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第62話
彩香は加奈子の姿をした女の手に触れた瞬間、
バチッ――!
激しい電流が全身を貫き、その場へ崩れ落ちた。
「彩香っ!」
弘毅は慌てて駆け寄り、倒れた彩香の身体を抱き起こした。
「だ、大丈夫か!?」
呼びかけても返事はない。
まるで糸が切れた人形のように、彩香は微動だにしなかった。
「彩香……!」
弘毅の表情に焦りが浮かぶ。
その様子を見つめていた加奈子の姿をした女は、不気味な笑みを浮かべると
ゆっくりと奈津へ視線を向けた。
次の瞬間、その瞳が妖しく赤く輝く。
「さあ……こちらへおいで。」
甘く、それでいて抗えない声が静かな部屋に響いた。
「我が娘よ……。」
その声を聞いた途端、奈津の瞳から意思の光が消えた。
「……ママ。」
奈津は夢遊病者のように小さく呟く。
「今、行くね……。」
弘毅の制止も耳に入らないまま、一歩、また一歩と加奈子の姿をした女へ歩いていく。
「奈津! ダメだ!」
弘毅が叫ぶ。
しかし奈津は振り返らない。
やがて女の前まで来ると、女は奈津の頭を優しく撫で、まるで本当の母親のように微笑んだ。
「いい子ね……。」
そして、弘毅へ冷たい視線を向ける。
「さあ……一緒に、あの悪者を倒しましょう。」
その言葉に奈津はゆっくりとうなずき、感情の消えた瞳で弘毅を見つめた。




