第66話
そうは言ったものの、彩香がいなければ三体のアンドロイドの中から
本物の駿一を見分けることはできない。
迷った末、弘毅は彩香を連れて行く決意をした。
傷ついた彩香を支えながら、二人は巨大な研究施設の中を歩き回る。
長い廊下を抜け、無数の部屋を調べ続けた末、二体の駿一を発見した。
だが、どちらも彩香が首を横に振った。
「違う……この二体は偽物よ」
残るは、あと一体。
「あと一人だな……」
弘毅たちは最後の駿一を探して施設内を歩き回った。
しかし、どれだけ探しても最後の一体だけが見つからない。
「どうしていないんだ……!」
焦りを隠せず、弘毅は拳を壁に叩きつけた。
そのとき彩香が静かに言った。
「待って……調べてみる」
彩香は自分の右腕を見つめると、小さく息を吸う。
次の瞬間――
腕の内部が音もなく開き、細いケーブルが何本も伸び始めた。
「えっ……!?」
弘毅は思わず目を見開いた。
伸びたケーブルは生き物のように壁の隙間へ入り込み、施設のシステムへと接続されていく。
ピッ……
ピッ……
静かな電子音だけが廊下に響く。
弘毅は言葉を失ったまま、彩香を見つめていた。
「き、君は……」
その視線に気づいた彩香は、どこか寂しそうに微笑み、ゆっくりと目を伏せた。
「……そう。」
少しだけ間を置き、彩香は静かに口を開く。
「私は……人間じゃない。」
弘毅の胸が大きく脈打つ。
「駿一たちと同じ……アンドロイドなの。」
その一言が、静まり返った廊下に重く響いた。




