第18話
「お待たせ!・・・・」
弘毅が声のした方を振り向くと、そこには奈津がにっこりと微笑みながら立っていた。
昨夜、弘毅と別れた時とは違い、奈津はTシャツにジーンズというラフな格好をしている。
「さあ、行きましょう!・・・・」
奈津はそう言うなり、弘毅の手をぐいっと引いて、公園の外へと歩き出した。
「ちょ、ちょっと待ってよ!・・・・どこに行くの?」
弘毅は慌てて奈津の手を引き止め、その場で問いかけた。
すると奈津は呆れたように振り返り、少し頬を膨らませながら言った。
「何を言ってるの?・・・・昨日、見せてくれた写真の場所を一緒に探しに行くんでしょ?
さあ、急ぐわよ!」
そう言うと奈津は再び弘毅の手を引き、公園の出口へと歩き出した。
自分のことを探すはずなのに、まるで弘毅以上に必死になっている奈津の勢いに、
弘毅はただ圧倒されるばかりだった。
その真っ直ぐな行動力に押され、気づけば抵抗する気力さえ失っていた。
公園を出ると、奈津は道端に停めてあった一台のコンパクトカーの前で立ち止まった。
「さあ、乗って!・・・・」
そう言って奈津は運転席の反対側に回り込み、助手席のドアを開ける。
弘毅は目の前の車と奈津の顔を交互に見比べ、戸惑いを隠せなかった。
「まさか……奈津が運転するの?」
思わずそう尋ねると、奈津は得意げに胸を張った。
「当然でしょ。ちゃんと免許だって持ってるんだから」
そう言って奈津は悪戯っぽく微笑む。
弘毅は半信半疑のまま助手席に乗り込んだ。
ドアが閉まると同時に、奈津は軽やかに運転席へ滑り込み、エンジンをかけた。
静かな朝の街に、低いエンジン音が響く。
弘毅はシートに深く腰を沈めながら、これから向かう先に待つものを思い、
不安と期待が入り混じった複雑な気持ちでフロントガラスの向こうを見つめていた。




