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雨の日の友
私は雨が好きだ。
いつも賑やかな道路も、
雨音とタイヤが水しぶきを跳ね上げる音しか響かない。
それでいて、とても静まり返った――
この静謐な空間が、とても居心地が良かった。
雨の日はみんな素直に下校していく。
いつもの通学路が、違って見える。
雨の匂いは、おひさまの匂いと似ている。
心が落ち着く土の香りは、
どこか私を包みこんでくれる優しい懐の深さを持ち合わせている。
家で、自分の部屋へ駆け上がると、いつもの特等席に着く。
この窓からは庭の木々が見渡せる。
そして、一本だけ手が届きそうな紫陽花が、すぐ側にある。
窓ガラスには、雨粒が張り付いては落ちてゆく。
風の呼吸に合わせて、リズムをつくる。
今日も来てくれた。
窓には、雨粒を遮る一筋の線が描かれる。
重そうな貝殻を背負い、
にゅるんと不思議な触覚が辺りを眺めながら進んでゆく。
「今日も来てくれてありがとう」
私の秘密の友人へ贈る――
この掌編は、創作のひとときを描いたものです。
雨は言葉、窓はページ、紫陽花はインスピレーション、
そしてカタツムリはゆっくりと進む筆先。
作品そのものが“読者に宛てた手紙”でもあります。
『雨の日(=私の作品)』を読んでくれたあなたへ――ありがとう。




