、ここは何処、かな?」
目を覚ました俺、松下慶は辺りを見渡す。
現在、俺の記憶に残っている最後の出来事はオンラインゲームをしていて寝落ちしたというものである。
待ちに待った夏休み、高校生の俺は部活動なんかには一切参加していなかったため、オンラインゲーム漬けの日々を送っていたのだが、昨夜は、睡眠時間が足りなかったせいで、そのまま寝てしまったのである。
みんな、ごめんよ。
さて、そんな状態で寝たのだから、当然、俺は机の前、まぁ、せいぜいベッドの上で目が覚めるはずであろう。
どちらにせよ、周りに見える景色は自分の部屋であるはずだ。
がしかし、今現在、俺に見えている景色は明らかに自分の部屋のものではない。
周りの光景についての写真を見せたならば、おそらくその光景を見た人は口をそろえてこういうであろう。
「廃墟だね」
と。
いや、実際それ以外言いようのないような場所だ。
どう見たって周りにあるのは壊れた建物だし、そうじゃない建物は見当たらないのだから。
その壁を触ろうとした俺はさらに別のことに気付く。
「ファイ!?」
別に数学の記号とかではないんだが、変な声が出てしまう。
なにせ、触ろうとした俺の手はそう見ても人間の手ではなかったからだ。
そう、俺の手は鱗のようなものに覆われていたのだ。
「えっと、もしかしてバイオハザードでも起きたのかな?」
ヒトの皮膚に鱗を作ってしまう不思議な細菌とか、何のために作成されたんだよなどと自分で突っ込みを入れつつ、手の甲にある鱗をなでてみると、鱗はあっけなく消え去ってしまった。
「ん?
なんだ、これは。」
そんな事を言いつつ、右腕全体を確認してみるが、先ほどまであったような鱗は一切見当たらない。
体全体を見渡してみても、そんな様子は一切なかった。
あれ?
気のせいだったのかな?
そんなことを思いつつ、とりあえず、いちばん身近にある家へと向かう。
ほとんど壊されていて、何も残ってはいない。
少なくとも、最近壊されたものということではなさそうで、かなりぼろぼろだ。
ここにいると崩れる危険しかなさそうである。
そう思った俺はすぐにその家を飛び出すことにするのであった。
◇
「う~ん、結局ここはどこなんだ?」
村全体を見渡した俺はそうつぶやく。
そんなに大きい村ではなかったので、一時間程度で見まわることができた。
わかったことは三つ。
一つ、ここにはもうすでにだれも住んでいないということ。
二つ、ここがどうやら周りから孤立しているということ。
三つ、ここが孤立したのはこの村がたてられた跡だということ、おそらくは誰もいなくなった後だということだ。
一つ目、二つ目はともかく三つ目がなぜわかるのかというと、それは村の端に、どう考えても、ここから先、村が続いていただろという痕跡があったからだ。
具体的には、半分になった家などである。
しかも、その先は切り立った崖になっており、この場所に家を建てるのはおかしいだろう。
まぁ、何があったとかはわからないんだが、ここから三つ目のことが想像できるだろう。
まぁ、誰もいなくなった後というのは、もしその後もここを利用するのであれば、あのまま残しておくようなことはないんじゃないかなと思うからだ。
これは確実とは言えないのでとりあえず保留としておく。
「さてさて、とりあえずこれからどうするかだな」
村を見回っている間にまた生えていた鱗のようなものを触りつつ、俺はいろいろと考えを巡らせるのであった。




