第八十八話:勝っても許さない
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二日連続で、コロッセオでは何かの催しが行われていた。
「珍しいだって」
吉田さんが言った。
高橋さんと加藤さんは、首を傾げながら彼女を見た。
「ん?」
二人が発したのは、それだけだった。
そこへ、伊藤さん、田中さん、それからほかの女子二人が加わった。
「どうしたの?」
伊藤さんが尋ねた。
「あっちゃん、ハロー! ひっちゃんが『珍しいだって』って言った」
加藤さんが言った。
「違う、違う。あたしじゃない。あの人たちがそう言ってるの」
吉田さんは顎で一つ上の列にいる市民たちの一団を指した。
伊藤さんは加藤さんを見たが、彼女はただ肩をすくめた。
「あっ、静だ!」
吉田さんが叫んだ。
2
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紫チームのキャプテンが、剣を頭上高く振り上げながら走ってきた。
「模擬戦だよね? ねぇ、模擬戦だよね?」
伊藤さんが尋ねた。
女子たちは吉田さんを見た。
「そこの人たちによると、本当の戦いだって。何か、デスマッチみたいなものらしい」
今回は目を大きく見開きながら、彼女は答えた。
高橋さんはアリーナへ向かって観客席を下り始めた。今度は、誰も彼女を止めることができなかった。
剣は重かった。確かに、確かに、柔道では自分より重い相手と対戦することもある。だが、両手で長時間その相手を持ち上げているわけではない。だから、いや、柔道の技術は、こうした大剣での戦いではあまり役に立たないだろう。そうだろう?
どうすればいい?
王さんは頭を下げたまま、深く、一定のリズムで呼吸していた。そして、息を吐きながら、剣の柄を両手でつかみ、右肩の上へ振り上げた。
彼女は頭を上げ、迫ってくる相手をじっと見つめた。
待つ。
3
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10メートル。
待つ。
9メートル。
彼女は剣の柄をさらに強く握った。
8メートル。
深く息を吸った。
7メートル。
目を閉じた。
6メートル。
ゆっくりと息を吐いた。
5メートル。
目を開いた。
4メートル。
右足首を、剣の刃の平たい面に押し当てた。
3メートル。
「背負い投げ」
彼女は肩を支点にして柄を下へ引きながら、足首と腰で刃を上へ押し上げた。
2メートル。
紫チームのキャプテンは、彼女の頭へ一撃を加えようと剣を振り上げていた。
1メートル。
彼女の剣の刃は弧を描き終え、その平たい面でビナの頭に一撃を加えながら、彼の攻撃を受け止めた。
0メートル。
「左体捌き」
彼女は右足の後ろへ左足を斜めに引き、右足のつま先を軸に身体を回転させた。そして、右足を回して四分の一回転を完成させ、倒れてくる相手との衝突を避けた。
−1メートル。
紫チームのキャプテンは、地面に真っすぐ倒れ込んだ。
「一本」
4
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観客は静まり返った。コロッセオはまるで墓地のようだった。
「ふっ……ふっ……」
王さんは、背後から聞こえてくる荒い息遣いに気づいた。
「さっちゃん!」
振り返ると、友人がその場に立ち止まり、上半身を前にかがめ、両手を膝についていた。口と鼻からは白い息がふっ、ふっと吐き出されていた。
「じ……静のバカ……」
高橋さんが息を切らしながら言った。
「何しに来たの?」
「そ……それは私の台詞……」
「まあいいよ、私は……」
バシッ!
王さんの頭が右へ弾かれた。左頬に、高橋さんの右拳がめり込んでいた。
「二……二度と、あんな危ないことしないでよ」
「もう二度と、あんな危ないことはしないよ……」
「約束する?」
「うん。でも、ほかの危ないことをしないっていう約束はできないけど……」
高橋さんは左手を握りしめ、もう一度拳を繰り出した。
今度は、王さんが右手のひらで友人の拳を受け止めただけだった。
高橋さんは、なおも荒い息をつきながら、険しい表情で彼女を見つめた。
そして――
5
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チュウウウウウゥ〜




