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第六話:まだ納得できないほど悲しい

1

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(ワン)さんは、高橋(たかはし)さんが身体を震わせ、歯をガチガチと鳴らしていることに気づいた。


「彼の容体は?」


そう尋ねながら、(ワン)さんは高橋(たかはし)さんに近づく。


「い……息は……あります……でも、すごく弱くて……」


「もっと暖かい場所へ運ばないと……」


二人は周囲を見回した。


吹き飛ばされた正面の壁。天井に開いた巨大な穴。割れた窓。


あらゆる場所から冷たい風が体育館へ吹き込んできていた。


「た、多分……体育倉庫なら……」


(ワン)さんは右手を振って、近くにいた女子二人を呼び寄せる。


鈴木(すずき)くんを運ぶためだ。


さらに、鈴木(すずき)くんの友人三人も手を貸した。


「な……何があったの……?」


多くの生徒が泣いていることに気づき、高橋(たかはし)さんが尋ねる。


「見てなかったんだね……。当然か。一人の男の子が亡くなったの」


「え……?」


「もう一匹、別の怪物が窓から入ってきて、その子を襲って……」


高橋(たかはし)さんは、その場で立ち止まり、両手で口を覆った。


「べ……別の怪物……?」


「まあ、そのことは今は気にしなくていいよ。そいつも、もういなくなったから」


そう言いながら、王さんは高橋さんの背中を軽く押し、再び歩き出すよう促した。


2

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男子生徒の一団の横を通り過ぎると、彼らの声が聞こえてきた。


(ワン)さんって、やっぱり美人だよな!」


「一緒に運ばれてるあいつ、誰だ? 死んでるのか?」


「いや、まだ生きてるらしい。でも、あの化け物に襲われたんだって」


「そいつ、あの獣を挑発してたやつじゃなかったか?」


3

---------

「このままここには置いておけません」


伊藤(いとう)さんが佐藤(さとう)先生に言った。


先生は何も答えず、ただ静かにうなずく。


二人は荒れ果てた体育館を見回した。


そして同時に体育倉庫のほうへ視線を向け、互いに目を合わせる。


考えていたことは同じだった。


佐藤(さとう)先生はしゃがみ込み、渡辺(わたなべ)くんの身体を持ち上げようとする。


だが、一人では持ち上がらない。


「中二階の子たちって、こんなに力があったのね……」


先生は思わず呟いた。


「十分あります」


そう言って伊藤(いとう)さんも先生に加わり、二人で渡辺(わたなべ)くんの身体を持ち上げた。


クラスメイトたちに支えられ、ようやく立っている田中(たなか)さんが、二人が体育倉庫へ向かって歩き出す姿を力なく見つめていた。


4

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「誰、あの子?」


伊藤(いとう)さんと佐藤(さとう)先生が渡辺(わたなべ)くんを運んで通り過ぎると、一人の生徒が尋ねた。


「わ……わからない……」


泣いていた女子の一人が、しゃくり上げながら答える。


「彼は一年生だったらしいよ。ミッちゃんの知り合いだったみたい」


「お前、田中(たなか)さんのこと、ミッちゃんなんて呼ぶほど仲良かったっけ?」


「本人がそう呼んでいいって言ってたんだよ……」


「それ、一年の相談会でみんなに言ってただけだろ。お前、その場をたまたま通りかかって聞いただけじゃん」


5

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(ワン)さんたちと伊藤(いとう)さんたちの一行が体育館のステージのほうへ向かって歩いていくと、多くの生徒たちが急に落ち着きを失い、中には露骨に警戒した様子で入口を凝視している者もいた。


そこには、毛皮のコートをまとい、剣を手にした男たちの一団が立っていた。


「タ・ナ・カ?」

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