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消された真実の行間

終わったはずの物語に、

残されたものがある。


見過ごされた違和感。

繋がらなかった断片。


それらは、消えたわけではない。


ただ、気づかれずにそこにあっただけだ。


誰もが前を向こうとする中で、

あえて振り返る者がいる。


忘れられたものを拾い上げるために。


これは、終わりの後に始まる物語。


静かに、しかし確実に――


新たな謎が動き出す。

(かれん)


新聞部の部室は、いつもより重く息をしていた。

古い紙の匂い、インクの焦げたような匂い、そしてどこか金属のような冷たさが混ざり合う。窓辺に置いた小さな観葉植物の葉に、わずかな光が当たっているだけで、室内の空気は停滞しているように感じる。


机の上に広げたマインドマップを、指先でなぞる。青インクの線は何度も引き直され、ところどころで紙が擦り切れている。指先に付いたインクの匂いが、私の集中を呼び戻す。


『ノーランド・グリムストーン』――『記憶、服従デバイス』。

その二つを繋ぐ線。だが、その線は途中で切れている。中心にある大きな核、『アカデミーのシステム』『エーテリアル』『創設者 サンティ・ハイアワタ』には、どうしてもつながらない。


どうして、だろう。

理屈はあるはずだ。因果は必ずどこかで結びつくはずなのに、その結び目がここにはない。私は秩序を欲する。説明されないものがあると、体のどこかが疼くのだ。


無意識に息を吐き、腕に頭をのせる。机の冷たさが額に伝わる。静かな部室。時計の秒針の音も遠い。こんなとき、私はいつも三年間を思い出す――順を追って、刃物のように切れ味のある記憶を、ひとつずつ開いていく。


* * *


一年目――入学の季節は、肌に突き刺すような晴れ方をしていた。新入生の列が車寄せを埋め、制服の襟が風に揺れる。私の胸は妙に落ち着かない。アカデミー・ハックウェイクは“環境”だった。見ればわかる。空気が違う。人の動きが計算されている。ここは学校ではない。ここは舞台であり、競技場であり、鎧を着た者たちの社会だ。


入学式での説明。『デジタルバトル・システム』のデモンストレーション。目の前でスキルが発動し、デジタルフィールドが展開されるたびに、拍手と歓声。だが私は、その場のざわめきよりも、人々の目を見ていた。期待する目、恐れる目、無関心を装う目。どの目にも、何かを隠す鋭さがあった。


その頃の私は「見えること」が目的だった。強くなるためではなく、世界の構造を理解するために来た。新聞部を選んだのは偶然じゃない。記録すること、問いを投げること、問いを積み重ねて真実に近づくこと――それが私の戦術だった。


当時の部長は、元気で声が大きくて、でも……雑だった。

デジタル新聞を使って、派手な憶測記事を出しては噂を煽る。


否定はしなかった。

むしろ、感謝している。


――こうなってはいけない、って教えてくれたから。


私は静かにやる。事実を積み重ねる。音を立てない。


最初に目を向けたのは、権力者だった。


当時の生徒会長。廊下を漂うみたいに歩く人。実務は全て委任。視線はいつも、どこか遠く。


審判委員会の委員長は、その真逆。完璧。硬直。近寄りがたい。


インタビューを申し込んだ。


返ってくる言葉は、どれも用意されたもの。でも……目だけは違った。


秘密、というより。疲労。


何かを知ってしまって、それ以上踏み込めなくなった人の目。


青いノートに書いた。最初の一冊。


彼らは何かを知っている。それが彼らを空っぽにした。


そして――


ノーランド・グリムストーン。


初めてノーランドの名前を聞いたのは、部活紹介の雑談の中だった。『発明家』。彼の部室の話、彼の作品、ちょっと変わったアイデア。興味本位で見に行ったら、そこは工具の匂い、半完成の回路、金属部品の山でいっぱいだった。だが私が見たのは機械ではなく“眼差し”だった。ノーランドの視線は、青く冷たく、どこか遠くを捉えていた。ぎょっとするほど“怯え”が混ざっていた。見てはいけないものを見る人間の、押し殺した表情。


観察は限界まで続いた。彼の動線、彼が話す相手、彼の残すメモ。半ば強迫的に記録した。ある日、屋根付きの中庭で彼が二年生のキバと密会しているのを見つけた。距離を取りながらシャッターを切る。二人の間で手渡されたのは小さな金属の塊。見た目は端末にも見えるが、アカデミーで支給される端末とは違う光沢があった。ノーランドの手の震え方。キバの受け取り方。神経質な儀式のようで、それは確かに“取引”だった。


私はその瞬間に何かを確信した。これがただの発明品じゃない。だが確信は同時に苛立ちも生んだ。なぜ動かない? なぜその後キバは何もしないのか。疑問は増え、線は濃くなったが、答えは遠かった。


そして、新生徒会長。

清水銀太郎。


空気が変わった。噂が消えた。


……真実の番人。


その年の終わり、ノーランドは卒業した。スキャンダルもなければ、爆発もなかった。写真だけが残された。ピクセルの荒いキバの顔、メモの端の走り書き。私はその断片を抱いて、夜中にノートを見返した。真実はそこに眠る、と私は信じた。


二年目――責任が増える。先輩たちが抜け、空席ができるたびに、クラブは私のものになっていった。部室の鍵を預かる回数が増え、夜中に一人で残る時間も長くなった。孤独は集中を深める。観察の幅も広がった。誰がどのルートで移動するか、どの審判の采配が変わるか。ポイントシステムの異常も、データの散らばり具合を見れば見えてくる。


そして、噂は濃くなる。『デバイス』という言葉が囁かれ始めた。記憶が消える、という話。服従という効能。最初は眉唾物だと笑う人もいた。だが被害は現実だった。ある女子が急に授業を欠席し、仲の良かった友人が「彼女、急に違う人みたい」と言った。写真を集め、交差検証する。被害者の行動ログを洗い出す。共通項は、ある人物とある時間帯の接触だ。ノーランドの“取引”とリンクするかもしれない――だが、その線も、また切れていた。


私は再びキバの調査を始めた。彼はもう三年生になっていたが、その調査の途中で、私は予想だにしない事実に行き当たった。


二年生のAクラスに、くるみという生徒が現れたのだ。彼女もまた、私と同じようにキバを監視していた。


私はあえてキバには近づかないことに決めた。彼はまるですべての出来事から乖離しているかのように振る舞っており、その「無関心」こそが、私には何よりも疑わしく、不気味に感じられたからだ。


そして、事件が起こった。アルムという生徒がポイントを不正操作するデバイスを使い、学内で騒ぎを起こしたのだ。しかし、調査の結果、私の期待は裏切られた。アルムが手にしていたデバイスは、噂されていた「記憶」に関わるものではなかった。


それどころか、私は別の事実に戦慄した。アルムのデバイスもまた、ノーランドが作り上げたものだと判明したからだ。一体、彼はどれだけの「毒」をこのアカデミーに撒いたのか。私の推論は、確信と疑念の間で揺れ動いた。


そんな中、ようやく本物の「予兆」が現れた。一年のエンマという女子生徒に、明らかな記憶の欠落が見つかったのだ。


断片的な証拠を繋ぎ合わせると、キバとその仲間であるヤーグ、ネルズ、多田の影が浮かび上がった。


最悪なのは、その三人が私と同じクラスの連中だということだ。答えは、ずっと前から私のすぐ目の前にあった。同じ教室で、同じ空気を吸いながら、私は彼らの正体に気づくことさえできなかった。


自分自身への激しい怒りが湧き上がった。周囲にこれほどの危険が溢れ、あいつらが堂々と野放しになっていたというのに、私は今の今まで、その違和感を見落としていたのだ。


銀太郎の事後処理は完璧すぎて、空恐ろしいほどだった。デバイスの存在など最初からなかったかのように、彼はすべての真相を闇に葬った。


学校側からの発表は、キバたちが素行不良で「生徒会長の手によって更生させられた」という事実のみ。デバイスや記憶の欠落といった核心部分は、生徒たちの目から完全に隠蔽されたのだ。


彼がどれほどの手際で、どれだけの嘘を重ねて事態を鎮圧したのか、私にはその詳細さえ掴めなかった。ただ、彼は一連の騒動を誰にも悟られぬよう、完璧に「処理」してみせた。


生徒会室に呼び出されたとき、私は確信した。謎に包まれた不気味な存在ではあるが、銀太郎という男は、このアカデミーを掌握する真の「生徒会長」なのだと、認めざるを得なかった。


「掘るな、朱里さん。戻れない穴がある」――彼の声は穏やかだったが、そこに脅しはなかった。彼が知っているのは確かだ、と私は理解した。彼は何かを見ている。だが、その何かは私がまだ掴めるものではないらしい。


三年目――世界が壊れた。エーテリアルが現れ、デジタル世界が崩壊し、学校は戦場になる。『デジタルバトル・システム』の境界が曖昧になり、モンスターのような存在が生徒の前に立ちはだかった。白麗の反乱、黒服――5iの介入、異界のような戦い。私は記録する側として、可能な限り現場に留まった。だがその中で愕然とした事実があった。


創設者サンティ・ハイアワタが全てを告白した演説――それは壮大で、悲痛で、真実を晒すものだった。5iの罪、アカデミーの過去の過ち、子どもたちのデータの扱い。だが、ある重要なラインだけが語られなかった。ノーランドのデバイス、記憶改変の具体的な用途、被害者たち――そうした“個別の抹消”については、一切触れられなかった。サンティは多くの罪を認めたが、何かを意図的に避けたのか、あるいは知らなかったのか。


その時、私は悟る。二つの陰謀が、同じ舞台で並走している。エーテリアルが投げかけた巨大な物語――我々の多くがそれに気を取られ、涙し、怒り、勝利を分かち合った。その陰で、別の細かな操作――人の記憶を消す手法――が静かに働いていた。ノーランドのデバイスは、実験の一部かもしれないし、まったく別の闇の産物かもしれない。だが真実は、誰かの意図で消されている。


* * *


……はっとして、私は顔を上げた。

新聞部の部室。最初にここで考え込んでいた、その場所に戻ってきている。窓から差し込む午後の光は傾き、机の上の紙束と写真に長い影を落としていた。思考に沈んでいたせいで、時間の感覚が曖昧になっている。ペン先が止まり、インクが一滴、紙に滲んでいるのに気づいて、私は小さく舌打ちした。


……だめね。

考えれば考えるほど、核心だけがすり抜けていく。


エーテリアル。

アカデミーのシステム。

サンティ・ハイアワタ。


全部、語られた。全部、説明された。

なのに――ノーランドのデバイスだけが、綺麗に“存在しなかったこと”にされている。


マインドマップの端、ほとんど余白に近い位置に書かれた名前を見る。


くるみ。


そう……残っている線は、もう一本しかない。

公に語られなかった真実。記録からではなく、“人の中”から消された可能性。


それを直接体現している存在。


「……会わなきゃ」


声に出して、ようやく覚悟が形になる。

できるだけ早く。時間を置くほど、私の方が疑われる。頭の中の理屈が暴走していると、笑われる。だから――次の機会じゃだめ。今じゃなきゃ。


翌日。

放課後の廊下は、いつもより静かだった。戦いが終わったアカデミーは、妙な余韻を引きずっている。笑い声は戻ってきているのに、どこか距離がある。私はくるみの教室の前で、壁に背を預けて待った。腕を組み、視線は窓の外。待つ、という行為は苦手だ。だが今回は、私から踏み込まなければならない。


チャイム。

生徒がぞろぞろと出てくる中で、くるみは最後の方だった。一人。鞄を肩に引っ掛け、面倒そうにスマホをしまいながら廊下に出てくる。その瞬間、私と目が合った。


一瞬だけ、彼女の動きが止まった。


「……あ」


小さく声を漏らしたあと、すぐに眉をひそめる。


「なに、朱里さん。待ち伏せ?」


ぶっきらぼうで、でも逃げない。くるみらしい反応。


私は肩の力を抜いて、できるだけ軽い笑顔を作る。


「そんな物騒な言い方しないでよ。ちょっと話したいだけ。今、時間ある?」


「……まあ、あるけどさ」


くるみは溜め息まじりに言い、廊下の端に顎をしゃくる。


「ここじゃ目立つし。移動しよ」


中庭に近い、あまり人の通らない通路。秋の空気が冷たく、風が制服の裾を揺らす。並んで歩きながら、私は言葉を選んだ。切り出し方を間違えれば、そこで終わる。


「三年間、変だったよね。アカデミー」


まずは、当たり障りのないところから。


「変じゃなかった年の方が少ないだろ」


くるみは鼻で笑う。


「今さら何?」


「……そうね」


私は一拍置いてから続ける。


「二年生の頃のこと、覚えてる? いろんな噂があった時期」


くるみの足取りは変わらない。だが、反応が少し遅れた。


「噂?」


首を傾げる仕草は自然すぎる。


「そう。デバイスの噂」


私はできるだけ穏やかに、でもはっきりと言う。


「記憶とか、行動に影響するって言われてたやつ」


その瞬間――

私は確信した。


くるみの顔に、何も起きなかった。


驚きも、嫌悪も、警戒もない。ただ、理解できない話を聞かされた人間の、純粋な困惑。


「……デバイス?」


彼女は眉を寄せる。


「悪いけど、あたし、それ知らない。そんな話あったっけ」


胸の奥が、冷たく締め付けられる。


「キバのことは?」


間髪入れずに聞く。


「二年前、ノーランド・グリムストーンが問題になったでしょう」


くるみは立ち止まり、私を見る。視線は真っ直ぐだ。


「キバ……? 名前は聞いたことあるかもだけど」


少し考え込んでから、首を横に振る。


「詳しくは知らない。あんた、何の話してるの?ノーランド・グリムストーンって誰?」


……だめだ。

思い出そうとしていない。思い出せない。


私はさらに具体的に説明する。場所、時期、被害者の特徴、新聞部が裏で集めていた断片的な情報。だが言葉を重ねるほど、くるみの表情は困惑から戸惑いへ、そして微かな不安へと変わっていく。


「朱里さん」


くるみは、少しだけ強い声で言った。


「それ、あたしに言われても困る。……悪いけどさ、それって、あんたの調査の話だろ? あたしは関係ない」


その言い方は、拒絶じゃない。

距離を取ろうとする防衛反応だ。


「……そう、よね」


私は小さく笑って、話を切り上げた。


「ごめん。変なこと聞いた」


「いや……」


くるみは一瞬、何か言いかけて、でも口を閉じる。


「まあ、気にすんな。じゃ」


彼女はそれだけ言って、歩き去っていった。背中はいつも通り、少し乱暴で、少し寂しげで――何も知らない人のそれだった。


その場に取り残された私は、しばらく動けなかった。


……違う。

これは、知らない演技じゃない。

消えている。


頭の中で、最悪の仮説が形を持つ。

もし、デバイスが“支配”ではなく、“消去”に使われていたとしたら。

危険な情報、関係性、観察記録――それらを、記憶ごと削除するために。


くるみは嘘をついていない。

彼女は“被害者”だ。


気づいた瞬間、背筋に冷たいものが走った。

もしそうなら、誰が。いつ。どこまで。


私はほとんど無意識に踵を返し、走り出していた。

廊下、階段、曲がり角。視界が揺れ、呼吸が乱れる。まるで追われているみたいに。誰かに、じゃない。自分の思考に。


新聞部の部室のドアを開け、閉める。鍵がかかる音がやけに大きく響いた。背中をドアに預け、息を整える。心臓の鼓動が耳にうるさい。


机に散らばる資料を見る。

ノーランド。キバ。被害者。空白。

……そして、くるみ。


「……なるほど」


声が、やけに落ち着いていた。

恐怖が消えたわけじゃない。ただ、理解してしまっただけ。


これは、アカデミーの“物語”の外にある事件だ。

だから語られなかった。だから残らなかった。

そして――だから、まだ終わっていない。


私は新しいノートを開く。白紙のページ。

ペンを走らせる。


『卒業後の進路』


書きながら、自然と口元が緩んだ。

英雄になるつもりはない。救済者でもない。

ただ、私は知りたい。削除された行を、復元したい。


調査。取材。裏取り。

表に出ない真実を、拾い集める仕事。


サンティ・ハイアワタに接触――未公開アーカイブのアクセス。5iはデバイスを知っていたのか? プロジェクトの関連性は?


清水銀太郎の裏側――彼の“封じる”力の源。彼が見たもの、知っていること。


キバを探る――彼は何を持っていたのか。誰が最終的にそれを奪ったのか。


くるみの記憶――消えたページを取り戻す方法。微粒子のログ、接触のタイムライン。


リソース確保――調査報道、私立探偵のルート、法的手段と違法な選択肢の整理。


書きながら、私は笑った。小さく、曇った笑い。救いの笑いじゃない。覚悟の笑い。これは、もう好奇心の延長じゃない。私の仕事だ。私の習性だ。真実を剥がす仕事。


胸の奥に、冷たい火がともる。


「……決まりね」


卒業は、終わりじゃない。

ここからが、本番だ。


ペンを置き、窓の外を見る。


――戻る。窓の外の世界は、平穏を装っている。生徒たちは談笑し、デジタルフィールドの名残の光を忘れようとしている。だが私は忘れない。真実は、誰かが聞き続けることでだけ生き残る。


端末を閉じる必要はない。これが私の続きだ。立ち上がって、鞄を肩にかける必要もない。私が次にすることは、足を動かすことではなく――動かさせることだ。情報を繋げるのも、誰かに話を聞かせるのも、記録を公開するのも、私の仕事だ。


窓の外、秋の風が枯葉を巻き上げる。アカデミーは平穏を装っている。だが、私のノートの上では線と線が新たに結びつき始めた。これは始まりにすぎない。掘った穴が深ければ深いほど、出てくるものも黒く重い。


私は深く息を吸って、ペンを持ち直す。ページに書く指の動きは、もはや躊躇しない。探るべきは、あの“空白”だ。誰が記憶を消し、誰が隠し、誰がそれを正当化しているのか。答えを出すために、私は書き続ける。


――章は、ここから動き出す。


夕暮れのアカデミーは、何事もなかったかのように静かだった。

でも私は知っている。この静けさの下に、まだ名前の付いていない闇があることを。


それを暴くのが、私の役目。


――私、朱里かれんは、そういう人間だ。

次回――


消された真実。


知らないはずのことを、

なぜか知っている気がする。


思い出せないはずなのに、

何かが引っかかる。


それは偶然ではない。


“消された”という事実。


触れてはいけない領域に、

足を踏み入れた代償。


やがて明かされる、別の系譜。


この学園を形作った、七つの家系。


その一つに連なる者が、

今もなお動いている。


そして出会う、理解を超えた存在。


それは異能ではない。


もっと古く、もっと根源的な力。


だが、その接触は許されない。


触れた瞬間――


すべては、なかったことになる。

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