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加護を受けし青年  作者: バルデル
第一章 始まりの場所
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第十七話 獲物の価値

 ダッダッダッ


 誰かが走っているような音を聞き、俺は目を覚ます。

 近くの窓から外の光が差し込んでいることから、もうすでに朝なのであろう。

 ベッドのほうを見ると、エクラもすでに起きていたようで、穏やかな顔でこちらを見ていた。


「おはようございます、ケイさん。

 ラグナーさんはどうかしたのでしょうか?」

「おはよう、エクラ。

 今走っているのはラグナーさんなのかい?」

「ええ、足音的にたぶんそうだと思います。

 パルヴィさんにしては重いですから」


 重さによって足音にそこまで変化が出るのであろうかということが気になったものの、その考えは開かれた扉によってかき消された。


「おい、なんだありゃ?」


 かなり焦ったような顔でこちらに問いかけてくる。


「えっと、何がの部分を言ってもらえないと分からないのですが……」

「お前さんたちが持ってきた獲物だよ獲物。

 お前さんたち、竜を狩ってきたのかい?」

「何かまずかったのでしょうか?」

「いや、まずいとはいわんが、二人だけで倒したのか?」

「いえ、違いますよ」


 俺に先んじてエクラが答える。


「まぁ、そりゃそうだわな」

「倒したのはケイさん一人のお力です」

「そうだわな。

 倒したのはお前一人の力だよな。

 うんうん、そうじゃなきゃおかしい……ってそっちのほうがもっとおかしいわ!!」


 乗り突込みとはなかなかやるねぇなどと若干回っていない頭でそんなことを考える。


「本当にお前一人で狩ったのか?」

「ええ。

 そうですけど……」

「昨日全員を倒したっつうところからなんとなく感じてはいたが想像以上だな。

 竜の素材を見るなんざ久しぶりだな。

 あれは売ってくれるっていうことでいいんだな?」

「はい。

 いくらぐらいになりますか?」

「まだ分からんな。

 実際に査定したりはしとらんし、種類によっても変わるからな。

 査定するところを見るか?」


 う~ん、どうしようか。

 別に俺はそんなに興味はないんだけどな。


「いえ、俺は別にいいです。

 お腹もすいてきましたしね。

 エクラはどうする?」

「それでは私が見ておくことにしますので、ケイさんは先に食べていてください。

 ラグナーさん、お願いいたします」

「おう、それじゃあ行くぞ。

 にしても、よくあんなでかいのをもてたなぁ。

 昨日は特に思っていなかったが、俺らの五倍はあるじゃねぇか。

 重さで言えばそれ以上だろ?」

「とはいえ、所詮はその程度ですから。

 二人で持ち上げているので……」


 そんな話をしつつ、二人が先に部屋の外に出て行く。

 さてと、俺も朝食をいただくことにしますかね。

 グッと体を伸ばし、同じように部屋から出て行くのであった。




「どうぞ」

「ありがとうございます、パルヴィさん」

「いえいえ」


 朝食に目玉焼きとパンが出てくる。

 この辺は特に変わらないんだな。

「あの人は査定が終わるまでは食べたりしないから先に食べていいのよ」と言われ、先にいただいている。

 うん、おいしい。

 昨日の内に持ってきておいた蜂蜜を救ってパンに塗る。


「あっ、パルヴィさんもどうですか?

 パンに塗るとおいしいですよ」

「あら、蜂蜜じゃない。

 珍しいものを持っているのね」

「珍しいですか?」

「数があまりないから結構値が張るのよ。

 これは買ったんじゃないの?」

「エクラが採ってきたんです。

 どうやら好物らしくて」

「なるほど~。

 蜂蜜は産地によって味がぜんぜん変わるらしいのよね」

「そうなんですか?」

「ええ。

 基本的に森の奥で採ったものの方がおいしいといわれているわ。

 密の素となっている花の違いなんでしょうね」


 そういいつつ、パルヴィさんも蜂蜜をすくい取り、パンに塗っている。


「うん、なかなかいい匂いね。

 かなりいいものだと思うわ。

 どの辺で採ったものなのかしら」

「さぁ?

 正確には分からないですね」

「この蜂蜜なら、かなりの値段がつくと思うわ。

 少しもらってもいいかしら?」

「構いませんよ」

「ありがとう。

 私の友人に蜂蜜マニアがいるから渡してみるわ」


 そんな話をしつつ、朝食を食べ終える。

 その後も話をしていると、しばらくして、二人がこの部屋に帰ってきた。


「お帰りなさい、二人とも。

 食事はパンと卵でいいかしら?」

「ああ。

 それで頼む」

「お願いいたします」


 パルヴィさんがキッチンへと向かい、二人はそのままテーブルへとついた。


「簡単に査定をしておいたぞ。

 まず、あの竜は属性竜だ。

 風のようだな、持っている属性は」

「それはどうなんでしょうか?」

「風の属性を持つ素材は動きやすく、音を立てにくいことで有名だな。

 いわゆる偵察なんかをするやつらにはまさにぴったりの素材だ。

 しなやかな動きを可能にするが、そこそこの耐久もあるからな。

 しかも今回はそれが竜というだけあった、耐久に関してもかなりのものが出来上がるだろうよ。

 処理もよく、ほとんど完全な状態というのもいいな」

「あぁ、それはエクラが処理してくれましたから」

「そうなのか、エクラちゃんは本当に有能だな」

「いえ、そんなことはありません」

「そんなに謙遜する必要はないと思うがな。

 それで、代金に関してだが、とりあえず、聖貨十枚でいいか?

 こないだ、普通より高く買うなどといって悪いんだが、とりあえず今はこれしかなくてな。

 三ヶ月もあれば全額払えると思うんだが取り合えずということでどうだろうか」


 ……、貨幣の価値が全く分からないのでなんともいえないが、まぁべつにいいか。


「はい、それでいいですよ。

 ちなみに本来ならばいくらぐらいになるんでしょうか?」

「まぁ、聖貨五十枚は固いだろうな。

 一応、今回は八十枚出そうと思っているんだがな。

 流石にそこまでの金はねぇんでな。

 申しわけねぇ」

「別に構いませんよ。

 あぁ、それでは代わりにそれを払えるまでここに泊めてもらうということでどうでしょう」

「おっ?

 そんなのはお安い御用だぜ。

 まぁ、俺はしばらく忙しくなるとは思うがな。

 二級素材か~、久しぶりだし、腕が鳴るぜ」

「熱くなるのはいいですけど、食事はしっかりとってくださいね」

「ん?

 おお、気が向いたらとることにするよ」


 そういって、出てきた食事を腹に詰め込むとすぐさま部屋を出て行く。


「まったく、ごめんなさいね。

 あの人、鍛冶のことになるとすぐに我を忘れちゃうのよ。

 まったく、困ったものだわ」


 こういう言い方をするのかどうかは分からないが、どうやら鍛冶馬鹿らしい。

 ともあれ、俺とエクラはここでしばらく厄介になることにするのであった。

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