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第54話

「だ、誰だ……?」


 背後から突き刺さるような視線を感じ、弘毅はゆっくりと振り返った。


 薄暗い廊下の奥。


 そこには、自分とまったく同じ顔をした男が静かに立っていた。


「……えっ?」


 弘毅は思わず息をのむ。


 鏡を見ているようだった。


 男は不気味な笑みを浮かべると、ゆっくりと歩き始めた。


「ようやく会えたな。」


 低く響く声が廊下にこだまする。


「私は――お前のオリジナルだ。」


「オ……オリジナル?」


 弘毅は意味が理解できず、その場に立ち尽くした。


「つまり、お前は私から造られた存在……クローンということだ。」


 『俺が……クローン?』


 頭の中が真っ白になる。


 その時だった。


 暗闇から現れた男の姿を見た奈津が、小さく悲鳴を上げた。


「な、何、この人……?」


 奈津の視線は男の身体に釘付けになっていた。


 弘毅も改めて男の全身を見つめる。


 そして、その異様な姿に息をのんだ。


 首から下は、人間ではなかった。


 銀色の骨格がむき出しになり、人工筋肉のような機械が鈍く脈動している。


 まるで、人と機械を無理やり繋ぎ合わせたような姿だった。


「な……何なんだ、お前は……」


 恐怖に押されるように、弘毅は一歩、また一歩と後ずさる。


 だが、男は余裕の笑みを崩さない。


「逃げても無駄だ。」


 機械の足が重い音を立てながら、一歩ずつ近づいてくる。


「ここは、私が造り上げた秘密研究施設――ギャラクシア。」


「ギャラクシア……?」


 その名前を聞いた瞬間、弘毅の胸が大きく脈打った。


 確かに、その名前を知っている。


 未来へ向かう新幹線。


 彩香と出会った、あの列車。


 だが、なぜ研究施設が同じ名前なのか――。


 弘毅には、その意味がまだわからなかった。

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