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第六十一話:混沌であっても見失わない (その三)

1

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長い夜が終わり、太陽が山際から昇る頃には、破壊された野営地のあちこちに、黒焦げになったボンジュルの死骸が五体転がっていた。


戦士たちは、先端を地面に突き立てた剣に半ば身体を預けるようにして、荒い息を吐きながら震えていた。口や鼻からは、白く濃い息が吐き出されている。負傷している者も多く、中には地面に横たわったまま、身動き一つしない者もいた。


馬のような生き物たちの大半は逃げていた。何台もの馬車が横転し、壊れていた。


「大丈夫?」


佐藤(さとう)先生は、一人ひとりの生徒のもとへ行きながら尋ねた。


しかし、彼らが大丈夫には見えなかった。大半は、身体を硬直させ、目を見開き、口を開けたまま、荒い息をしていた。心臓も激しく鼓動している。言葉を失っていない者たちも、首を横に振りながら、意味の分からないことを口走っていた。


全員が震えていた。


そして、先生の行動でさえ、それが単なる自動的な手順なのではないかと疑いたくなるほどだった。彼女は生徒たちの肩に手を置きながら、相手の反応などお構いなしに、いや、多くの場合は何の反応もないまま、ただ同じ問いかけを繰り返していた。


2

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生徒たちは見るからに絶望していたが、身体的には、少なくとも大半は無事のようだった。


「静(ジン)!」


高橋(たかはし)さんは、地面に倒れて意識を失っている王(ワン)さんの身体を揺さぶりながら叫んだ。


その光景を見たことで、佐藤(さとう)先生は半ば意識を失ったような状態から我に返ったようだった。彼女は二人のもとへ走っていった。


「何があったの?」


先生が尋ねた。


「わ……分からない」


高橋(たかはし)さんがどもりながら答えた。


「彼女、怪我してる?」


「わ……分からない……」


外見上、傷らしきものは見当たらなかった。


「急いで。暖かい場所へ運びましょう」


先生が言った。


そこから約30メートル離れた場所では、伊藤(いとう)さんたちがしゃがみ込み、荒い息をしていた。田中(たなか)さんは、酒と馬のような生き物たちの餌を混ぜたものが入った壺を、まだ手にしていた。


その近くには、即席の火炎瓶が入った壺を持った戦士の一人がいた。先ほど、横転した物資用馬車からの略奪を阻止した戦士だった。


彼はブーツの先で、最後に残った、そして最も小さいボンジュルを探るようにつついた。


3

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小林(こばやし)さんと中村(なかむら)くんは、戦士の死体のそばで、膝をついたまま無言で震えていた。二人をイノシシのような生き物の進路から逃がしてくれた戦士だった。彼はその突進をまともに受け、助からなかった。


戦士たちの一団が、その遺体を囲むように円陣を組んだ。彼らは頭を垂れ、それから剣を掲げて振りかざし、叫んだ。


「アバイラガ・ガバ・オボイ・ガミモノド・アバムヴォ!」


10人の戦士たちは、壊れた馬車から物資を回収し、残りの2台の馬車へ分配していた。そのうちの一人が負傷者たちの乗る馬車へ行き、全員が無事かどうかを確認した。彼らは一晩中、騒ぎの音を聞いていただけで、何が起きたのかについては何も分かっていなかった。


別の戦士は、新たに焚き火を起こした。ただし、濡れた木や、葉のついた枝を火にくべた。当然、大量の煙が発生した。


それから彼は、湿った外套で火を数秒間覆った。すると、溜まった煙が一気に放出された。そして、また同じことを絶え間なく繰り返した。


煙の柱が、空高く立ち上っていった。


4

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5人の男たちが、逃げていった馬のような生き物たちを追跡しに向かった。群れで行動する習性と雪のおかげで、追跡は確かに容易だった。急いでいたのは、足跡を見失うのを避けるためというより、荷役用の動物たちが獲物として襲われるのを防ぐためだった。


別の3人は、前日の夜明けに仕掛けた罠を確認しに向かった。しかし、何も捕まっていなかった。森は野営地からそれほど近くなかったものの、夜中のあれほどの騒音で、獲物になりそうな動物たちが逃げてしまったのは間違いなかった。


「ボイ・ドモ・ワ・ジジバ・イぐドゥ・ゴロザムヴォ」


戦士の一人が、仲間たちに言った。


ボンジュルの死骸のそばを通り過ぎると、別の一人が言った。


「ジジガ・ナヌガ・オジイ・モノ……」


そして、3人の戦士は立ち止まり、ボンジュルの死骸をじっと見つめ始めた。


5

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伊藤(いとう)さんの番になった。彼女は「器」を差し出した。


「料理係」の戦士は、馬のような生き物たちの食料を調理したものを一人分よそった。かなりご飯に近いものだった。


そして、その上に、黒焦げになったボンジュルの肉をいくつか乗せた。

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