第九十四話:命を賭けても逃げない (その一)
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グオオオオオオオオオオオオオオオオ
「うぐっ」
王さん――いや、グァングィ、ズィン家ん三番手は、城柵の北側にある見張り台の一つへ続く梯子を上りながら、うめき声を漏らした。
「隊長殿、こっでごわす! 手ば貸してくいやんせ!」
見張りの戦士が言った。
彼女は目を大きく見開いた。見張りの戦士も同じだった。
森から、体高六メートルのゴリラのような生き物が、拳を地面につきながら歩いてきた。両手の指先には、非常に鋭く長い爪が生えていた。やや長く、筋肉質な首が支えている頭部は、角のないサイとバクを混ぜ合わせたような姿をしていた。腹部を除く全身は、黄土色をした短い針金のような剛毛に覆われ、腹部には白い毛が生えていた。巨大な鼻孔からは、濃い白い息が煙のように噴き出していた。
そいつは、倒木を根元から引きずっていた。
「な……何でごわすか、こいは?」
彼女は尋ねた。
「こ……こいはイェレンでごわす!」
「危なかとでごわすか?」
見張りの戦士は言葉を失い、震えていた。
視界の端に、何かが飛んでくるのが見えた。彼女は身をかがめ、見張りの戦士を引き寄せることしかできなかった。倒木が回転しながら、二人の頭上を飛び越えていったのだ。
倒木は管理棟の屋根をわずか数センチの差ですり抜け、駐屯地の中央広場のような場所に落下した。
「くそっ!」
彼女は剣を掲げ、できる限り大きな声で叫んだ。
「放てっ!」
矢の一斉射撃が、生き物に浴びせられた。
グオオオオオオオオオオオオオオオオ
2
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多くの矢が標的に命中し、その肉に突き刺さった。しかし、生き物は進み続けた。まるで何匹かの蚊にまとわりつかれて、ただ苛立っているだけかのようだった。
炎の矢を使っても、結果は大して変わらなかった。ゴリラのような獣は、左手を一振りしただけで、飛んできた矢を払いのけた。
北門の前には、多くの戦士たちが集まっていた。彼らをあの生き物に立ち向かわせるのは、非常に危険だった。しかし、それも彼らの職務の範囲内だった。少なくとも、兵士という立場に伴う危険の一つではあった。
もちろん、彼らが素人なのか、それとも熟練した戦士なのかによっても事情は変わる。徴兵されたのか、自ら志願して入隊したのか。臨時の兵なのか、それとも常備兵なのか。
しかし、その時点での状況は、何もしなければ、民間人の使用人も含め、駐屯地全体が危険にさらされるというものだった。
この施設は、小規模な軍隊程度の人間の集団による攻撃を撃退するために設計されていた。あるいは、ドッグワムのような一般的な野生動物から身を守るためのものでもあった。
あのような、狂暴化した怪物を相手にするためのものではなかった。
「と……突撃せよっ!」
彼女は叫んだ。
3
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グオオオオオオオオオオオオオオオオ
兵士たちは剣を振りかざしながら前進した。
刃を生き物の外皮に叩きつけたときにだけ、そいつは一瞬、駐屯地へ向かう足を止めた。鋭い剣でも、皮膚をかろうじて切り裂く程度だった。結局、残ったのはかすり傷と、四肢の下部の毛が削り取られた跡くらいだった。
そいつは右前腕を大きく水平に振り回し、戦士たちをなぎ払おうとした。
すると、生き物は指背歩行しながら、駐屯地へ向かって進み始めた。
兵士たちはもう一度突撃した。今度は剣先を前に向け、突きを繰り出した。しかし、剣による突きも矢と大差なく、さほど深くは突き刺さらなかった。
ゴリラのような獣は唸り声を上げ、地面から巨大な岩を引き剥がした。だが、戦士たちを攻撃したわけではなかった。そいつは岩を駐屯地へ向けて投げつけたのだ。
より正確には、王さん――いや、グァングィ、ズィン家ん三番手がいる見張り台へ。
彼女は、巨大な岩が見張り台を粉砕する直前に飛び降りた。
「いててて」
雪に覆われた地面に着地し、彼女はうめいた。
王さん――いや、グァングィ、ズィン家ん三番手は立ち上がると、外套についた雪を払い落とした。
「隊長殿、大丈夫でごわすか?」
駆け寄ってきた戦士アカリが尋ねた。
しかし、彼女は答えなかった。しばらくの間、毛皮の外套を見つめていた。
学校の校章、つまりズィン家の紋章の近くに、傷がついていた。飛び降りた際、すでに破壊された見張り台の構造物に引っかかったのかもしれない。あるいは、地面に擦れたのかもしれなかった。
それから、彼女は目を閉じた。
「船の中のときと同じ。あの鳥たち……」
彼女は呟いた。
「隊長殿?」
4
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グオオオオオオオオオオオオオオオオ
「隙を待て! 焦るなっ!」
戦士の一人が叫んだ。
彼らは、生き物が時折振り回す腕になぎ払われないよう、ある程度の距離を保とうとしていた。しかし、素早く踏み込んで打撃や斬撃を繰り出せる程度には近づいていた。
背後から接近するのも、相当な危険を伴った。生き物は後ろ蹴りもできたのだ。手ほど長くはないものの、足の爪も鋭く、決して小さくはなかった。
近くに飛んできたハエなら、追い払って飛んでいけば、そのまま無視することもできる。しかし、何度追い払っても戻ってくるなら、ハエ叩きを探したり、殺虫剤の缶を持ってきたりと、次第に本格的な対処を取るようになる。どうやら、この戦いでも似たようなことが起きているようだった。
一撃を受けるたび、突撃を受けるたび、生き物の顔にはますます深い皺が刻まれていった。唸り、歯を剥き、牙を見せ、腕を振り回す。そしてついに、その注意は完全に戦士たちへと向けられた。
そいつは二本足で立ち上がり、まるで太鼓を叩くかのように、自分の胸を叩き始めた。
戦士たちは徐々に生き物を取り囲むように動いた。その背後には森が広がっていた。
グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ
生き物は、眉間に深い皺を刻み、涎を垂らしながら咆哮した。そして、ギャロップのような走り方で戦士たちを追い始めた。
そいつは大量の雪と土をすくい上げ、兵士たちに向かって投げつけた。
その衝撃で、多くの兵士が倒れた。一瞬のうちに、生き物は彼らのもとへ到達した。そして左腕を振り上げ、握り拳を作った。確実に命を奪う一撃を放とうとしていた。
そのとき……
5
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キィィィィィィィィィィッ!




