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第75話
駿一が次に目を覚ますと、そこは白い病室だった。
「……ここは?」
ぼんやりと天井を見つめながら、駿一はゆっくりと身体を起こそうとする。
『俺は確か……』
記憶を辿ろうとしても、頭の中は霧がかかったように何も思い出せない。
その時、病室のドアが静かに開いた。
白いナース服を着た女性が、カルテを手に部屋へ入ってくる。
「弘毅さん、お加減はいかがですか?」
女性は優しく声を掛けながら、窓際まで歩いていった。
その横顔を見た瞬間――
駿一は思わず息をのんだ。
「彩香……」
その女性は、彩香によく似ていた。
「えっ?」
女性は驚いたように振り返り、不思議そうに駿一を見つめる。
やがて柔らかく微笑み、
「事故の後遺症で、誰かと間違えてしまったんですね。」
と優しく言った。
「私の名前は奈津です。」
「担当看護師です。」
その笑顔は彩香とは違う。
それでも、どこか懐かしさを感じさせる笑顔だった。




