第65話
「さ、三体もいるのか……。」
弘毅は思わず息をのんだ。
想像を超える事実に、しばらく言葉が出ない。
だが、すぐに気持ちを切り替えると、拳を握り締めた。
「だったら、一体ずつ倒していけば――」
そう言って部屋を飛び出そうとした、その時だった。
「ダメ!」
彩香が弘毅の腕を強くつかむ。
「えっ?」
「そんなことをしたら駄目なの!」
彩香は苦しそうに息をしながらも、真剣な眼差しで弘毅を見つめた。
「三体の中には、本物が一体だけいる。」
「残りの二体は、本物を守るための囮なの。」
弘毅は黙って耳を傾ける。
「もし本物じゃない方を壊してしまったら……。」
彩香は唇を噛み締めた。
「三体とも自動的に自爆してしまう。」
「そうなれば、本体の情報も完全に失われてしまうの。」
「もう二度と、マスターコンピューターを止めることはできない。」
部屋に重苦しい沈黙が流れた。
「そんな……。」
弘毅は思わず立ち尽くくす。
「じゃあ、どうすればいいんだ?」
その問いに、彩香は少しだけ微笑んだ。
「私なら……見分けられるかもしれない。」
「だから……お願い。」
「私も連れて行って。」
その言葉に、弘毅は彩香の身体へ目を向けた。
電撃を受けた傷はまだ癒えていない。
立っているだけでも辛そうだった。
「駄目だ。」
弘毅は静かに首を振る。
「その身体じゃ無理だ。」
「また君が傷つく姿なんて、もう見たくない。」
彩香は何も言い返せず、ただ弘毅を見つめ返した。




