第三十四話:震慄するほど猛々しい
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三人は物置小屋で、暖炉のそばに敷いた何枚もの麻袋の上で眠った。
正確には、渡辺くんは暖炉のそばの麻袋の上に横になって眠っていた。
ンラティサさんは座ったまま、時々暖炉に薪をくべていた。夜通し、ずっと起きていた。
ンラティサさんの見張りを手伝うつもりだった鈴木くんは、彼女の肩に頭を預け、ぐっすり眠っていた。
ランギヤオたちは外で雪の上に横たわり、目を閉じていた。
だが、耳だけは立てたまま、レーダーのように動かしていた。
突然、すべてのランギヤオが立ち上がった。
ダディシィミィルギが物置小屋までやってきて、静かに吠えた。
「やっと来たみたいね……」
ンラティサさんが立ち上がると、鈴木くんは床に落ちて頭をぶつけた。
「いてっ!」
彼女は扉のところまで行き、右腕を上げた。
上腕を前に向け、前腕をそれに対して垂直に立てた。最初は握り拳を作っていたが、そこから手を伸ばして手のひらを後ろへ向け、それから手のひらを前へ返しながら口笛を吹いた。
すると、ランギヤオたちはすぐに人間の姿へと変わった。
その姿は、捕らえられていた戦士たちとまったく同じだった。
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まだ太陽は昇っていなかったが、遠くから板バネの軋む音が聞こえてきた。これほど貴重な荷を積んだ荷車が、荒野の道を一台きりで進みながら、大きな音を立てて自ら到着を知らせている。どんな盗賊にとっても、さぞ魅力的な獲物に違いない。
だが、荷車がどんどん近づいてくるにつれ、その印象は完全に覆された。
滑らかで平坦な地面なら、健康な馬一頭で、自重の三倍ほどの重量の車輪付き荷車を無理なく引くことができる。あのような雪で凹凸のある道では、積載できる総重量は馬自身の体重ほどまで落ちる。
物置小屋にあった食料は備蓄の終わりに近いようで、もうすぐ傷み始めそうだった。トォリ・カスィ・ムシのパンが小麦パンと同じくらい日持ちするとしても、あれほど寒い環境でも食べられなくなるまで、せいぜい二、三週間といったところだろう。
魚や、場合によっては獲物の肉や野草など、現地で手に入れられる食料もあるだろう。
だが、仮にビールまで含め、すべての食料を荷車で運んできたとしても――物置小屋にはその痕跡すらなかったが――一頭、せいぜい二頭の馬がいれば、十数人の衛兵がいる詰め所に一か月分の食料を補給するには十分なはずだった。
ところが、実際に食料を運んできた荷車は、四頭もの馬のような生き物に引かれていた。
しかも、鉱石の貯蔵品も、毛皮も、干し肉も、材木やその他の資材もなかった。荷車が帰りに運び出さなければならないようなものは、何一つとして。
3
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今にして思えば、十分あり得ることだったのかもしれない。
だが、幌付きの荷車から男たちが一人、また一人と降りてくるのを見て、ようやくそのことが明らかになった。
ただの食料補給ではない。交代要員の入れ替えも兼ねていたのだ。
新たに来た衛兵たちは、全員がきちんと武装していた。
こんな荷車を襲おうとするなら、大人数の盗賊団でさえ、かなり分の悪い賭けになるだろう。
「おい、そいは何ば持っちょっと?」
新しく来た戦士の一人が尋ねた。
「見回りで飛んじょったときに、こいつらば見つけたとじゃ。あん赤か光と何ん関わいがあっどんじゃなかかっち、思っちょっど」
傷のある目の男――いや、傷のある目の男に化けたダディシィミィルギが答えた。
「そいについて、何か話しちょったか?」
「いや、そげんでもなか。まだじゃ」
「あん連中も、協力する気はなさそうじゃったど。隊長が……ほら、あんときの顔ば見てみらんと……」
そう言いながら、戦士は笑い、指でハサミの形を作ってみせた。
鈴木くんと渡辺くんは、目を大きく見開いたまま互いの顔を見つめた。
4
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そして、どこかの小屋から音が聞こえてきた。
バン、バン、バン。
何かが木の壁を、しつこく叩いていた。
「なんの音じゃ?」
「音? 何ん音じゃ?」
「おい、おはんもあん音ば聞いちょっどな?」
戦士が、一緒にやって来た別の男に尋ねた。
「おう」
男は頷いた。
「また、おはんの、ちっともおもしろなか悪戯じゃろ、クァリタヲポノ?」
「そげなわけなか!」
傷のある目の男に化けたダディシィミィルギが答えた。
新しく来た戦士たちが、音のした小屋へ近づいていくと、クァリタヲポノに化けたダディシィミィルギが念を押した。
「なんもなか」
彼らは聞き入れず、戦士の一人が扉の留め金に手をかけ、開けようとした。
「扉ぁ開けんな!」
クァリタヲポノに化けたダディシィミィルギが叫んだ。
だが、無駄だった。
男が扉の取っ手を押すと、突然、扉が勢いよく開き、男は弾き飛ばされた。
中から、巨大な白い生き物が飛び出してきた。
翼の生えたライオンのような姿で、頭のてっぺんには一本の角が生えていた。
戦士たちが剣の柄に手をかける間もなく、生き物は右前脚を一薙ぎし、五人をまとめてなぎ倒した。
「下がっちょれ! ビクが、えらい機嫌悪かど!」
生き物はそのまま地面すれすれを飛び、森の中へ消えていった。
「なんじゃ、ありゃあ!」
「おお、昨夜捕まえたビクん一匹じゃ」
「一匹? ほかにもおっとか?」
「三匹捕まえた。ほかん二匹は、あそこじゃ、あそこ」
クァリタヲポノに化けたダディシィミィルギは、ほかの戦士たちを縛ってある小屋を指差した。
男たちは顔を青ざめさせ、目を大きく見開いていた。心臓は激しく鼓動し、呼吸も荒くなっている。
「そいは、そんまま置いとくんを勧むっど。隊長に頼んで、ここへ坊さんば寄こして、祓ってもらう。もう一遍言うど、そんまま置いといて、坊さんが来るまで待っちょれ。心配すんな、逃げはせん。急ごしらえじゃっどん、封印ばしちょっでな。おはんらは、ほかん小屋ば使えっじゃろ」
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三体のランギヤオが荷車の後ろから走ってきた。
淡い青色の光を放ちながら、まず長い帯状に変化した。それから荷車の中へ入り込むと戦士の姿へと変わり、ほかの一行に加わった。
「なあ、どう思う? あのビク、すごかったよな?」
三体のうち一体が言った。
「シーッ、声が大きすぎる」
ンラティサさんが小声で言った。
ランギヤオは黙って頭を下げた。
それから聞こえるのは、風の音と、遠くで鳴く鳥の声、ときおり聞こえてくる馬のいななき、板バネの軋む音、そして渡辺くんの腹の音だけだった。
鈴木くんは浮かない顔をしていた。右手をポケットに入れ、高橋さんのスマホを指で撫でた。




