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第2話 闘技場で剣闘士デビュー!

 異世界に転移して剣闘士見習いになった私だけど。

 お世話をしてくれた大柄でムキムキの女性は、アーテナといって、女剣闘士の中で最強の戦士で、リーダー的な存在だ。

 女性だけど、でかいしマッチョだし、髪は金髪ショートで怖そうだけど、美人で慣れると気のいい性格で親切な人だった。


 それで、宿舎だの、訓練所だの、大浴場だの、食堂だのと、いろいろ教えてもらったあとで。

 私の訓練を担当することになった剣闘士の指導教官から、

「髪は邪魔になるから、切れ!」

と言われたんだけど。


 平凡な元・女子高生の唯一の売りが長い黒髪なので、切るのは断固拒否して、ポニーテールにすることで許してもらった。

 まあ、黒髪も暑すぎる太陽と、剣闘士のハードな生活で、すぐにバサバサの茶髪になってしまったけど……。


 それで、剣闘士見習いとしての訓練を受ける日々が始まったんだけど、数日後には闘技場デビュー! 早っ!

 まあ、セクハラ、パワハラ、差別が普通に残っている世界だったので、ガチな戦いは、男剣闘士同士だったり、男剣闘士VSモンスターがメインで、女剣闘士はエッチな姿で戦うのを見世物にしているだけで、闘技場では前菜みたいなものらしい。


 そして、私の剣闘士デビュー戦は、女剣闘士アーテナにボコボコにされて、一瞬で終わった。

 私たちは鉄製ビキニの上・下に、片・肘・膝・手を守る防具をつけて、頭に小さなヘルメットみたいなものをかぶり、剣と盾を持って戦った。

 数日間の特訓は受けたものの、アーテナが振り回す剣を盾で受けるだけ精いっぱいで、剣は折れ、盾もはじき飛ばされてしまった。


 そんな私をかわいそうに思ったのか、アーテナも武器を放り出して私に馬乗りになり、素手で顔や体をぶんなぐってきた。

 ボコボコに殴られて、気絶してあっという前に敗北した後は、控室に転がされて医者が見にきたものの、ちょっと見て「これはもう駄目だろう」と言い放って、ろくに治癒もせず帰ってしまったらしい。


 あまりに痛すぎて感覚がマヒしたのか、私はずっと体がポワポワした感じで、「私、このまま死ぬのかな~」とボーッと死がおとずれる瞬間を待っていたのだが(涙)。

 やりすぎたと心配して様子を見に来たアーテナの話では、夜中に体がピカー! と光っていたらしく、次の日の朝、起きたらけろっと治ってしまっていた。

 どうやら、これが私に秘められた力のようだ?


 おかげで、「不死身のヨーコ」という、かわいくない異名で呼ばれる女剣闘士になってしまい、私がボコられるのが「推せる!」と一部の剣闘ファンの間で評判になってしまった。

 なにせ、どんなにボコられても、次の日には元気になるので、相手も遠慮してこない!

 アーテナも、最初はあれでも遠慮していたらしく、どんどん攻撃が強く激しくなっていく。

 ねー! 私、不死身だけど、殴られたり、蹴られたりして、死ぬほど痛いんだけど!


 女剣闘士は他にもいて、赤毛のソーニアは、私と同じぐらいの背丈で、見た目はとてもきれいだけど……。その試合はすさまじいものだった。


 戦士としては軽量級だけど、すばやい攻撃で数々のモンスターと対戦して、敵を短い剣でザクザクと切り刻む。

 そして、モンスターの血や体液を浴びまくって、試合後は血まみれのまま鉄のブラをはずして、トップレスになって雄たけびを上げながら、闘技場をウイニング・ランするのが大うけで。

 興奮した男の観客たちが、闘技場の最前列に殺到し、血まみれ半裸のソーニアに「ソーニア! ソーニア!」と大声援を送る。


「ねーソーニア、モンスターを切り刻んで、血まみれになってて平気なの?」

と心配になって聞いたけど、

「ぜんぜん平気だよ!

 私、幼いころに緑色のゴブリンや豚づらのオークに何回も襲われたことがあって。

 あいつらのアソコに、剣をぶっ指して、男として再起不能にするのが気持ちよくって!」

と楽しそうに言う。

 そうですか……。


 そのほか、私より年下で小柄なかわいらしい剣闘士もいる。

 セミロングで栗毛色の髪がふわふわしているユリアンって子は、私と同じく? モンスターに襲われる姿が好評だそうで。

「キャーッ!」と悲鳴を上げて、闘技場を逃げ回っているのが、変態さんを中心に人気のようだ。

 

 でも、一緒に大浴場に入ったときに、ユリアンのやせてるけど豊かなの胸元に、ごっつい入れ墨が入ってたので、気になって「入れ墨、すごいねー」って聞いてみたら、

「ヨーコは異世界からきた人だから知らないのね。これは奴隷を示す印よ」

と少し悲しそうに教えてくれた。


 え! ユリアンって奴隷なの?

「これは、グンペーイ王国に征服された私の故郷の国を表す入れ墨で。

 私の故郷が戦争に負けて、国民の多くがグンペーイ王国で奴隷になったのよ」

 つまり、いまは自分の故郷を占領した国の王様に使えているんだ……。


 そして、アーテナ、ソーニア、ユリアンの3人は、剣闘士として試合に出るだけじゃなくて、王様の護衛も担当している。

 護衛といっても、屈強な武装した男の兵士が王様の周りをずらっと取り囲んでいるので、3人は闘技場の王族用の観覧席とかで、剣闘を楽しんでいる王様の横に突っ立って、ぎりぎりまで露出をしたビジュアルで、大衆を楽しませるのが仕事なんだそうだ。

 護衛をしながら、3人とも交代で闘技場の試合に毎日出ている。


 ある日の闘技場の試合は、私とユリアンとのペアだった。

 相手は、モンスターのスライム(苦笑)。

 半透明のスライムの攻撃自体は弱く、二人がかりで切り刻んでしまえば、私とユリアンでも余裕で倒せる相手なんだけど。


 スライムとの戦いで危険なのは、半透明なゼリー状の体に包まれて、息ができなくなることだ。窒息させられると、命の危険にもかかわる。

 まあ、これって要は、半透明のスライムの体の中に私たちがすっぽりと収まって、もだえる姿を見せて、男性客を喜ばせるショーだ。

 なんかの配信番組で見たことがあったけど、水槽の中で水着の女の子が潜ってパフォーマンスする、水中ショーみたいなもんだ(苦笑)。


 男性客の目当てはユリアンだから、最初はユリアンのほうがスライムに向かって攻撃して、それだけでびしょびしょ、ぬれぬれ! になって、足を掴まれてスライムの体内に引きずりこまれそうになったところで、私がバトンタッチ!


 びしょ濡れのユリアンからスライムを引きはがして逃がしたところで、スライムが大きなカーテンのように広がって、私をグルグルと包み込んだ!

 スライムの体内に取り込まれてしまったけど、ここまでは予定通り。

 これも、お客さんを楽しませる演出のひとつだ。


 スライムが、体内に取り込んだ私を締め付けてくる。

 く、苦しい! 男性客はユリアンがこうなるのを期待してたんだろうけど、あんなやせている子にこれは無理だー!


 きゃー! スライムの体液が、鉄のブラとパンツの間から中に入ってきた!

 うわー、聞いてた以上にキモい! これ、耐えられない!

 それに思っていた以上の締め付け! まさぐられる体!

 苦しい、キモい、息ができない!

 いやーっ! 痴漢―! やめてー! へんたいー!

と、私の感情が爆発したその瞬間!


 なぜだか! 私の体が強く光り出して、私を包み込んでいたスライムが、四方八方にはじけ飛んだ!

 スライムは観客席まで飛び散って、最前列でいやらしい顔で見ていた男性客たちの顔にかかりまくった(笑)!


 どうやら、私の中の秘めた力とかが発動したらしい?

 体が発光して、なにかのエネルギーを出して、スライムをはじき飛ばしたようだ。

 スライムを倒したものの、その場にへたり込んだ私のところに、闘技場を仕切っているオジサンがかけよってきた。


「ヨーコ、すごいぞ、さすが異世界転移者だ!

 これからスライムの爆破を、闘技場の名物にしよう!」

とか言ってきたけど。

 それって、毎回私が死にそうになるってことじゃん! 無理無理!

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