第二十五話:すげーほど芳しい (その二)
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男たちは、何とも言えない不気味な笑みを浮かべて少年たちを見つめていた。
そのうちの一人は、狩猟用ナイフの刃先を指先でなぞっていた。
ゴクリ。
左目に傷のある戦士は、二人を焚き火のほうへ連れて行った。
焚き火の周りでは、棒に刺された魚が何匹か焼かれていた。
渡辺くんは思わず唾を飲み込んだ。
「おい、若ぇ衆。腹ぁ減っちょっどな? 魚も、もうじき食えっごつなっど。じゃっどん、一つ頼まれてくれんか。どうじゃ? 飯と引き換えに、ちぃっと話ば聞かせてもらう。ええ取引じゃっどが?」
左目に傷のある男が言った。
「え? 鈴木先輩、何て言ったんですか? 何て言ったんですか?」
「たばぶぶんぶ あばかばいび ひびかばりびをぼ きびきびたばいびんぶだば」
「ええぇ、また変な言葉をしゃべってる……」
「ばびぶ……」
鈴木くんは歯を食いしばりながら、小さくつぶやいた。
渡辺くんはしばらく彼をじっと見つめていた。
やがて眉をぴくりと上げると、握った右拳を左の手のひらに打ちつけた。
鈴木くんは目を閉じ、まるで蒸気機関車の汽笛のような長いため息を吐いた。
「つぶかばれべるぶこぼのぼばばかば」
「おおい、誰がバカ?」
2
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左目に傷のある男は、焼き魚を刺した串を一本手に取り、渡辺くんへ差し出した。
渡辺くんは受け取ろうと両手を伸ばしかけた。
だが、鈴木くんが険しい表情で首を横に振るのを見ると、名残惜しそうに手を引っ込めた。
「ほんのこっ、よかとか? うんまかど」
男はそう言うと、焼き魚に大きくかぶりついた。
渡辺くんの口元は小刻みに震え、口の端から唾液がこぼれた。
ゴクリ。
男がまた別の焼き魚をむさぼるように食べているのを見て、渡辺くんは鈴木くんに小声でつぶやいた。
「ねえ、あのこと、ほんのちょぉぉぉっとだけ話しちゃだめ?」
鈴木くんは黙ったままだった。
渡辺くんは彼にウインクした。
「あば、だばめべだばこぼのぼばばかばやばろぼうぶ」
「おおい、誰がバカ?」
男はげっぷをすると、握った右拳で胸を軽く叩いた。
「うんまか、うんまか!」と言いながら、腹をさすった。
3
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ほかの戦士たちも集まってきた。
それぞれ焼き魚の串を一本ずつ手に取り、切り株に腰を下ろして椅子代わりにした。
「おお、このサㇰエㇷ゚ぁ、ほんのこっうまかど」
そのうちの一人が言った。
別の男が袋を地面に放り投げた。
中には、血のソーセージのような濃い茶色のものがぎっしり詰まっていた。
ただし、一つだけ決定的に違う点があった。
それは動いていた。
うねうねとうごめいていた。
男たちの多くはその一つを手に取り、よだれを垂らした。
そして、パンを横に切るようにナイフで真っ二つに切った。
パンとして使い、その間に焼き魚を挟んだ。
男たちは、そのサンドイッチを食べた。
生きたまま、うねうねと動き続けるサンドイッチを。
4
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焼いたサㇰエㇷ゚の匂いと、うごめく「サンドイッチ」の光景が混ざり合ったことで、渡辺くんの脳には矛盾した信号が送られているようだった。
美味しそうで、同時に嫌悪感を覚えた。
それは、あの潰されたトォリ・カスィ・ムシ料理よりも強烈だった。
あれは、少なくとも動いてはいなかったし、すり潰されたことで元の姿も消えていた。
矛盾した信号を脳が処理するときに起こる典型的な反応は、例えば、しばらく自分で回転したあと急に止まったときのような場合……吐き気だ。
渡辺くんは、ますます強くなる吐き気を抑えることができなかった。
オエッ! ゴボッ! そして……ゲロッ!
「ワハハハ! なんちゅう面白か反応じゃ。まるで、あん山ん麓で捕まえた連中と同じじゃっど。こいつらんごたるよか匂いがして、あげん凍える寒さにはとても足らん薄か服ば着ちょった連中じゃっど」
渡辺くんの隣に座っていた男は、からかうように言った。
鈴木くんは目を大きく見開いた。
彼は飛び上がるように立ち上がると、男の外套の襟元をつかんだ。
「ほかの人たち! どこにいる!?」
少年は叫んだ。
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「おお、それでバビブ言葉っちゅう馬鹿げた真似は、もう止める気になったとか」
左目に傷のある戦士が言った。




