第七十七話:赤くても皆で渡れば怖くない
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廊下に、コツ、コツという足音が響いているのが聞こえた。
一歩ごとに、その音がだんだん大きくなっていった。
そして、止んだ。
扉が軋んで開き、二人の戦士が王さんを部屋へ連れてきた。
二人は彼女をベッドまで運び、そこへ寝かせると、そのまま部屋を出ていった。
「まあ……一体、何をされたの?」
佐藤先生が尋ねた。
「赤……赤い光、ですか? わ……私、そのことは何も知らない……」
王さんが呟いた。
彼女の頬は腫れ上がり、鮮やかな赤色になっていた。
「酒くさっ!」
先生は鼻をつまみながら叫んだ。
「せ……先生……私のおっぱい、ふわふわしてみる?」
彼女はそう言いながら、自分の胸を揉んでいた。
「な……何馬鹿なこと言ってるの?」
佐藤先生がどもりながら言った。
「は……陽翔も私のおっぱいをふわふわしてくれなかった……。さっちゃんのおっぱいばっかり見てるの。私のほうが大きいのに。私って、そんなにひどいのか……」
そう言うと、彼女は左腕をだらりと落とし、ベッドの脇のスツールに置かれていた陶器の水杯にぶつけた。
杯は床へ落ちた。
その音で、吉田さんが目を覚ました。
2
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「静は大丈夫?」
吉田さんが、目を大きく見開き、少し呼吸を速めながら尋ねた。
「身体的には、問題はなさそう。でも……」
佐藤先生が答えた。
「でも……?」
「見ての通り、完全に酔い潰れてるわ……」
「さ……さっちゃん、そんな意地悪言わないで。私も陽翔にキスさせて……」
王さんが、半分眠ったような状態でぐずるように言った。
「うっ……酒くさ……」
吉田さんが顔をしかめて言った。
「ええ……。未成年にお酒を飲ませるなんて、いったい何を考えてるのかしら……」
先生が呟いた。
そのとき、頬に赤い線を描いた若い女性が入ってきた。
彼女は以前にもここにいて、白目をむきながら、喉の奥から響くような声で何かを唱え、王さんと吉田さんに薬を飲ませていた。
その様子を見ていたのは、同じように顔に赤い模様を描き、よく似た厚手の藁のマントと骨飾りのネックレスを身につけた年配の女性だった。
3
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その女性は、吉田さんだけを診察した。
彼女の目を覗き込み、親指でまぶたを裏返すようにして確認する。少女の口を開けさせ、舌を引っ張る。親指と人差し指で患者の手の甲の皮膚をつまんで引っ張る。
さらに、親指の腹を吉田さんの腕、腹、脚に押し当てた――そのたびに、少女は笑いながら身をよじった。
「ちょっと、くすぐったい!」
若い女性と年配の女性は、部屋を出ていった。
そして――紫色のローブをまとった年配の男性が、二人の警備兵を連れて入ってきた。
佐藤先生が抗議したが、やはり聞き入れられることはなく、彼らは吉田さんを連れていった。
4
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今回は、それほど時間はかからなかった。
10分もしないうちに、佐藤先生は廊下から再び「コツ、コツ」という音を聞いた。
扉が軋み、兵士が吉田さんを連れて入ってきた。彼女をベッドに寝かせると、また部屋を出ていった。
王さんと同じように腫れ上がった、鮮やかな赤色の頬。
しかし今回は、彼女は完全に眠っていた。
ただ、息からは、ごくかすかに酒の匂いがした。
5
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そして――
視界がすべて、鮮やかな赤色に変わった。




