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静けさの中の声
「うーたん、どこ行く?」
彼の肩を叩き、声よりも口の動きを強調して話す。
彼は運動場を指さして、「は、かー」とデカい声で返事をした。
僕は「いいね!」と笑顔で親指を立てて応えた。
サッカーは今、学年中で流行っていて、
休み時間はたった三十分しかないのに、
みんな授業が終わると同時にダッシュで集まってくる。
彼は耳が聞こえない分、周りをよく見て、
良い位置に移動するのが誰よりも上手かった。
そして、その運動神経を存分に発揮するドリブルは、
同級生なのに見惚れてしまうほどだった。
ボールを蹴るたび、風が鳴った気がした。
彼の声は、たしかにそこにあった。
――僕の中でも、ずっと響いていた。




