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掌編集   作者: Elnika Flose


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5/11

夢の階段

そわそわと、歩き出す音が聞こえる。

私は目を瞑ったまま、気配だけを探っていた。


「ギィー」――階段から床板が悲鳴をあげる。

この感じは、たぶん弟だ。

怖がって一歩一歩、回りをキョロキョロしている。

透視でもしているかのように、彼の呼吸まで伝わってくる。

(手を伸ばしても、空気しか掴めないのに。)


夢と現の狭間にある私の意識は、背後霊のように彼を追っていった。


「バタン…。」

トイレの扉は閉まる音だけを残す。

さすがに、放尿シーンは心の目も瞑って、耳も塞いでおこう――うん。


暫くして、再びトビラが「バタン…」。

行きとは対照的に、「ダダダダダ!」っと勢いよく階段を駆け上がる足音。

仏間の線香の匂いが、ふっと混じる。


彼の背中を追うように、私は布団のそばへ戻る。

天井を見上げた彼と、私の視線がぶつかる。

(声は出せない。ただ、ここにいると強く念じる。)


声にならない声で、彼は叫んだ。

そして、私を“見つけた”ように、涙をこぼして呟く。


「……お姉ちゃん。」


安堵した私は、また長い夢に落ちていった――写真立ての中の、あの笑顔のまま。

今回は「友情」という言葉から少し離れた、姉弟の物語を書きました。

けれど、どんな形であっても“想いが続いていく”ことは、

きっと友情の一番根っこの部分にあるものだと思っています。

血のつながりを超えても、想いのつながりが消えない。

そんな願いを、この一編に込めてみました。

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