伝えたいことは簡単なようで難しい
さて、問題はこのペアだ。日笠さんでさえ、ここまでだったんだ。こっちも覚悟は必要だ。俺は腹を括り泉さんに言った。
「じゃあ、そっちも見せてくれるかな?」
「分かったわ」
そう言うと泉さんは紙を裏返しにした。そこには、
『私が、辛世界の神となり誰もが私に跪き、男なんていなくなれば良いと世界中の女性が思っている』
おいおい…。
「それはあなたの欲望だろうが!まず最初の言葉は何⁉︎辛って辛い世界とかそういうのが言いたかったわけ?そして何であなたはそんなに女王様気質なわけ⁉︎だいたい男全員いなくなってほしいなんて思っている人は、かなり少ないはずだよ!」
「‼︎」
「え、今『そんなはずない』と思っていたでしょう!」
「まさかあなたにも透視能力があったなんてね」
「ないよっ!てか図星かよ!……ん?『あなたも』って、泉さんには透視能力持っているの⁉︎」
「確かめてみる?」
泉さんが怪しく笑う。
「遠慮しときますっ!」
俺は全力で断った。そして今更瞬が俺に加勢してきた。
「ちょっと待てよ!俺はそんなこと一言も言ってないぞ!」
おぉ、言ってやれ正解の文章を!
「俺が聞いたのは『ソウルは世界最大のキムチ国家で、キムチを食べた者は皆キムチール症候群にかかり、一回かかるとキムチ人間になってしまうかもしれない』という文章だったぞ!」
「んな文章一度も言ってねぇよ!まず国ごと移動してしまっているよ!確かに韓国はキムチが有名ではあるが、俺は少なくともキムチ国家なんて呼ばれていたのは、初めて聞いたぞ!まぁ百歩譲ってそこは良いさ。問題は後半だっ!何だよキムチール症候群って!そんな病気初めてきいたわ!後キムチ人間って何⁉︎怖すぎるんだけど」
「ほら、えっと肌が赤くなるんだよ」
「それ、今考えただろっ!それでも怖いけどなっ!」
「これなら私の方が圧倒的にましね」
泉さんが胸を張って言った。
「いやいやいやいや!あなたも十分重症だからねっ!」
「でも私は、原文を聞いていなかったのだから、当たり前じゃないかしら?」
「いや、俺は原文ではなく、瞬と比べてのことを言っているんだよ」
「⁉︎」
「今、『何ですって⁉︎』って思っただろ。
「まさかあなた透……」
「それはさっき聞いた!」
俺は、一通りツッコミ、深い呼吸をした。
「取り敢えず、俺が言った最初の文章はだな」
数秒間を空けて、正しい文章を言った。
「『ニューヨー……』」
俺が途中まで言うと泉さんが……。
「『ニューヨークは世界最大級の都市で、誰もが一回は行ってみたいと思うかもしれない』でしょ?」
俺は呆然とした。そして、
「透視能力こえぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」
と叫びました。
今日はそんな一日でした。




