第八十四話:見えても信じられない
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太陽はほぼ最高点に達していた。もっとも、その時期、その場所では、それほど高くはなかった。地平線からわずか20度ほどの高さにすぎない。
街に到着して以来、初めて、彼らは軍の施設の外にある場所へと連れて行かれていた。
埼玉県立熊山国際工業高等学校の生徒たちによる、半キロにも及ぶ一列縦隊だった。入場行進でさえ、これほどの人数が集まったことはなかった。
市の衛兵たちに両側を囲まれながら、その行列は路地や大通りを進み、住民たちから見守られていた。
「ねえ、ひっちゃん、あの人たち、何て言ってるの?」
加藤さんが小声で尋ねた。
「よく分からない。でも、なんか『供犠』みたいなことを言ってるような……」
吉田さんが答えた。
加藤さんはしばらく黙り込んだ。ただ、大きく目を見開いた。
「供犠って、私たちを生贄にするつもりだって?」
ほとんど叫ぶように尋ねた。
「まあ、もしかしたら『競技』って言ってたのかもね……」
吉田さんは何でもないことのように答えた。
「供犠か競技か? どっちなの?」
「さあ〜」
「答えてよ……」
2
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角を曲がると、巨大な環状の建物が姿を現した。近づいていくにつれて、その大きさがはっきりしてきた。四つの環状構造が積み重なり、高さは45メートル、直径は約180メートル。すべて頑丈な石灰岩で造られていた。
南門までの道沿いには、至るところに帝国旗が掲げられていた。
市民たちは東門から入ってきていた。しかし、その多くは南門の周辺に集まっていた。小さな横断幕や旗を振りながら、飛び跳ね、叫んでいた。
彼らが行進している大通りは、舗装された唯一の道だった。雪は除雪されていたため、生徒たちは石板の上を直接歩いていた。これほど長い間、屋外で硬い地面を踏むことがなかった彼らの多くにとって、それはきっと、どこか不思議な感覚だったに違いない。寮の大部分の木の床でさえ、歩けばほんの少しだけ沈んだ。
3
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多くの点で、その建物の内部は外観以上に印象的だった。
積み重なったそれぞれの環状構造には、アーチ型の窓が並ぶ、広々とした屋根付きの外周回廊があった。それらの開口部からは、昼間には十分な光が差し込み、風も遮られることなく通り抜けた。夏にまれに激しい雨が降るときには、窓の上から吊り下げられた木製の板が庇の役割を果たした。夜間の催しでは、壁に取り付けられた燭台にランタンを吊るすことができた。
一連の彫像が、この場所に美術館のような雰囲気を与えていた。表現されている人々の多くは、兵士たちが着ているものと同じ毛皮の外套を身につけていたが、手にしているのは剣ではなく、実にさまざまな種類の武器だった。籠のような形をした手袋、先端に輪のついた長い柄、前者よりも細い、菊を思わせる形のものが先端についた、もう一本の長い柄、前方が開いた籠状の漏斗のように見えるもの、そして大きさの異なる球体などだ。
その回廊からは、一定の間隔で、通路が垂直かつ中心方向へ伸びていた。それらは内部の観客席へと続いており、そこには数万人もの人々が座って、中央のアリーナで行われる催しを見物していた。回廊同士は多数の階段でつながっていたため、観客は観客席だけでなく、回廊を通っても自由に上り下りすることができた。
観客の歓声やブーイングは、上段の環状構造の最上部、その内側の縁に固定された木製の構造物によって帆のように張られた布のパネルを介して、中央のアリーナへ向けて反射されていた。そうすることで、観客全体の騒音が集中し、地上にいる人々へ向かって響き渡った。
直径120メートルのアリーナの内部には、サッカーコートを簡単に収めることができた。
そのコロッセオは埼スタよりも小さかったが、はるかに重厚に造られており、生徒たちの少なくとも一部には畏怖の念を抱かせたに違いない。
4
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加藤さんはため息をつき、彼らがアリーナへ向かっているのではないと気づくと、張り詰めていた表情が少し和らいだ。
生徒たちは観客席の予約された区画へと案内された。二つ目の環状構造にある、役人や権力者たちのバルコニー――あの紫色のローブを着た老人がいる場所――のすぐ下だった。
そこからはアリーナをよく見渡すことができた。しかし、それはほかのどの場所でも同じことだった。この建物は、どの観客からも催しを遮るものなく見られるような構造になっていた。そこが特等席なのかどうかは、個人の好みによるところだろう。
下の席のほうがいいと思う人もいるかもしれない。何しろ、実際の試合にずっと近いのだから。
しかし――
パァン!
最前列にいた男の顔面に、高速で飛んできた泥のボールが直撃した。アリーナにいる男の一人が、籠のような手袋を使って投げたものだった。もちろん、わざとではない。だが、投げ損ねることは珍しくなく、ボールが観客席の誰かに当たることも珍しくなかった。そして、そうしたことが起こる確率は、上段の観客席にいる者たちよりも、下段の観客席にいる者たちのほうがはるかに高かった。
そして――
5
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高橋さんは、口をぽかんと開け、目を大きく見開いたまま、震えていた。
「どうしたの?」
加藤さんが尋ねた。
友人がアリーナの一角を指差したので、彼女もそちらへ目を細めた。
男たちの中に、ほかの者たちよりも明らかに背の低い人影があった。その人物は、ぎこちない様子で右手に籠のような手袋をはめようとしていた。
「あっ、静だ!」
吉田さんが叫んだ。




