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第15話 魔王の森を脱出だ!

「ヨーコ、ドラゴンが生まれ変わる儀式とかは終わったのか?

 それで、この小さなドラゴンが、あの魔王様なのか?」

と、ドレイクが私に聞いてきた。

「そーでーす!」

「それなら、ヨーコ。魔王様に、ブゴニア国の反乱を鎮圧するのに協力してもらえないか、聞いてくれないか?」

とお願いしてくる。


 そして、横からリンターロが、

「ブゴニア国の反乱に、魔導師が関わっていないかどうかも聞いてみてくれ」

と言うので、これまでの経緯を、ちっちゃくなった魔王様に話して聞いてみると、


『この前も、アンデッドの兵士たちが森の中に入ってきたが。

 私の知らないところで、何かよからぬことを企んでいる魔導師たちがいるかもしれない。

 今の無力な私が、この森の中にいても危険なだけだし……よかろう、一緒に行ってやる。

 ただし、今の私はたいした戦力にならないぞ』

と言うので、そのまま二人に伝える。


 するとさらに、

「ゲートを使って、ブゴニア国の中に潜入できないか」

とドレイクが聞いてきたので、

『魔王様、ゲートは使えますか?』

と聞くと、

『使えない。さっきも言ったが、あれは大量の闇の力、精神力、体力のすべてを消耗するのだ。

 もう少し闇の力を蓄えないと、今の私では使ることができない』

『だったら、魔王の森からいまここで闇の力を吸収したらいいんじゃない?』

『私は、魔王だぞ!

 魔王の森の維持と闇の一族の繁栄を考えるのが仕事だ!

 闇の力を吸収するのは、やむを得ないときだけだ! 断る!』

 なんてことを言って、怒り出した。


 しょうがなく、それをドレイクたちに伝えると、がっかりしたけど。

 それでも、ドラゴンがいっしょについてきてくれることになったので、喜んでくれた。

 魔王の森に入るときに使ったゲートも、もう閉じてしまっててグンペーイ王国に戻ることができないので、シーラもつれて、いっしょに魔王の森を抜けることにする。



 魔王様がいた場所から、ブゴニア国方面の魔王の森の入り口まで歩き始めて数時間、先頭を歩く兵士たちから、

「で、出たー!」

という声がした。

 出たーってなにが? と走って先頭に駆け付けると、アンデッドの大群がいる!

 これって、魔導師が操っているんだよね?


 剣を構えて、「リンターロ!」と叫ぶと、リンターロがアンデッド対策に用意した油を敵にぶっかけて、火をつけたんだけど。燃えているアンデッドの間から、次々と後ろのアンデッドが飛び出してくる!

 燃やしても燃やしても、数が多すぎてキリがない! どうしよう!


 と思ったその時、ちっちゃくなったドラゴンが目の前に飛んできて、「はぁーーー」と、息をゆっくり吐き出し始めた。

 そしてピタっと息を止め、逆に「すぅーーー」と大きく息を吸い出した。火の玉を放つときと逆だなぁと思って見てたら、アンデッドたちの体から黒い霧のようなものがでてきたー!

 いやー、キモい、こわい!


 さらに強くドラゴンが息を吸うと、アンデッドからあふれ出した黒い霧が、どんどんドラゴンの口の中に吸い込まれてく。

 黒い霧がでているアンデッドの軍勢だけど、霧が出れば出るほど、みるみる白くなっていって、その場で体が崩れて砂になっていく。


 黒い霧を吸い続けるドラゴンは、白く光り輝いていたのが、徐々に肌がグレーに変わっていき、輝きを失っていく。

 ついにアンデッドの軍勢が黒い霧を吸い尽くされて、すべて白い灰の塊になってしまった。

 肌の色がグレーに変化したドラゴンは、満足そうだ。


『これって何? どういうことなの?』

とドラゴン、略してドンちゃんに聞くと、

『どうもこうもない。

 私に逆らってきたアンデッドたちだったから、その闇の力を吸い取ってやっただけだ。

 たいした闇の力ではなかったら、肌の色が変わるぐらいだったがな』


『そうやって、闇の力を吸い続けると体が成長していくの?』

『ああ、そうだ。

 ある程度の闇の力を吸収できたら、火の玉を吐いたり、ゲートを開くなどの能力が使えるようになる。

 まあ、この調子では、それがどれくらい先になるかはわからないが。

 だから、しっかりと私の護衛を頼むぞ』

 えー……。


 そこに、後ろで兵士に守られていたドレイクがやってきて、

「ヨーコ、すごいな! 魔王様がいてくれれば恐れものなどない!」

と喜んでいるけど、ちょっと違うんだけどなー。


 横にいたリンターロが、

「王様、アンデッドが入り口付近で待ち構えていたということは、ブゴニア国に味方している魔導師からの情報で、我々がここにいることが知られてしまったかもしれません!」

と指摘する。


「確かにその可能性はあるな。

 だが、知られたからと言って、ブゴニア国が背後からの強襲にすぐに対応できるとは限らない。

 ここは急いで魔王の森を抜けて、一気にブゴニア国に攻め入ろう!」

とドレイクが勇ましいことを言って、先陣を切って入り口へ向かおうとしたので。


 慌てて、ぐったりとして横になっていたシーラを抱き抱えて、四つ足のモンスターに乗ったドレイクの後を追う。

 もちろん、ドンちゃんもシーラもいっしょだ。

 それで、途中でモンスターに襲われたりはしたけど、無事に魔王の森を抜けて、数日前に命がけで逃げた道すじをさかのぼって、ブゴニア国の国境にまでたどり着いたのだった。


 魔王の森側の国境には、低い壁と小さい塔が立ってて、上には、警護の兵士がいるけど、それほど厳重に守っている様子はない。

 どうやって侵入するのかな、と思っていたら、忍者のような兵士たちが、暗闇に乗じて、壁の下に行って、何かロープのようなもの壁にひっかけると器用に壁を登っていく。 


 少しして、塔の向こう側が騒がしくなると、塔の上にいた人がいなくなり、門が開いた。

 そこで、ドドっと味方の兵士たちがブゴニア国内に一気に流れ込んだのだった。

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