第五十五話:誰もいなくても死なない
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「ズバイ・ガムヰ!」
毛皮の外套をまとった戦士たちはそう叫ぶと、互いに顔を見合わせた。すると、集団の先頭にいた戦士が体育館のフロアにいる全員へ尋ねた。
「ブゥ・ゾ・ジダル・カ?」
さらに多くの戦士たちが、正面の壁の残骸の上に姿を現した。先頭の戦士が彼らに手を振る。彼らも体育館へ入り、自分たちがどのような建物の中にいるのか、そして何が起きたのかを把握しようとするかのように、辺りを見回した。
「ゴ・ガダニ・ナヌカ・ナリダル? ゴ・カダガ・ナヌカ?」
新たに現れた戦士の一人が尋ねた。
「ワ・ナヌカ・ジラヌ。ズガ・ゴマニ・ビドゥドゥ・ボド・ズバイ・ガムヰド・ビドゥドゥ・ボド・オボガル・ダガガ・ワリダル! ガ・アガイ・ビガリガ・ヤリダルドー。ワラ・ゴ・ビドラバ・ドビニ・マダナバ・ナラヌ」
先頭の戦士はそう答えた。
そして、彼らは生徒たちに剣を突きつけた。
2
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「ま……待って!」
佐藤先生が叫んだ。
「タ・ナ・カ?」
先頭の戦士が言った。
「な……何が目的なの? 彼女に?」
佐藤先生が尋ねた。
「ウ・ナヌガ・イプ? ウ・ガ・ワラパガマラヌ・ガジラカ? ソラヌ・ババ・ヤラムカ?」
「わ……私は、彼女に危害を加えることを許さない。ほかの生徒たちにも、同じことはさせない」
「佐藤先生……?」
一人の生徒が、彼女に近づきながら言った。
「田中さん? ここは危険よ……。どうしてかは分からないけど、あの男たちはあなたを狙っているみたい……」
先生は小声で言った。
「その話は聞いてる。それで、ここに来たの」
「馬鹿なことはしないで。自分を危険にさらしている場合じゃない……」
「先生がやってることも、まさにそれじゃない?」
「違うわ」
「違う?」
「ええ。これはただ、先生の役目」
3
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先頭の戦士は田中さんを見て言った。
「タ・ナ・カ?」
「はい、私は田中美智子です」
彼女はそう答えた。
しかし、戦士は彼女を無視し、仲間たちに合図を送った。
戦士たちは田中さんと佐藤先生を捕らえ、ほかの生徒たちと一緒に一か所に集めた。
毛皮の外套をまとった男たちは、先生と生徒たちを取り囲み、剣を彼らに向けた。
4
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一人の女子が、倉庫の扉から体育館のフロアの様子を見ていた。
「うそ、みんな人質にされてる!」
彼女が叫んだ。
「何ですって?」
王さんが驚いた声を上げた。
「くそ、こっちに来る!」
女子はそう言って、扉を閉めた。
伊藤さんは、渡辺くんの遺体をじっと見つめていた。
やがて、扉を剣で斬りつける音が聞こえ始めた。
高橋さんはしばらく周囲を見回すと、素早く鈴木くんのマットを引っ張り、彼を扉から離れた場所へ移動させた。そこは、壁の高い位置にある窓から差し込む日光があまり届かない場所だった。
そして、彼の身体をEVAマットで覆った。
斬りつける音が止んだ。
そして――
ドン、ドン、ドン……。
戦士たちが肩で扉に体当たりを始めた。
高橋さんはスマートフォンで何かを書き始めた。
ドンッ!
扉が倒れた。
戦士たちは女子たちをつかんだ。彼女たちは必死に抵抗したが、結局は遥かに力の強い男たちにねじ伏せられた。もみ合いの最中に、高橋さんのスマートフォンが床に落ちた。
そのとき、彼らは渡辺くんの身体のそばにしゃがみ込み、注射器を手にしている伊藤さんの姿を目にした。
戦士たちが彼女をつかんだ瞬間、淡い赤い光が彼女の右腕の周囲を渦巻き始め、注射針の先端に小さな赤い光の球が形成された。
彼女は引っ張られたが、つかまれていた腕を振りほどくと、少年の腕をつかみ、注射器を彼の身体に突き刺した。
「お願い……戻ってきて……」
彼女は呟いた。
まばゆい赤い光が、その場にいた全員の視界を覆い尽くした。
光が消えていくと、戦士たちも、ほとんどの生徒たちも、どこから光が現れたのか確かめようとするかのように周囲を見回した。
今度は、何も壊れていなかった。
男たちは倉庫から女子たちを引きずり出し、体育館のフロアにいるほかの人々と合流させた。
倉庫に残っていた戦士の一人は、渡辺くんの身体を見つめた。
彼はしゃがみ込み、少年の鼻孔の近くに手をかざした。
それから、生徒の胸に耳を当てた。
立ち上がると、そのまま倉庫を出ていった。
5
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毛皮の外套をまとった男たちが学校の皆さんを体育館から連れ出している間、倉庫ではAEDが音声を流した。
「患者に触れないでください……心電図を解析しています……正常な心拍リズムを検出しました……ショックは不要です」




