第七十三話:誤解であっても何も言わない
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船は、ほぼ無事に目的地へ到着した。そこは、守備隊の駐屯地からそれほど離れていない川港だった。
「チィ・ピドムラガ・バラバ・オドラジダル・ズガ・ガ・ボロ・ピドラバ・ミイ・マゼニ・オボイ・カダ・ヤル」
駐屯地の委員会の警備兵の一人が、護衛の戦士の一人に言った。
「ガ・ボロ・ピドラバ・ビギ・マゼニ・グルジイ・ボノ・ヤリダル・ワカピト」
戦士はそう答えながら、港の職員に木製の板を手渡した。
港の職員はただその板を受け取り、ナイフで印を刻むと、護衛の戦士へ返した。
船着き場の甲板にはすでに、船が再び上流へ戻る際に積み込むための木箱や樽が、所狭しと並べられていた。
しかし今回は、船は通常の運航へ戻る前に検査を受けなければならなかった。
その一方で、学校の皆さんという生きた「積荷」は下船していった。
馬車も、そして長旅の間のあらゆる騒動で同じように疲弊した馬のような荷役用の動物たちも、船から下ろされた。
生徒たちが男たちのそばを通り過ぎると、男たちは鼻をすんすんと鳴らした。そして一瞬目を閉じ、ほとんど気づかないほどの笑みを浮かべた。
2
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山の麓からここまで旅をしてきた馬のような生き物たちの大半は、もう先へ進める状態ではなかった。
しかし、ほかにも移動手段はあった。そこから西にある主要都市、ニスィノアタラミヤからやって来た商隊である。
もちろん、船と同じく、乗客を運ぶために作られた馬車ではなかった。それでも、彼らが乗るには十分な空間があった。
結局のところ、広々とした貨物輸送用の荷車と、窮屈な兵員輸送用の馬車を比べれば、確実に改善だった。
悪い面としては、人が密集していない分、かなり寒かった。
そのため、自由に散らばれるだけの空間があったにもかかわらず、大半の人は荷車の同じ場所に集まって固まることを選んだ。
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王さんと吉田さんは、寝床に使う藁を用意してもらい、荷車の床に乾いた干し草を敷き、その上に毛皮の外套を二着、敷布団代わりに並べ、さらに毛皮の外套を何着か掛け布団代わりにした。
加藤さんは、少しでも彼女の身体を温めようと、吉田さんの隣に横になった。
「少なくとも、二人とも熱はないわね」
佐藤先生はそう言いながら、二人の女子の額にもう一度右手を当てた。
「大げさだよ。私は大丈夫。ひっちゃんのほうに集中して」
王さんが言った。
「水の中で、何があったの?」
伊藤さんが尋ねた。
「二人を休ませてあげて」
高橋さんが言い返した。
「あ、そうだね。ごめん」
「大丈夫……」
王さんが答えた。
「しーっ」
高橋さんと佐藤先生が、声を揃えて言った。
「それで、脚はどうなの?」
続けて、高橋さんが尋ねた。
王さんは答えなかった。
「脚はどうなの?」
高橋さんがもう一度尋ねた。
「お母さんに、話しちゃダメって言われた」
王さんが小さく呟いた。
「またそれか……」
高橋さんがため息をついた。
「ああ、じゃあその話って、親子丼の話なんだ……」
伊藤さんが何気なく言った。
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「な……何馬鹿なこと言ってるの?」
高橋さんがどもりながら言った。
「みんな、二人が同じ男と寝たって噂してるけど……」
「ち……違うから。あの馬鹿が自分のことをうまく説明できなかったせいで、誤解されたの」
高橋さんは王さんを指差しながら答えた。
「じゃあ、本当はどういう話なの?」
「えっと……一度、陽翔の家族と海に行ったことがあって。帰り道、みんな疲れ切っていて、後部座席で寝ちゃったの」
「は……ると?」
「鈴木くん」
「体育館の物置で、あなたが手当てしていた男の子?」
「そう」
「ああ、それが王……じゃなくて、静が話していたこと?」
伊藤さんが尋ねた。
「そう。それだけだから!」
高橋さんが叫んだ。
「私は静に聞いてるんだけど……」
「私なら話せるよ。お母さんに話しちゃダメって言われただけ」
そう言ったのが王さんの最後の言葉だった。
彼女は寝返りを打ち、そのまま眠りについた――少なくとも、眠ったふりをした。
佐藤先生は、長いことニコニコと笑っていた。
5
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そして――
グウゥゥゥゥゥ〜




