表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

11/19

第11話 王国に戻ってきました

 魔王の森をゲートを使って抜け出し、グンペーイ王国の端っこにたどり着いた私たちは、国民からの熱狂的な歓迎を受けることになった。


 なにせ、王様が征服して属国になったブゴニア国に出かけたら、反乱を起こされて王様が生死不明になって、国境での戦況が劣勢な状況の中で、なぜか急に王様が奇跡的な生還を果たしたもんだから、国民が熱狂しないわけない。


 大歓声の民衆に囲まれた私たちがお城にたどり着くと、そのまま王妃様とごく少数の貴族の前に引きづり出された。


 王様が暗殺されてしまったこと、それを隠して影武者を王様にしたてて戻ってきたことは、ブゴニア国にいたスパイたちの連絡網で王妃様たちには報告済みなんだけど、今ここにいる人しか知らない秘密になっている。


 お城のど真ん中にある、主のいなくなった王座には、王妃様がデーン! と座っている。

 普段は、あまり王様といっしょにいなかったので、王妃様がどういった人間なのか詳しく知らなかったけど。


 こうして玉座に座っている姿を見ると、年齢は30代後半ぐらいなのかな? 目鼻立ちがはっきりとしてて、長い亜麻色の髪にウェーブがかかっていて、すごい美人で、すっごい威圧感を漂わせててとっても怖そう。

 そして、とっても機嫌が悪そうで、その目の前に引きづり出された、ドレイク、私、リンターロをにらみつけてくる。


「お前たち。よくもおめおめと、私の前に顔を出せたものだな」

という、静かだけど怒りを込めた声から、王妃様との会話が始まった!


「どうして王が死んで、身代わりになって死ぬべき影武者や護衛が、のうのうと生き延びて、私の目の前にいるのだ。

 そっこく、首をはねたいところなんだが」

 そっ、そうですか……。


 するとドレイクが、

「王妃様。申し訳ございません!

 本当なら王様の身代わりとして命を投げ出すべきだった私が、こうして生き残っていることが許せないのはもっともなことです!

 私も、この命は惜しくありません!

 ただ、死ぬ前にグンペーイ王国に貢献して死にたいと思います!」

 と王妃様に訴える。


 王妃様の眉間がピクっとなって、

「貢献したいとはなんだ。申してみよ。死に際の戯れ言として、聞いてやる」

「それでは、王妃様。

 私たちは『魔王の森』をたった数日で、無事に抜けだしてきました。

 これには、秘密があります」


と言って、ドレイクが王妃様に、ブゴニア国で起こったこと、そして魔王の森に逃げ込んだことから、森の中でドラゴンと遭遇したこと、そこでドラゴンと交わした約束、ゲートを抜けて短期間でブゴニア国から戻ってこられたことまで、細かく説明した。

 すると、顔をピクピクさせていた王妃様の顔が、興味深そうなものに変化する。


「王妃様、ここからご相談したいことです。

 いま私たちは魔王の森を安全に抜けて、一瞬でブゴニア国の裏側に大勢の兵士を送ることができます。

 現在、国境ではブゴニア国と一進一退の攻防を繰り広げていると聞きました。

 そこで、貴族の方々に大軍を率いて、国境で大攻勢をかけていただく。

 そして、敵の軍勢が国境に引き付けられている間に、私が王を演じて軍勢を率い、魔王の森を通り抜けてブゴニア国内に攻め入り、反乱の首謀者を取り押さえてご覧に入れます!

 ここは、予想できないスピードで敵国に侵入できる我々に、王様の仇を打たせてください!」

 と力強く宣言した!


 その宣言を聞いて何か考え込んでいる王妃と、貴族の面々。

 そこで、さらにドレイクが話を進める。

「また同時に、ブゴニア国内でいまだ隠れているはずの王様のお子様を身ごもっているアグリーナを、探し出して救出します!

 王様の仇を撃ち、王国の後継ぎ出てあるお子様を連れ帰って見せましょう!」


 そうなのだ。私たちと別れて、ブゴニア国からグンペーイ王国に戻るルートを選んだアグリーナとお腹の子供、いっしょにいるはずのカーウラ将軍たちは、まだ国に帰ってきていない。

 もっとも、私たちのように「魔王の森」のゲートをくぐって数日でもどってくるなんてチートな技を使わなければ、どんなに急いでも戻ってくるのに数週間、あるいはもっとかかるはずなので、当たり前の話なんだけど。


 王妃様やその親族である貴族たちにとっては、後継ぎを身ごもっているアグリーナの安否が不明なのが一番の問題だろう。

 後継ぎの件がはっきりするまでは、影武者であるドレイクを簡単には処分できないだろうし、ブゴニア国と戦って勝つ作戦を持ってて、後継ぎも探してくるという、ドレイクからの提案は魅力的なはずだ。


 にがり切った顔で話しを聞いていた王妃様だったけど、「勝算はあるのか?」と聞いてくる!

 すると、「あります!」と威勢よく言ったリンターロが、それまでボーっと隣で話を聞いていただけの私を、ガシっと両手でつかんで、王妃様の前に突き出す。


「王妃様、先ほど報告されたとおり、このヨーコは、光の力で兵士を蹴散らすことができる異世界転移者です。

 ドラゴンとも会話ができて、今は体がドラゴンとつながっていて、一心同体となっています!

 このヨーコがいれば、ドラゴンからも協力を得られます。

 その力をもってすれば、敵国の兵士たちなど、恐れるに足りません!」

 などと、かなり話を盛って言う。

 えー、魔王様抜きでそんな口約束して大丈夫かなー!?


 だけど、王妃様と貴族たちがコソコソと話しはじめて……ついに私たちに向かって、

「わかった。その話に載ってやる。

 その作戦がうまくいっている間は、お前たち三人の命も生かしておいてやろう。

 これからの働きによっては、王の暗殺を防げなかったことも不問にしてやってもよい」

という言葉を引き出した! やった!

 それで、ドレイクと、王妃様と貴族たちで、今後の軍事作戦を協議することになったんだけど。


そこで、私が、

「あの! 王妃様。ドラゴンの件で、ご相談があります!

 ドラゴンに協力してもらうために、あと6日以内に、『穢れなき乙女』とかいう聖女を連れて、ドラゴンのところにいかないといけないんですけど!

 それってこの国の聖女様のことだと思うんですけど!

 ドラゴンのところに戻るときに、いっしょに行ってもらっていいでしょうか!」

と話をねじ込んだ。


 すると、王妃様が奇妙な、なにかいいたげな表情をしたんだけど。

「そなたが、聖女リウィーアを説得できたら、連れて行ってもかまわん」

と言ってくれたので、聖神会の奥に鎮座している、聖女様に会いに行っていいことになった!


 こんなかんじで話がまとまったので、さっそく私とリンターロの二人で、聖女様に会いに行くことにした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ