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第20話 意外な真相が飛び出して

 ブゴニア国の外れ、郊外にポツンとある一軒家の庭に、その三人はいた。

 年の離れた、初老で銀髪だけど精悍な雰囲気の男性の横に、地味な服で化粧っけもないけど、生まれつきの華やかさと色気が隠せない美女が、生まれたばかりの小さな子どもを抱いて、楽しそうに笑ってた。


 その三人にむかってリンターロが、

「カーウラ将軍、アグリーナ様、お迎えにあがりました」

と声をかけるとビクッとして、アグリーナを自分の後ろに隠し、こちらを睨みつけたのは、カーウラ将軍だ。

 そしてなぜか、「とうとう見つかったか……」と悔しそうな、カーウラ将軍。


「カーウラ将軍、もう戦争は終わりましたよ。我が軍の大勝利です。

 だけど、グラーデウス王も影武者のドレイクも死にました。

 もう王様が死んだことを隠す必要もなくなりました。

 さあ、一緒にグンペーイ王国に帰りましょう」

とリンターロが言うと。


 険しい顔をしたままのカーウラ将軍が、

「ここにきたのは、王妃様のご命令か!」

とリンターロに問い正す。

「はい、そうです」

とリンターロが答えると、

「ということは、リンターロ。お前は『アグリーナのお腹の子どもが男の子だったら殺せ』と、命令を受けているだろう!」

と言い放った!


 それに対して、

「そのとおりです」

とあっさり答える、リンターロ!

 えー、私たちはそんな話! 聞いてないよ!

 だよねっ、アーテナ! と目を合わせると、苦笑するアーテナ。

 えっ! アーテナは気づいていたの?


「その質問をするということは、カウーラ将軍も同じ命令を王妃様から受けていたんですよね?」

と、とんでもない話を続けるリンターロ。

「それで、いまここに子どもが生きているということは、その子は女の子だったんですか?」

とカーウラ将軍を問い詰める、リンターロ。

 すると、

「男の子だ……」

とうなだれてつぶやいた、カーウラ将軍。


 えー、何の話か全然わからないんだけど!

 カーウラ将軍も、リンターロも、もっと詳しく説明してよー!

ということで、カーウラ将軍がどういうことか、詳しく教えてくれた。


「王様が亡くなった後、私はブゴニア国にいるスパイを使って、王様の死を王妃様に報告したのだ。

 その後は、いったん魔王の森に行ったものの、お前たちと別れて、アグリーナとブゴニア国内を逃げたわけだが。

 逃げている途中に、王妃様から『アグリーナのお腹の子どもが男の子だったら殺せ』と指示が私にきたんだ。

 それで、逃げている間に他の兵士たちとは逸れてしまって二人だけになってしまい、逃げ込んだ宿屋でアグリーナが産気づいて、俺自身の手でこの子を取り上げたんだ。

 生まれたのが男の子だったから、すぐに殺さないといけなかったんだが、つい可哀想に思ってアグリーナに子どもを抱かせたのが失敗だったな。

 子どもを抱いて嬉しそうにしているアグリーナを見ていたら、殺せなくなってしまったんだ」


 そう言うと、すぐ後ろにいたアグリーナを、カーウラ将軍が腕を回すと、強く優しく抱きしめた。

 あー! そういうこと!?


「いまでは、アグリーナとこの子の二人を、俺の命に替えても守りたいと思っているんだ!

 リンターロ、見逃してくれ! 頼む!」

と私たちに頭をさげて懇願してくる、カーウラ将軍。


「見逃すといっても、俺たちから逃げても、他の追手がきて一生追われ続けますよ」

とリンターロが言うので、

「リンターロ、生まれたのは女の子だったってことにはできないの?」

と私が言うと、アーテナが、

「女の子だったら、別の利用価値があるだろ。王族なんだから、政略結婚とかさ。

 だから、『男の子だったら殺せ』っていう指示で、『子どもを殺せ』という指示じゃなかったんじゃない?」

と言う。そういうことなんだ。

 でも……。


「でも、なんかおかしくない?

 いまは王様が死んで、ドレイクも死んで、王様に後を継ぐ人がいないんでしょう?

 だから、アグリーナの子どもが男の子だったら、王妃様が養子にするはずだったじゃなかったの?」

 これ、何かがおかしい。


 アグリーナも、赤ちゃんを抱いてこっちを不安そうに見てくる。

 ちっちゃくてかわいくて小さな赤ちゃん。

 王妃様は、なんとかして、この子を消さなければいといけない、と思っている。

 この子を消す……でも、後継ぎの男の子は必要……でも、この子はいらない……この子は邪魔な存在……。

 はっ! もしかして!

 

「ねー、この子を殺せって言うってことは! もう一人男の子がいるんじゃないかなー!」

「なんだって!」

「なにを言い出すんだ、ヨーコ!」

「ヨーコ、どういうこと!?」


「だっておかしいじゃない!

 王様が死んで、後を継ぐ人がいなくて困っているはずなのに、この子を殺そうとしているってことは、どっか別に子どもがいるのよ!

 生まれたばかりのこの子よりも、先に生まれた男の子が。

 だから、王様の子どもとして、男の子が二人いるのは都合が悪いのよ!」


 そう私が言うと、カーウラ将軍が、

「確かに、なぜこの子を殺さなければいけないのか、わからないところはあった。

 だが、有力な後継ぎがいなければ、貴族同士で争ってその地位を獲得できる。

 大貴族として王妃の一族がそれを狙っているのかと思っていたんだが……。

 確かに、ほかに隠し子がいると考えれば、納得できるんだが……。

 だが、そんな子がどこにいるっていうんだ! 私は王の側近だったが、そんな話は聞いたことがないぞ!

 いったい、どこにグラーデウス王の隠し子がいるっていうんだ!」


 そのとき、私の中で何かがつながった!

「ヨーコ! ひょっとして!」

とリンターロが私に叫ぶ! そう、そうだよリンターロ!

 私は、いっしょについてきたシーラに話しかけた。


「ねぇ、ひょっとして聖神会の中に、小さな男の子がいなかった?

 男子禁制の聖神会だけど、子どもなら許されて、男の子が暮らしてたんじゃない?」


 突然、話を振られたシーラは驚いた顔をしながらも、

「リウィーデウス君のことですか?

 神学長様が親戚から引き取ったっていう、親御さんがいない男の子で。

 いつも、聖女様の小間使いとして、聖女様の部屋にいますけど?」

と教えてくれた。


 そ、その子だー!!!

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