第二十六話:びっくりするほど思いがけない
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戦士は鈴木くんの両手をつかんだ。
「おい、何ばしちょっとじゃ、このクソガキゃ!」
男は無表情のまま言った。
前腕を強く握り締められ、鈴木くんの顔が苦痛にゆがんだ。
「うっ……!」
彼が声にできたのは、それだけだった。
「ワカピト、あん若ぇ衆に、そげん手荒な真似すんな」
左目に傷のある男が言った。
解放されると、鈴木くんは地面にひざをつき、腕に息を吹きかけた。
渡辺くんは座ったまま動かず、口をぽかんと開けていた。
だが、まるでまた喉を痛めたかのように、声は出なかった。
2
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「ほいじゃ、若ぇ衆。あん馬鹿ん真似はもうやめて、赤か光んこつば話せや」
左目に傷のある男が言った。
だが、二人とも黙ったままだった。
鈴木くんは話す気がなく、渡辺くんは一言も発することができなかった。
その全神経は、尿道括約筋を締めることに注がれていた。
「おはんらが、おいどんらの言葉も分かっちょって、ビ・ヌ・ガ・ビまで話せるこつぁ、もうよう分かっちょっど。ちぃっと妙な話し方じゃっどん、ちょうど高原ん連中んごつじゃ。おはんらとあん連中は、何ん関わいがあっとや?」
男は鈴木くんをじっと見つめた。
そして、ゆっくりと近づいた。
上体を左右に揺らしながら顔を近づけると、右手で鈴木くんの両頬をつかんだ。
頬をつねり上げ、そのまま口を開かせた。
「おやおや、こりゃ何じゃ? 歯ぁ一本も欠けちょらん。真珠んごつ白か。おなごでん、こげんきれいな歯ぁ持っちょるもんはおらんど。そいに、このええ匂い……。おはんら、どっかん偉か家ん者じゃったとか?」
二人の生徒が口を閉ざしたままでいると、男は言った。
「まぁ、そいはさておき、食糧ば積んだ荷車が明ん朝にゃ来るはずじゃ。来たら、おはんら若ぇ衆のこつぁ、もうおいが気にするこっじゃなかど」
3
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二人は空腹のまま、小屋に戻された。
「やっぱり、赤い光について知ってることと食べ物、交換してもいいと思うんだけどな。結局、俺たちもあれについてほとんど何も知らないし」
渡辺くんは愚痴をこぼした。
「まあ、こっちにはまだこの切り札がある」
「それで何も手に入らないけど……」
「そんなことはない」
「どうして?」
「俺たちは友達がどこにいるか……いや、正確な場所は分からないけど、誰と一緒にいるかは分かってる。それに、もうすぐ一緒になれる」
「どうして、すぐに合流できるって分かるの?」
「左目に傷のある男が言ってただろ。明日、食糧を積んだ荷車がここに来て、それからは俺たちの面倒を見る必要がなくなるって……」
渡辺くんは目を大きく見開いた。
「ま、まさか……明日、僕たちを殺すってこと? それに、仲間たちはもう死んでるってこと?」
「まあ、赤い光のことを知られていたら、俺たちを始末する可能性はある……」
「じゃあ、どうするんだろう?」
「たぶん、荷車で仲間たちが捕まってる街か村のどこかへ運ぶんだろう」
「たぶん?」
「たぶんより低いかもな。でも、悪くない推測だ」
4
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外では、何やら騒ぎが起きているようだった。
「ふぁ〜! んっ!」
「そん女ば叩き伏せろ!」
誰かが叫んだが、その声はくぐもって聞こえた。
扉の下から、青い光が見えた。
「グウウウ〜」
外で何かが唸った。
そして……。
バン!
扉が突然開いた。
5
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黒い長髪に浅黒い肌、毛皮の外套をまとった女が、小屋の入口に立っていた。
「ンラティサさん!」
渡辺くんと鈴木くんが、同時に叫んだ。




