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第12話 聖神会で聖女に会いました

 聖神会は男子禁制の場所だけど、今回は特別に私の護衛ってことでリンターロも聖神会の建物の中に入ると、女の子たちが私たちを興味津々な目で見てくる。


 お城と同じぐらい立派な建物の奥にある聖堂に通されると、聖堂の奥には、聖女様が鎮座していた。

 この世界に来てすぐ、初めてあったときと同じように真っ白でスケスケの服に、白いブーケで顔を半分隠していて、それでも美人だとわかる、神秘的かつミステリアスな雰囲気の聖女様だなー。


「聖女様。あの! 実は……」

と魔王の森でドラゴンに会い、これまでに私たちの身に起こったことと、ドラゴンとの約束の話をかいつまんで私が説明すると。聖女様は、


「ドラゴンの生まれ変わりの伝説は、聖神会の聖典にも記されているお話だわ。

 聖女とドラゴンは、元々は神様の使徒同士で、つながりがあって。

 千年に一度のドラゴンの生まれ変わりには聖女が関わるというお話で。

 てっきり、空想のお話だと思っていたんだけど、本当だったなんてねー」

なんておっしゃる。

 へー、そんな話が聖典とかいうのに書かれているんだ!

 でも、それなら話が早い!


「そうなんですねー!

 それなら『穢れなき乙女』である聖女様に、いっしょにドラゴンのところに行っていただき、ドラゴンの生まれ変わりを手伝っていただきたいのですが!」

と相談したんだけど。


 聖女様は、少し困った顔をして、

「うーん、お手伝いしたい気持ちはあるんだけど、それは無理な相談ねー」

なんて言い出す。

「そ、それは、どういうことでしょうか!?」

「だって、私は聖女だけど、『穢れなき乙女』じゃないから」

 え、どういうこと?


「だからー、必要なのは『穢れなき乙女』なんでしょ?

 だったら、私にはできない相談ね」

 え、それってどういう……。

と私が戸惑っていると、横にいたリンターロが、

「聖女様……?

 それは、聖女様がどなたかと関係を持ったことがある、という意味でしょうか?」

と、おそるおそる聞くと。


「そういうこと♪」

とにっこりと笑顔になられて、うなずいた。

 えー! それって、やばくなーい!


 しかし、聖女の周りにいるお付きの方々は、顔色ひとつ変わらない。

 そして、聖女様は、急に悲しい表情すると、

「それにしても、こんなにも突然、お別れになるなんて思わなかったんだけど。

 護衛のくせに王様を守れなかったあなたたちのことは、一生恨みますからね!」

と強めに恨み言をおっしゃる。


 それを聞いて、驚いたリンターロが!

「そ、それはつまり、聖女様が関係を持ったのは、グラーデウス王だったということですか!」

と叫ぶ! えっ、そういうことー!


「ええ。

 だって聖女である私に手を出せる男性なんて、王様ぐらいだったんですもの。

 ずいぶん長い間、親しくさせていただいたわ。

 これ、内緒よ♪」

とこともなげに、いたずらっぱい感じで、すごい話を綿たちにしてくる。


 すると、さらにリンターロが、

「あなたは! あなたは、王妃様の妹じゃないですか!

 聖女であるあなたが、姉の夫である王様を寝取ったと言うんですか!」

と、とんでもないことを言い出す。えっ、そうなの!


「だってお姉様は、政略結婚だったし。

 結婚して最初のころは妊活も頑張っていたみたいだけど。

 けっきょく子どもができなくて、最近のお姉様の興味はもっぱら政治にしかなくて、王様と私のことなんて気にしてないわよ」


 そういうと、まだ何か言おうとしたリンターロに対して、

「私の大切な人を守れなかった警備隊長ごときが、私を非難するわけ!?」

と王妃様そっくりのおっかない様子で言うと、リンターロは黙りこんだ。


「ということで、私にはその役割は無理ね。

 でも、ここにはたくさんの聖女候補の子たちがいるから、その中から選んで連れて行ってもらっていいんだけど?」

「その子たちで、聖女様の代理は可能なんですか?」


「聖女は、基本的に同じ血を引いた一族の中から、特に『光の力』が強い者が選ばれるしきたりなの。

 まあ、といっても王族か貴族の子どもからしか選ばれないけど。

 お姉様より私の方が光の力が強かったから私が選ばれたんだけど。逆だったらよかったのにね」


「そ、そうですか。わかりました。

 それでは、聖女候補の子たちの中から探させていただきます……」

と言って、聖女様がいる聖堂から退席して、聖女候補の子たちがいる部屋に、お付きの方に案内してもらうことになった。


「こんなことが許されていいのか!」

と、聖堂を出たとたんに、いきどおった顔をして吐き捨てる、リンターロ。

「し、静かに! 聖女様に聞かれたら殺されるわよ」

とコソコソと私が言うと、

「聖女様なんて言ったって、けっきょくは権力争いじゃないか……。

 有力貴族の姉妹二人で、王様を共有して、王宮と聖神会の二つを牛耳っているんだ」

などと文句を言うのをなだめつつ、聖神会の中にある神学校&宿舎に案内してもらう。


 そこは、いかに良家のお嬢様といったかわいらしい若い女子、子どもたちがたくさん集められてて、学校みたいな、合宿所みたいな雰囲気の場所だけど。

 そこで、聖神会で聖女様の次にえらい立場のルコーラ神学長という先生から声を掛けられた。


「勇者様。

 聖女様からの伝言で、『少し匂うので、よかったら聖神会の宿舎にある浴場を使ってください。子どもたちがおびえるかもしれないので』とのことなんですが」

と苦笑されつつ、子供たちに会う前に浴場を使ってほしいと案内される。


 そ、そりゃ、ここ数日は風呂に入っていないし、森の中では体を拭くための水も足りない生活だったから!

 それではと、お言葉に甘えて、神学校の宿舎にある浴場を使わせていただくことになった。

 なくしちゃいけないペンダントだけ首にかけたまま、久しぶりにビキニの鎧を脱ぎ捨てて、全裸で浴場の湯舟にゆっくりとつかった。


 あー! 気持ちいいー! はぁー、こんなにゆっくりできるの、ひさしぶり!

と、つかの間の休息の時間を楽しむ。

 お湯にひたって、体にお湯をかけながら、あらためて自分の体をしげしげと見つめる。

 だいぶ肌が荒れたなー。あちこちに擦り傷もあるし(涙)。

 日焼けの後もひどいな、鎧のある個所とないところで、肌の色が全然ちがう……。

 結構マッチョになっちゃったなー。知らないうちに腕も足も筋肉がついて、腹筋も割れているし。

 なんて体を観察しながら、なんとなく胸元のペンダントを触っていると、鉱石が光り出して、頭の中で誰かがささやきかけてくる声がしてきた。


『……ョーコォ、……ヨーコォ、ヨーコー!』

『あ、はい、はい!

 魔王様! 真王様ですね! へー、ペンダントを触ると、こんな遠い場所でも魔王様と会話ができるんですね!』

『いまは、お前と私が一つにつながっているからな。

 それに、ペンダントの石によって、お前の中の光の力が増幅されているのだ。

 それで、聖女探しの件はどうなっているのだ!』


『あー、そうそう! 知らなかったけど、魔王様って、ロリコンなんですね!』

『はっ? なにを言い出すんだ!』

『だって、聖女って未経験者じゃないといけないんでしょ! スケベ! ヘンタイ!』

『違うわ! それは昔からよくある誤解だ!

 聖女は、太古の昔から特別な力を受け継いだ一族から生まれる。

 聖女が子どもを産むと、特殊な力がその子に移行するから生まれ変わりの儀式を手伝う役目を果たせなくなるだけで、性体験の有無など関係ない!

 おそらく神秘性を上げるために、人間どもが適当にでっち上げたんだろう!

 古来からの聖女の血を引いている子孫で、子どもを産んでいない者、特に光の力の強い者なら大丈夫だ!』


 ふーん、そうなんだ!

と感心していると、それを無視して魔王様が話を続けた。

『特別な力によって、聖女は太古からの記憶を引き継いでいる。

 今の聖女がダメだというなら、聖女候補のうち、もっとも光の力のある者を連れてくるのだ』

『……聞いてなかったけど、儀式で聖女の命を奪ったりしないよね!?』

『もともとは同じ神の使い同士だ。そんなことをするわけがないだろ!』


 ほんとうかなー!

『今のお前と私といっしょだ。聖女とドラゴンも一覧托生。

 儀式の最中にどちらかが死ねば、どちらとも死ぬ。

 だから、私が聖女に危害を加えることは絶対にない。

 ぼやぼやしているとゲートがしまって、こっちに戻れなくなるぞ。

 さっさと、強力な聖女候補をつれてもどってこい!』

『はーい!』


と返事をしたけど。

 そうそう、魔王の森を抜けるゲートを見て以来、気になっていたことを聞いてみる。

『ねぇ、魔王様。異世界から転移してきた人って、元の世界に戻れないの?

 魔王様ぐらい長生きしていてすごいモンスターで特別な力を持っているなら、戻る方法を知っているんじゃない?

 たとえば、私が元いた世界へつながるゲートを開くことができるとか?』


『そんなことを考えていたのか。

 ゲートは、他の世界につなげることはできないし、異世界転移者が帰る方法も私は知らない。

 ただ知ってそうな奴なら、心あたりはある』

『ホント! だれ! だれ!』

『うるさいな……。さっさと聖女を探してこい! そうしたら教えてやる!

 あと数日で死ぬかもしれないのに、元いた場所に戻れるかどうかなんか考えている時間はないぞ!』

 なんて自分が原因なのに、脅しをかけてきたので、

『はぁーい(怒)』

と不満たらたらで返事をして、更新を打ち切った。


 あー、疲れた。ペンダントを使った通信って、光の力を使うからか、こんなに疲れるんだ。

 お風呂の中で、もうちょっと疲れをとろうっと。

 そういえば、いろいろありすぎて、異世界から元の世界にもどることなんか考えている暇がなかったけど。

 ドラゴンを手助けして、暗殺だの反乱だのを解決できたら、元に戻れる方法を考えよう。

 みんな元気にしてるかなぁ。お母さん……。お父さん……。弟は元気かな……。


 ふぁー…とあくびが…、なんだかねむくなってきたなぁ。

 ここ数日、ずっと大変なことだらけで緊張していたから、急にお風呂でゆっくりできると、ボーっとしてきたな……。

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