第五十七話:何を言われても裏切らない
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負傷した戦士たちは、幌馬車3台に乗せられた。
学校の皆さんは18台の馬車に分けて乗せられた。
健康な戦士約30人は2台の馬車に分かれ、隊商の護衛を務めた。
3台の馬車には物資が積まれていた。戦士たちの食料や野営道具もいくらかあったが、その大半を占めていたのは、荷役用の動物の食料だった。
学校の皆さんを乗せた馬車は、3台ずつロープと木の梁で連結され、まるで列車のようにつながれていた。
あの馬のような生き物は、2頭であれば、それぞれが別々に働いた場合の合計重量より約3分の1多い重量を引くことができた。3頭なら、それぞれ独立して引く場合の合計よりも約半分多い重量、9頭なら、互いに連携せずに9頭で引いた場合の合計重量の約2倍もの重量を引くことができた。
こうして、人質と負傷した戦士たちを乗せた隊商は、南西へ向けて出発した。
雪の深さは、ちょうど馬車の荷台の底と同じくらいだった。そのため、馬車が通り過ぎると、馬の足跡も、馬車自身の車輪の跡も、ほとんど消されてしまった。
残りの戦士たちは、その場にとどまり続けた。
馬車が進んでいく一方で、その戦士たちの多くは山の北西にある森へ向かっていた。相変わらず眉をひそめ、ぶつぶつと不満を漏らしながら。
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捕らえられた人々を乗せた馬車は、それぞれ30人から35人ほどでぎゅうぎゅう詰めになっていた。
座った状態で、ある程度余裕を持って運べる通常の定員の倍である。
そのため、二重の意味で身動きが取れない状態になっていた。
まず、あまりにも窮屈なため、馬車の荷台の両側にあるベンチに座ることなど、誰にもできない。
しかし逆に、ベンチがあるせいで全員が立つこともできない。これだけ大勢の人間が立つには、ベンチとベンチの間の空間が狭すぎるのだ。
そのため、何人かはベンチの上にしゃがんでいなければならなかった。
そして、こんな不整地を馬車が進むものだから、車体は激しく揺れ、そのたびに、全員がぶつかり合うこともあった。
中には、かなり気まずいぶつかり方をすることも決して少なくなかった。
その状況を利用して、不適切な行為に及んだ者がいたことは、否定しようがない。
しかし、誰がそのようなことをしたのかについては、誰それではないかという強い疑いはあるものの、はっきりとは分からない。
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しかし、根本的には、窮屈さが身体的にどれほど不快で、またコストのかかるものだったとしても、それは旅の間、彼らの命を救った最も基本的な要素でもあった。
全員分のエマージェンシーブランケットや毛皮の外套があったわけではない。しかし、互いにぴったりと密着するほど詰め込まれていた彼らは――体育館にいたとき以上に密集していた――南極の長く凍てつく冬を生き抜くコウテイペンギンの生存戦略を、実質的に再現していた。
巨大な群れを形成することで、コウテイペンギンは、個体ごとの断熱性がほかの種より優れているわけではないにもかかわらず、群れの中心にいるペンギンたちに対する社会的な断熱材となる。
もちろん、群れの周縁にいる個体ほど外気にさらされるため、内側へ移動しようとする。その際、彼らは群れの中心にいる個体を押しのけることになる。それによって、ある種の身体的な対流が生じる――寒さを感じている個体が群れの中へ「沈み」、その代わりに、より暖かい個体が「表面」へ押し出される。そこで身体が冷えると、今度は再び中心へ戻ろうとするのだ。
こうして、群れの中心部が過熱することも防がれていた。
生徒たちもまた、馬車の中で絶えず位置を入れ替えていた――たとえ、それがかなり気まずいやり方になったとしても。
断熱のための道具であるスペースブランケットや毛皮の外套は、より外側の位置にいる者たちが使った。
とても不快だった。
しかし、効果はあった。
おそらく彼らは、こんなことを計画していたわけでもなければ、自分たちを人間のペンギンだと考えていたわけでもない。
そして――
ブーッ。
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「くっせ〜」
「誰だよ、やったの?」
「こんなときに……」
「まあ、くさい! いやだ」
「音がしたの、この辺だぞ!」
「おい、告げ口すんなよ!」
「何よ、その反応、中村? まさか自分がやったって言わないでしょうね?」
「俺だったら、何だっていうんだ?」
「本当にマナーがないんだから……」
「なんて気持ち悪い奴!」
「しかも、みんなの前でやるなんて!」
「ああ、ごめん。順番待ちのルールがあるなんて知らなかったよ!」
中村さんが言い返した。
「他の人のことも考えなさいよ!」
「まあ、これで俺たちが暖かくなったんだから、いいじゃん!」
中村さんが言った。
すると、みんな黙り込んだ。
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馬車が揺れた拍子に、中村さんはスマートフォンを操作していた、顔を赤らめた女子にぶつかった。
「ご……ごめん」
彼はそう言った。
すると、彼女はスマートフォンの画面を彼に見せた。
そこには、こう書かれていた。
「庇ってくれてありがとう!」




