第64話
「方法なら……あるわ。」
彩香は苦しそうに息を整えながら、小さく呟いた。
「でも……とても危険よ。できれば、やめてほしい。」
その言葉に、弘毅は眉をひそめる。
「このままじゃ、奈津も施設も救えない。」
彩香はしばらく黙り込み、視線を床へ落とした。
何かを決意したようにゆっくり顔を上げる。
「……駿一を止めれば、すべて終わるかもしれない。」
「本当か!」
弘毅は思わず身を乗り出した。
「だったら、今すぐ駿一を探そう!」
勢いよく立ち上がる弘毅を、彩香は慌てて引き止めた。
「待って!」
弘毅は振り返る。
彩香は苦しそうな表情のまま首を横に振った。
「あなたも見たでしょう……。」
「今の駿一は、もう人間じゃない。」
「あれはマスターコンピューターが造り出したアンドロイドなの。」
弘毅は息をのむ。
彩香はさらに続けた。
「しかも、駿一は一体だけじゃない。」
「えっ……?」
「この施設には、駿一が三体いるの。」
その一言に、弘毅は言葉を失った。
「三体……?」
「そう。」
彩香は静かにうなずく。
「そのうち一体だけが、マスターコンピューターと直接つながっている"本体"なの。」
「残り二体は、本体を守るための囮。」
「つまり、本物を見つけ出して止めなければ、この施設は決して止まらない。」
弘毅は無意識に拳を握り締めた。
「本物を見極めろ……ってことか。」




