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第37話 温泉でサービス! サービス!

 エルフの谷の温泉は混浴だから、デウス王子にリンターロもいたけど、子どもと普段からほぼ裸でいっしょにいる人ので、もう気にならない。


 あれっ! 逆にデウス王子がはずかしそうにしている。

 まだ子供のくせにー(笑)!

 あ、でも、もしシーラに変なことをしようとしたら、私が許さないからね!

 なんて、久しぶりのお風呂に、ついついはしゃいじゃう!


 あ、温泉の中に石けんがある。

 デウス王子が、「頭って、どうやって洗えばいいの……」とか言ってて、まさか頭は誰かに洗っててもらったの!?

 王子、一応、正体を隠していたよね! 聖女様ってそんな親バカだったんだ!

 しかたないから、私が頭を洗い方を教えてあげることにした。


 頭に泡立てたせっけんをつけてごしごしと、洗い方を教えていると、デウス王子が、

「ねえ、ヨーコ。僕は偽物の王子なの?」

なーんて、聞いてくる。

「うーん、どうかなー。ダークエルフを倒せたら、王子ってことでいいんじゃない?

 それより、王子はどうしたいの?

 王様になりたい? なりたくない?

 世の中には、自分の子どもを王様にしたくない人もいるみたいよ」

 と、カーウラ将軍とアグリーナのことを思い出す。


 カーウラ将軍とアグリーナは、グンペーイ王国での王様暗殺騒ぎが収まった後、子どもが生まれる前に二人とも失踪してしまったらしい。

 やっぱり、あの赤ちゃんは王様の子どもじゃなくて、カーウラ将軍の子どもだったんじゃないかなー? 「愛の逃避行」ってやつなのかなー?

 王様もデウス王子がいるからか、あまり気にしてない様子で、二人のことを本気で探している様子はなかった。


 すると、頭の泡を洗い流しながらデウス王子が、「わからない……」と悩んでいる様子なので。

「まあ、嫌になったら王子を辞めればいいんじゃない?

 いまはまだ王様がいるんだし? 辞めちゃってもなんとかなると思うよ?」

 と答えて、耳に残っていた泡を、洗い流してあげた。


 温泉から上がって、用意された部屋でリラックスしていると。

 エルフの長老が、デウス王子の側近にだけ伝えたいことがあるとのことで、私とリンターロが長老が待っている部屋に呼ばれた。

 別に私は側近じゃないんだけどなー。まあ、いいけど。


 部屋に入ると、奥の台座にエルフの最長老様が座っていて、

「お前たち二人にだけ、伝えておきたいことがある。

 あの王子は『凶王』になる兆しが出ている」

といきなり、とんでもない話をし始めたんだけど!


「王子は、聖女の子どもとして『光の力』を使いこなせる資質を持っているのだが。

 一方で、精神のほうは『闇の力』に毒されつつあるように見える。

 これは、王子や国民だけの問題ではなく、『この世界の調和を乱す』原因になるかもしれない。

 あの幼い子どもが、どのように育つのか、二人には十分に気を付けて見守ってほしい」

とのことだった。

 いやー、そう言われても…‥と思ったけど、リンターロと二人で、「わかりました」と答えた。


 それで、ちょうどいいタイミングなので私から、この度の目的の一つである、

「どうやったら異世界転移者は、元いた世界に戻ることができるのでしょうか?」

を最長老様に聞いてみる。


 エルフの最長老様からは、

「異世界転生者は、何らかの役割があって、神からこの世界に呼ばれた存在なのだ。だから基本的には、元いた世界には戻れないと聞いている。

 ただ、その与えられた役割を終えることができたら、帰れるかもしれない。

 基本的には戻ることができないが、元いた世界とのつながりは残っていて、そのつながりをさかのぼることができれば、帰れるかもしれないと言われている」

とのことだった。


 つまり、神から与えられた何かの役割を果たせば、元の世界に戻れるかもれいないってこと?

 でも、リセット前のトラブルはもう解決したはずだけど、まだ果たしてない役目が私にあるのかな? それはいったいなんだろう?

 ダークエルフを退治すれば、神様から与えられた役割を果たしたことになるのかもしれないのかな?



 そのダークエルフだけど、最長老の話では、元々は「イリース」という名前のエルフだったそうで。

 ダークエルフって、エルフが闇に堕ちたもので、その実力はまちまちで、だいたいはエルフ社会から落ちこぼれた存在で、そういうダークエルフはたいした力は持ってないそうなんだけど。


 イリースというダークエルフは、エルフだったころから、相当の実力者だったらしい。

 それで、エルフ自体は、魔物や人間よりはるかに寿命が長いんだけど、そのせいか、いつのころからか、だんだん子孫を増やすことをやめてしまって。

 光の力を使えば、なんでもできるはずなのに、争いをさけるようになり、いつのまにか数で優る人間たちから、深い森の奥にあるエルフの谷にまで、追いやられてしまったらしい。


 その状況に納得がいかない一部のエルフが、人間を滅ぼそうと考えて自らダークエルフに堕ちて、闇の一族になっていった。イリースも、その一人らしい。

 だから、イーリスの目的も闇の力で人間を滅ぼすことのようだ。

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