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第11話:14歳、魔導×ITハッキング作戦と、中学生の「しんろそうだん」


「じゅり、お願いだから三者面談の『将来の夢』の欄に『国家転覆とれなの完全幽閉』って書くのやめて。先生の顔がマジで引きつってたから」

「何が不満なんだ、れな。俺にとっての『将来』とはお前を所有すること以外に意味はない。それより、父親たちの会社(日本法人)から最新のデータリンクが届いたぞ。向こうの世界(異世界)の魔導ネットワーク、こちらのIT技術で完全にハッキングが完了した」

「中学生の進路相談の規模を軽々と超えていかないで!?」


中学校の図書室の片隅。私はじゅりが手元の薄型タブレット(父親たちの会社が開発した、魔法回路内蔵の特注品)を器用に操作するのを見ながら、盛大に頭を抱えた。

3歳で秘密基地を見つけてから**11年**。私たちはついに**【14歳(中学3年生)】**になり、いよいよ日本の「高校受験」を控えた進路の季節を迎えていた。


この数年の間に、日本の会社を大成功させた皇おとうさんと阿流おとうさんは、こっちの最先端の『情報工学』を異世界の『魔導結界・通信魔法』と融合させるという、とんでもない裏プロジェクトを進めていた。

結果、私たちが中学校で義務教育の集大成に挑んでいる裏で、異世界の王宮や教会、果ては裏ギルドの情報まで、すべて日本のデータセンターへリアルタイムで流れる「未来ハッキングシステム」が完成してしまったのだ。


「ただいまー……」

「おかえり、れな! じゅり!」


いつものように日本の我が家の玄関を開けてリビングに入ると、そこには受験勉強……ではなく、やはり日本のサブカル文化にどっぷり浸かった兄姉たちがコタツを占領していた。

みあが最新の「学園ものの少女漫画」を広げて、机に突っ伏して悶絶している。


「あ、れな、じゅり、おかえりなさい……っ。見てくださいまし、この漫画の『受験当日に、体調を崩したヒロインをおんぶして保健室に運ぶヒーロー』の神々しさを……! これぞ究極の愛の形ですわ……!」

「おいみあ、そんなのただの漫画だろ。っていうか、お前が向こうの世界の夜会でドレスの裾を踏んで転びそうになった時、俺が咄嗟に抱きとめてやった方がよっぽど……っ、あ、いや! なんでもない! 忘れろ!」

ソファの裏で剣の素振りをしていたりく兄が、突然顔を真っ赤にしてそっぽを向いた。


「あら、お兄様、またそうやって素直になれないんですから。ねぇきりや、かりんのこの新しく買った『受験お守り』、可愛いでしょう? お揃いであなたのリュックにもつけてあげますわ」

かりんがおっとりと微笑みながら、ピンク色のウサギのお守りをきりやの目の前に差し出した。


「は? 俺にそんなスピリチュアルなもんは必要ねぇ。筋肉とプロテイン、それと過去問さえあれば受験なんて余裕だろ。……チッ、分かったよ、そこまで言うならそのプロテインシェイカーのポーチにだけはつけといてやる。……ありがとよ、かりん」

きりやが顔を真っ赤にしながら、かりんからお守りをひったくるように受け取る。


「ふふ、やっぱりきりやは優しいわね」

呼び捨てで気楽に言い合いながらも、2人の間には確実に、こっちの世界の少女漫画に影響されたようなウブで甘酸っぱい空気が漂っていた。


「はぁ……みんなすっかり日本のラブコメに狂わされてるわね……」

私がピンクのもこもこスウェットに着替えてコタツに潜り込むと、隣に滑り込んできたグレーのスウェット姿のじゅりが、当然のように私の真隣にぴたりと体を密着させ、コーラを2缶開けた。14歳になり、すっかり声変わりして背も伸びたじゅりの体温が、やけに近くに感じられる。


「他人の恋愛ごっこなどどうでもいい。れな、高校の進路だが、俺たちのハッキングチームが割り出した『最もお前と2人きりになれる特進クラス』のある学校に決めておいた。お前は何も心配せず、俺の隣にいればいい」


じゅりは私のスウェットの裾をぎゅっと力強く握り締め、満足そうにコーラを喉に流し込んだ。

14歳の中学最後の1年。魔法とITが交錯する裏工作と、秘密基地でじわじわと加速する兄姉たちの恋模様。私たちの自堕落な二重生活は、やがて訪れる「高校生活」という次のステージに向けて、さらにディープに、そしてじゅりの歪んだ独占欲とともに引き返せない領域へと進んでいくのだった。


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