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第83話

 駿一よりも先に機能を回復した彩香は、ゆっくりと立ち上がった。


 そして、まだ床に膝をついている駿一へ手を差し伸べる。


「さあ、駿一……」


 彩香は優しく微笑んだ。


「一緒に彼を止めに行きましょう」


 駿一はしばらく彩香の顔を見つめていた。


 やがて小さく頷くと、その手を握った。


「ああ……」


 駿一は立ち上がりながら呟く。


「全てを終わらせよう」


 二人は並んで部屋を後にした。


 静かな通路を進む。


 だが、その行く手を阻むように複数の人影が現れた。


 マスターコンピューターが差し向けたハンターたちだった。


「排除対象を確認」


「直ちに処分する」


 無機質な声と共にハンターたちが襲い掛かってくる。


 その瞬間。


 駿一は彩香の前へ一歩踏み出した。


「下がっていろ」


「え?」


 彩香が声を上げる間もなく、駿一は飛び出していた。


 鋭い動きで一人目を打ち倒す。


 続けて二人目、三人目。


 ハンターたちは次々と床へ倒れていった。


 だが――。


 駿一の動きは徐々に鈍くなっていく。


 本来の機能にはまだ戻っていないのだ。


 最後の一体を倒した直後だった。


 駿一は膝をつき、その場に崩れ落ちた。


「駿一!」


 彩香は慌てて駆け寄った。


 背中へそっと手を添える。


「無理をしないで……」


 彩香の声には不安が滲んでいた。


 駿一は苦しそうに息を吐いたが、振り返ると穏やかに微笑んだ。


「ああ……大丈夫だ」


 その笑顔は、彩香を安心させようとしているようだった。


「まだ倒れるわけにはいかない」


 駿一はゆっくりと立ち上がる。


 そして前方を見据えた。


「行こう」


「奴を止めるんだ」


 彩香も力強く頷いた。


 二人は再び並び、マスターコンピューターが待つ最深部へと歩き始めた。

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