こんな人間ってあり?って思う時ってこんな時?
「さて、それでは早速始めますかっ!」
俺は軽く気を引き締め、お題を考えた。そんなに凝ったものは考えないで良いのだが、中々簡単にはいかない。
俺は本棚に目を向けた。そして目に入ったのが『ニューヨーク』という単語………。
「(うーんこんな感じで良いか……)」
俺は頭の中で文章を組み立てた。
「よし、それじゃぁ回していくぞ」
皆は各々返事をした。
俺はまず、日笠さんと秋野さんのグループに伝えることにした。俺はそこら辺にあったある程度の薄い雑誌をとり、それを丸めて日笠さんの耳に当てた。そして、俺が考えた文章を言った。
ちなみに俺が考えた文章は
『ニューヨークは世界最大級の都市で、誰もが一回は行ってみたいと思うかもしれない所だ』
と言う文章だ。『思うかもしれない』と言うのは、俺自身は別に興味が無いからである。
俺は、日笠さんに言い終わった後、今度は、瞬と泉さんのグループに向かった。
まず一人目は、瞬のようだ。既にスタンバッているからだ。俺は先程のグループ同じ文章を瞬に言った。上手く聞こえたようで、親指を「ぐっ!」と立てていた。二人とも最後の人に自分が聞いた文章を言っていた。この時俺は改めて思っていた。後ろに回す人が一人しかいないのにこれは伝言ゲームと言って良いのだろうか。一応伝言はしているが……。
本来伝言ゲームとは、大勢の人数で次の人にどれだけ正確な文章を相手に言えるかというものだ。
つまり、俺が言いたいのは、この人数でやっても絶対に間違えるはずがないのだ。況してやこんな短い文章……。
そんなことを考えていたうちにどうやら最後の人に完全に文章が行き渡り自分が聞いた文章を紙に書き終わったようだ。
「書けたわ」
「私も書けたよ」
二人は紙を裏返しにし、俺に言った。
「よし、じゃぁまず、秋野さんから裏返してみて」
「分かった」
秋野さんはそれを裏返した。そして、そこに書かれていた文章は、
『新しいヨークシャーテリアは世界最大級の大きさで、誰もが一匹は飼ってみたいと思うかもしれないペットだ』
どっからツッコもうか……、順番に行くか。
俺は何故か冷静でいた。
「まず新しいヨークシャーテリアって何!?新種ってことですか!?俺は、『ニュー』って言ったはずなんだけどね!何で訳しちゃったのかなぁっ!?そして、世界最大級の大きさってどれだけ大きいんだよっ!ヨークシャーテリアって本来小さい犬だからねっ!それが世界最大級ってもう怖いよっ!そして最後に、そんな犬飼いたくねぇよっ!そんなの飼うのは変人だけだぁっ!」
ツッコミは熱く言う俺です。
「まぁ、待ってよ。私は聞いたことをそのまま書いただけだから」
む、確かにそうだ。つまり、俺が言った文章を勘違い(そんなレベルじゃない)したのは、日笠さんということだ。
「日笠さんは俺がこう言う風に言ったと聞こえたの?」
「いいえ、実はあまり良く聞き取れなくて、聞き直そうと思ったのですが、それも悪いと思いまして」
日笠さんはしゅんとした態度で言った。俺は慌てて、日笠さんを慰めた。
「いや、別に責めているわけじゃないんだ」
「本当ですか?」
日笠さんの目には、ちょこっと涙が浮かんでおり、捨てられた子犬のような目をしていた。
「も、もちろん日笠さんが悪いわけないじゃないか」
「そうですか。ありがとうございます」
日笠さんは元気を取り戻し笑顔だった。俺はこの先100%日笠さんのミスが起きても俺は責めることができないんじゃないかと思った。




