第六十五話:遠くにおっても心は離れない
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狼のような生き物たちは唸るのをやめ、座り込んだ。しばらくの静寂のあと、踏みしめられた雪が軋む音と、枝や小枝が折れる音が聞こえてきた。
木々の間から、濃く暖かな蒸気が立ち込めてきた。そして――巨大な鼻先に続いて、巨大な狼のような身体の前半分が姿を現した。肩までの高さは3.2メートル。雪のように白い毛皮が、淡い薄青色の光をかすかに帯びて輝いている。
ただ鼻を鳴らしただけで、その生き物は馬車の一台を覆っていた覆いを吹き飛ばした。それは、王さんと高橋さんが乗せられていた馬車だった。中に残っていた26人の女子が悲鳴を上げた。
巨大な狼のような生き物が馬車へ近づいてくると、王さん率いる一団は、まるで馬車を守ろうとするかのように、自分たちの背中を馬車に押しつけた。しかし、無駄だった。生き物の頭は、彼女たちの手が届く範囲を1メートル以上も越えたところに浮かんでいたからだ。そこで彼女たちは必死に馬車へよじ登り、車体の前方に密集している女子たちと獣の鼻先との間に割って入った。
しかし、生き物は彼女たちを無視した。口で馬車の後部にいた負傷した狼のような生き物をつかむと、そのまま森の奥へ深く入り込んでいった。
残りの狼のような生き物たちも、それに続いて退いていった。
すると、馬車に乗っていた人々の肩から力が抜けると同時に、脚の筋肉からも力が抜けた。そして、まるで溶けていくかのように、互いに身体を滑らせながら、馬車の荷台の床へ崩れ落ちていった。
ほかの馬車の生徒たちが車外へ頭を出すと、戦士たちはまだ森に向かって剣を構えたまま、震えていた。
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馬車の覆いの帆布を元の位置に戻すのは、あの巨大な狼のような生き物に吹き飛ばされたときの容易さからは想像もつかないほど難しかった。行きには簡単に荷ほどきできるのに、帰りには荷造りし直すのがずっと難しい旅行鞄のように、どれだけ引っ張っても、覆いの帆布は幌骨にどうしても収まらないようだった。
すると、戦士の一人が物資用の馬車からロープをいくつか持ってきた。彼らはそれを帆布の片側で切れていた紐にそれを結びつけ、側面の棒に固定した。それでも、覆いに隙間ができるのは避けられなかった。幸い、木々が冷たい風の大部分を防いでくれていたが、その隙間からは冷気が絶えず入り込んできた。
戦士たちは馬車を交換することにした。自分たちが乗っていた馬車と、覆いが不完全になった馬車を入れ替えたのだ。
馬のような生き物たちを落ち着かせるのにも、またしばらく時間がかかった。そして、狼のような生き物たちに襲われた先頭の馬車を引いていた2頭の馬のような生き物は、安楽死させざるを得なかった。
そこで、2台目の馬車を引いていた荷役用の動物のうち1頭を外し、襲撃を生き延びた1頭の横に並べて、1台目の馬車を2頭で引かせることにした。
最初の2台の馬車では、それぞれ2頭の荷役用の動物に余分な負担をかけることになったが、ここから先の道は状態が良くなるため、不可能な作業ではなかった。
旅を再開した頃には、すでに夜になっていた。しかし、彼らは野営しないことにした。新たな襲撃の危険を避けるためだったのか、あるいは長期の旅を続けるには物資が少なすぎたためだったのかもしれない。
2人の戦士が徒歩で先頭を進み、松明で道を照らした。後続の御者を案内するため、それぞれの馬車の後部には、金属製の枠に半透明で平らにした角のパネルを取り付け、光源として獣脂の蝋燭を使った、一種のランタンが設置された。
時折、松明を持って先導する者、ランタンの燃料を補充する者、そして隊商の側面を警戒する見張りが交代した。
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長い夜だった。しかし、戦士たちも学校の皆さんも、ろくに眠ることができなかった。
戦士たちは、人数が少なすぎるのに、やらなければならない仕事が多すぎた。4時間ごとに、一人につき1時間は何らかの役目を果たさなければならなかった。
生徒たちと先生にとっては、絶え間なく、しかし次第に遠ざかっていく遠吠えが、周囲に潜む脅威を絶えず知らせるものとなっていた。ボンジュルの夜よりもはるかに疲れていたにもかかわらず、この一帯では道が以前よりずっと平坦で、夜の寒さも以前ほどではなかった。それでも、恐怖ははるかに強かった。
恐怖は、当然ながら、不安につながる。そして、そのどちらも、多くの場合、ホームシックをいっそう強くする。特に夜は。
自分たちは無事に帰れるのだろうか? 家に戻れるのだろうか? 家族や友人たちはどうしているだろう? 今、熊山も夜なのだろうか? ああ、また夏祭りを見ることができるのだろうか?
誰も口には出さなかった。それでも、もしその顔を見れば、そんな疑問が浮かんでいることは、決して不思議ではなかった。
あるいは、こんな疑念さえ。
もし皆勤賞の記録をなくしていたら、どうしよう?
服を物干しに干したままにしてきていないだろうか?
湊が俺のプリンを食べていないといいけど。
山本校長が、俺の欠席を許してくれるはずがない……。
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夜明け前、彼らは森を抜けた。月のない空には星が輝き、その光が周囲の景色を照らしていた。
少し離れた、丘を下った先には、オレンジ色に揺らめく明かりがいくつも見えた。そして、星々の揺らめく反射が、幅の広い川の輪郭を浮かび上がらせていた。
揺らめく明かりに近づいていく、松明に照らされた船着き場が見えてきた。岸壁には、かなり大きな平底船まで停泊していた。全長60メートル、幅15メートル。
冬になると、川の水位は低くなるが、それと同時に流速も落ちる。最低で時速1.5キロほどにまで低下するため、流れによる抵抗も大幅に小さくなる。そのため、これほど大型の船を上流へ引くことが可能になる。
確かに、馬のような生き物に比べれば、船の速度ははるかに遅い。しかし、この船の積載量いっぱいに相当する量の荷物を運ぶには、荷役用の動物が3000頭も必要になる。
一方、水上なら、両岸に10頭ずつの馬を配置し、ロープで渡し船を引かせるだけで、同じ量の商品やその他の物資を、かかる時間を2倍程度にすることで運ぶことができる。
埠頭にいる人々は、大量かつ多種多様な商品を慌ただしく荷下ろししていた。穀物、干し肉、衣類、加工された木材、そり、生きたニワトリのような生き物、釘の入った樽、陶器……。
祭りのための商品かもしれない。あるいは、同盟を結ぶ貴族への外交上の贈り物か、駐屯地への補給物資か、それとも……。
「ガジラヌ・ヅガビガ・バザニ・ワラヌ・ヅギド・ウバ・イビダル・カ?」
隊商を護衛していた戦士の一人が、木の札を差し出しながら尋ねた。
「オイ・マゼニ・ワラ・ウバ・マヂヴィダル。ズガ・ワラ・ウバ・ヅミニ・ビドムラバ・バザム・ド・ジヴィダル」
埠頭にいた男の一人が、木の札を読むこともなく印をつけ、それを戦士に返しながら答えた。
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旅客船ではなく貨物船だったため、戦士たちや学校の皆さんが泊まるための設備はなかった。そのため、彼らは馬車の中で眠った。馬車は可能な限りしっかりと固定されていたものの、下流へ進む船の上では、少し揺れた。
陸路の旅ほど揺れるわけではなかったが、なぜか生徒たちの一部は船酔いしてしまった。
「ねえ、高橋さん、王さん……本当に、あの同じ男と寝たっていう話、もっと詳しく教えてくれない?」
「そうそう。それに、お互いのデリケートな部分に触ったっていう話も……」
「ねえ、二人とも、具合が悪いふりしてない?」
そして、その返事は――
オェェェェッ




