第二十四話:すげーほど芳しい (その一)
1
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戦士の一人が鈴木くんの傷に軟膏を塗ると、一筋の涙が彼の目からこぼれ落ちた。
彼は震えていた。だが、何も言わなかった。
ストイックに。
渡辺くんも、傷に軟膏を塗られている間は何も言わなかった。悲鳴すら上げなかった。
もっとも、それは唖になっていたから。
唖であっても、無肢ではなかった。
実際、まるで体を切り刻まれているかのように、足をばたつかせ、必死にもがいていた。
2
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毛皮の外套は、制服の上から掛けていた毛皮の毛布よりもずっと暖かかった。
あの女たちの村に置いてきたエマージェンシーシートよりも、はるかに快適だった。
そして、木綿の靴下しか履いていなかった二人にとって、ブーツもありがたい防寒具だった。
もちろん、欠点もあった。
その外套は臭かった。
まるで動物の死骸のような臭いだった。
動物の毛皮で作られ、何週間も使い続けられ、一度も洗われていなかったからだ。
それに、その男たちも長い冬の間は風呂に入ることはなく、夏でさえ滅多に入らなかった。
「おい、おはんら二人、おなごん臭いがすっど。いや、おなごんよっか、なおええ匂いじゃっど」
左目に傷のある男は笑いながら言った。
「ねえ、鈴木、あの人、何て言ったの?」
渡辺くんはかすれた声で尋ねた。
「だばかばらば、しゃばべべるぶなっばってべいっびったばだばろぼ」
鈴木くんは答えた。
「うわぁ、まだ鈴木先輩の言葉が分からないよぉ……」
渡辺くんは嘆いた。
「わ・か・り・ま・す・か?」
彼は相手の様子をうかがいながら、一音ずつ区切ってゆっくりと言った。
3
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二人は小屋の中に残された。
「渡辺、聞け」
鈴木くんは、考え込んでいるように口元を手で隠し、小声でつぶやいた。
「鈴木先輩! また分かるようになりました!」
渡辺くんは叫んだ。
「静かにしろ! とにかく聞け!」
鈴木くんは少し声を荒らげたが、すぐに冷静さを取り戻そうとした。
扉の下の隙間から差し込む光が、誰かの影で遮られたのを見て、彼は口をつぐんだ。
やがて、その影が離れ、再び光が差し込むと、彼は話を続けた。
「村のテントで俺が言ったこと、覚えてるよな? 覚えてるならうなずけ……よし。お前の軽い口のせいで、あのンラティサは俺たちを殺しかけたんだ……」
「でも、あの人が狙ってたのは鈴木先輩がやったことじゃないんじゃ……」
「しっ! 同じ失敗をするな。あいつらに、お前の必殺技のことも、赤い光のことも話すな」
渡辺くんは何も言わなかった。
ただ、空気を嗅いだ。
「分かったか?」
鈴木くんが尋ねた。
「うーん、なんて美味しそうな匂い! 焼き鮭みたい!」
渡辺くんは答えた。
4
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そして、左目に傷のある剣士が扉を蹴破るようにして小屋へ入ってきた。
「おい、ええ匂いん若ぇ衆、おはんら何ば企んじょっど?」
眉をひそめながら叫んだ。
二人の生徒は目を大きく見開いた。
男は笑い出した。
「ムハハハ! 今んおはんのツラぁ、見もんじゃったど!」
少年たちは、歯を見せて、ぎこちない笑みを浮かべた。
「おい、まこて何か企んじょったっちゃなかどな?」
男は再び眉をひそめて言った。
少年たちの笑みは崩れ、口角が下がった。
「ムハハハ! 冗談じゃっど。おはんらが、そげな馬鹿なこつせんこつぁ分かっちょっど。そいをすりゃ、命ば失うこっになるでな。さて、もう遊びは終わりじゃ。おいについて来い……」
鈴木くんは立ち上がり、男の後について行った。
渡辺くんが床に座ったままなのを見ると、鈴木くんは戻り、彼の腕をつかんで引きずり出した。
5
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外へ出ると、毛皮の外套をまとった戦士たちの一団が、狩猟用のナイフを手にしながら少年たちをじっと見つめていた。
ゴクリ。




