第95話
七月二十九日、月曜日。
今日も第四層まで探索し、無理をせずに引き返した。
昨日と同じように、第四層の小鬼やダンゴムシを倒しながら、戦い方を確認していく。
烈と静の連携は、日に日に安定してきていた。
烈が小鬼の注意を引き、静が盾で進路を制限する。
そこへいなりが死角から攻撃を加える。
俺は後方から全体を見ながら、必要なところへ援護を入れる。
第四層までなら、かなり余裕を持って回れるようになってきた。
この調子なら、明日には第五層へ進めそうだ。
今日の探索では、液体入りの瓶は出なかった。
その代わり、ダンゴムシから宝石が一個手に入った。
発掘地点についても、《魔力視》を覚えたことで、いなりに場所を教えてもらわなくても自分で探せるようになった。
これは、思っていた以上に楽だった。
通路を歩きながら壁へ意識を向ければ、掘れる場所だけが淡く光って見える。
以前のように、いなりが見つけた場所を凝視する必要はない。
俺が先に見つけることも増えてきた。
一方、烈と静はまだ《魔力視》を習得できていない。
二人とも、移動中に何度も壁を見つめて練習していた。
「うーん……見えないぜ」
「目へ魔力を集める感覚は、少し分かってきました」
「静だけ先に覚えるなよ!」
「僕に言われても困ります」
「二人とも、焦らなくていいよ」
俺は少し得意な気分で言う。
「俺だって、覚えるまで結構苦労したんだからな。そんなに簡単に取られたら、ちょっと悔しい」
「透様、大人げないぜ」
「烈に言われたくないよ」
「僕たちも、いずれ習得してみせます」
「ああ。頑張れ」
もっとも、二人とも魔力操作の上達は早い。
そう遠くないうちに覚えてしまいそうだ。
追いつかれないように、俺も次の使い方を考えておかないとな。




