第二十七話:ムカつくほど面倒い
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「でも……どうして?」
二人の少年は、つぶやくように尋ねた。
ンラティサさんはただ言った。
「答えを求めているのは私。でも、ここじゃない。行こう」
「無理だ」
鈴木くんが言った。
「何を言ってるの? ここは危険よ」
「あなたと一緒でも、危険が減るとは思えない。覚えてないのか? あなたは俺たちを殺しかけた……」
「私は槍を向けただけよ」
鈴木くんは、両手を肩の近くまで上げ、手のひらを丸めるようにして、それから前腕を下ろし、手のひらを上に向けて水平に構えた。
そして手首を少し屈曲させてから、空気を軽く叩くようにもう一度伸展させた。
手振りで「ほら」と伝えようとした。いや、あまりうまく伝わってはいなかったかもしれない。
ンラティサさんはその仕草をしばらく見つめてから、声を上げた。
「お!」
そして鈴木くんの両手を叩き、ダウン・ローのような動きをした。
「これで行けるわね!」
彼女は言った。
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小屋を出ようとしていたンラティサさんは、鈴木くんの叫び声を聞いた。
「俺は一緒に行かないって言っただろ!」
「まあ、何か誤解があるみたいね。私はお願いしてるんじゃない。命令してるの」
「何回同じことを言わせるつもりか知らないけど、俺は一緒に行かない!」
ンラティサさんが腕を振ると、手にしていたトンファーが槍へと変わった。
「私の我慢を試すんじゃないよ、小僧!」
そう言って、槍の穂先を鈴木くんの喉元へ向けた。
彼は何も言わなかった。
だが、動きもしなかった。
「そう。そこまで言うなら……」
ンラティサさんはそう言って、左膝を曲げた。
鈴木くんの胸元を、冷や汗が一筋伝った。
ゴクリ。
「俺は……」
鈴木くんが言いかけたとき、ンラティサさんが口笛を吹いた。
すると外から、淡い青色に輝く帯が空中をうねるように飛び込んできて、二人の少年を縛り上げた。
「言ったでしょう。お願いしてるんじゃないって……」
ンラティサさんが小屋を出ていくと、二人も外へ引きずり出されていった。
「み……みんな、ほかの仲間たちと一緒にいる!」
鈴木くんが叫んだ。
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「おい、何してるんだ!?」
地面に縛られた戦士の一人に槍を突き刺そうとしているンラティサさんを見て、鈴木くんが叫んだ。
「ん? もちろん、始末するのよ」
彼女は何でもないことのように答えた。
「それはできない!」
「もちろんできるわ。あとはこいつの心臓を引き裂けば……」
「そういうことじゃない。やっちゃダメなんだ」
「何を言ってるの?」
鈴木くんはしばらく黙り、頭のてっぺんをこすった。
「だ……だって、重要な情報を持ってるんだ!」
「どんな情報?」
「えっと……俺の友達たちがどこに捕まってるか」
「ああ……それなら、あなたが最初に考えていた計画でいいじゃない。明日、荷車が来るまで待って、それに乗って彼らの集落か村まで行けばいい」
「乗るっていうか、囚人として運ばれるんだけど」
「ああ……別にいいわ」
「よくない! こいつらを殺したら、問題になる。ものすごく大きな問題になる!」
ンラティサさんは黙ったまま、鈴木くんを見つめた。
「仲間がいなくなったことに気づく!」
彼は言った。
「ええ……気づかないわ」
「いや、絶対気づくだろ……」
すると、一体のランギヤオが姿を変え、捕らえられていた戦士の一人と同じ姿になった。
しばらく黙ったあと、鈴木くんは続けた。
「まあ、それでも仲間がしゃべれなくなってることは怪しまれると思うけど……」
「私は彼女が正しいと思う!」
「渡辺、今は口を挟まないでくれ……。そういえば、お前、食べ物を探してたんじゃなかったのか?」
そのとき、少し離れたところから、別の渡辺くんが小屋を出てきた。
手にはパンの入った袋を持っていた。
「ああ、あの狼に代わりにやらせたのか?」
鈴木くんが言った。
すると、渡辺くんだと思っていたものがランギヤオに姿を変えた。
「おい、これ美味しいぞ」
そう言いながら、本物の渡辺くんが彼らのところへやって来て、パンを一切れ食べた。
「いいぞ! 焼いた粗挽きトォリ・カスィ・ムシ!」
ンラティサさんはそう言って、パンを一個取った。
渡辺くんは食べかけのパンを手から落とし、口をぽかんと開けたまま、目を大きく見開いた……。
「そんな貴重な食べ物を無駄にするんじゃない!」
彼女は叱りつけた。
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「とにかく、小僧。あんたがこいつらを生かしておくという計画は大問題よ。荷車の人たちが、私たちをそのまま引き渡してくれるわけじゃない」
「こいつらを捕まえてなかったら、そうなってただろ……」
「まあ、実際には私がこいつらを捕まえたんだから。だから私は……」
そう言って、ンラティサさんはもう一度、戦士の一人に槍を突き刺そうとした。
「ダメだ!」
「もう、仕方ないわね! 先にあんたを殺さなきゃならないのかも……」
ンラティサさんが鈴木くんに槍を向けた。
鈴木くんは震えた。
それでも拳を握り締め、踏みとどまった。
「お……おいおいおい……」
渡辺くんがつぶやいた。
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そして……。
「キャン」
縛られていた戦士の一人が、身体を縛る帯から抜け出した。
その近くでは、ランギヤオが一体、地面に倒れたまま動かずにいた。
「おい、若ぇおなご。そん若ぇ衆ば殺したら、おいが褒美ばもらえんじゃろが?」
左目に傷のある男が言った。




